頭ではある程度わかっているのに実現できないというジレンマ、この原因は、「感覚系学習回路」と「運動系学習回路」が脳内では直接連絡をとっていないところにあるとのこと。
この状況を解決するためには、一度、頭の中の情報を出力する必要があると著者は説きます。それにより「感覚系」と「運動系」とのバランスがとれてくるのだそうです。
(p36より引用) 感覚系回路からインプットした情報を運動系回路を通して一度外部に出力し、再び感覚系回路で入力する。このサイクルが成立して初めて、感覚系と運動系が同じ情報を共有できるわけです。
そして、その出力を、自分の目で客観的に観察し、よい点、悪い点を分析してみることが重要だといいます。
このサイクルを回すことにより、「最初のインプット」と「アウトプット経由のインプット」とのギャップを解消すべく、脳が活性化するのだと説いています。
そのほか興味深かったのは、脳科学の視点から見た「創造性」についての説明でした。
まずは、「創造性」には「応用可能な形で蓄積された『経験』」が必要だとの指摘。
(p106より引用) 脳に入力された情報や記憶は、運動系の出力を経て「意味付け」をされて初めて、他の状況などに応用可能な「経験」となります。そして、即頭葉に蓄えられている「経験」が、意識を司る前頭葉の方針に従って編集される時、新しいものが生み出されます。つまり「経験」という要素がないと創造性は発揮できないのです。
もうひとつ、「無意識」が生み出す「創造性」のくだりです。
(p119より引用) 意識が処理できることは一度に一つだし、そこには限界があります。しかし、無意識ではもっと並列的にいろいろなことが起りうるのです。
意識は逐次処理、無意識は並列処理といってもいいでしょう。
だからこそ創造性は、基本的に、並列的な無意識の中でしか起りようがないという結論を導き出すことができるのです。
最後に、脳を活性化させる具体的な方法です。
(p180より引用) 脳を本気にさせるためには、リアル(現実)に触れることが大切です。なぜなら人間の脳には「リアルに触れると本気になる」という特性があるからです。
「仮想現実」よりも、やはりホンモノに直接触れる経験は貴重です。
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