会社関係の方から頂いたので読んでみました。
著者の大西孝明氏は現在営業コンサルタントですが、その前は、商社や外資系IT企業で大企業相手に営業業務に携わっていたことのことです。
本書では、その実地経験を基にした極めて実践的な営業ノウハウを具体的に開陳しています。非常に基本的なことばかりですが、大手企業を顧客とする新人営業担当者にとっては改めて意識し直すべきポイントも多く記されています。
たとえば、顧客側から見た場合の「商談」の意味についてです。
(p45より引用) 多くの営業部員は「企業の買物」を「個人の買物」と同じに考えて、「安くすれば売れる」と考える傾向があるので、企業と個人のお金を使う目的がまったく違うということを理解させる必要があります。
大型商談は投資ですから、相手先は「絶対的な金額」ではなく「投資対効果」を考えます。つまり、安くても利益につながらないものであれば買わないでしょうし、「早く、大きく、確実に儲かる」と信じれば高額でも買います。
もちろん、大企業といえども「低価格」は非常に重要な選択要素ではありますが、最終的には、商談対象となっている商品・製品・サービスが、自社にとって「投資対効果」の面で魅力的か否かということが、最も決定的な判断基準になります。
この点をキチンと説得できなければ営業としては落第なのです。
さて、その商談ですが、著者は、大企業の現実的な商談関係者を「5つのキャラクター」に分類します。
- 「キング」 :実質決裁者
- 「エンジェル」 :営業の見方になる有力者(営業代理人)
- 「デビル」 :営業の敵になる有力者(競合会社の営業代理人)
- 「サポーター」 :商談には無関係だが情報を提供してくれる人
- 「オーディエンス」 :商談に関係しない人
この中で、日々の商談で最も重要なのが「エンジェル」です。
(p60より引用) 「エンジェル」には「3つの条件」が必要です。
■社内影響力
■商品理解力
■個人的利益
・・・
ちなみに、「商品理解力」とは「商品仕様」がわかることではなく、導入効果を理解できる能力のことをいいます。
商談のプロセスにおけるポイントは「エンジェルを見極める」ことです。
相手が大企業の場合、商談の場での最終的なクロージングは不可能です。かならず、(形式はいろいろありますが、)社内検討・社内稟議という段取りを踏みます。その段取りに「営業マン」が直接関係することはできません。
そういう意味では、営業は「間接的」にならざるを得ず、こちら向きに社内を動かす「社内エージェント(=エンジェル)」が必ず必要となるのです。
(p64より引用) 「営業の仕事は顧客の話を聞くこと」といわれますが、この表現は誤解を招きます。部下に正しく伝えるためには「営業の仕事は、必要な情報を顧客から聞き出すこと」というべきです。
営業活動は、商談を通じた情報から「エンジェル」を見つけ出し、「エンジェル」と共に進めていくものです。
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