五木寛之氏ももう70歳半ばとのとこと。
中学時代に初めて氏のエッセイ(確か「地図のない旅」だったか・・・)を手に取り、今から30年ほど前、大学の入学式の後、記念講演を聞いた覚えがあります。
五木氏の本は、最近では「蓮如」とか「知の休日」とかを読んでいます。
今度の本は、五木氏の真骨頂の「エッセイ集」です。
このところなかなか「しっかり目の本」が頭にはいらないので、気分転換に正統派?エッセイを選んでみました。
クルマの話、靴の話、喫茶店の話・・・。「週刊現代」への連載をベースにした軽いタッチのものが約50編、気楽に読み通せました。
(p193より引用) モノを捨てるということは、思い出を捨てるということだ。どんな小さなモノにも、自分との縁があってここにある。そう思えば、気軽に捨てていいものなど、どこにもありはしない。だからこんなふうに雑然と周囲につみ重なっているのだろう。
こういう感じが、すっ~と腑に落ちるようになってしまいましたし、
(p203より引用) 山陰ばかりではない。ずっと旅から旅の暮らしのなかで、どこの地方にいっても、妙に人が少なくなっているような実感があるのだ。
いくつかのミニ東京に、人が集中してしまっているらしい。・・・
ニッポン国の根が枯れつつあるような、そんな気がするのは錯覚だろうか。
という想いにも、ふむふむと納得してしまいます。
五木氏との年の差は、まだ30年ほどはあるのですが・・・、同種の感覚がほんの少し分かり始めてきてしまいました。
久しぶりに原点に戻って「風に吹かれて」も読み直しましょうか。
新・風に吹かれて 価格:¥ 1,575(税込) 発売日:2006-07-06 |