いつも利用している図書館の新着本の棚で目につきました。
“哲学” はキチンと学んだことがないので興味だけが先行し、今までも「入門書」的な本は何冊か読んだことがあるのですが、どれも容易くはね返されてしまっています。
多分本書もそうなるだろと思いつつ読み始めたのですが、著者の青山拓央さんの優しい語り口にもかかわらず、やはりそこで解説されている内容にはまったくついていけませんでした。
そういった消化不良の理解の中で、とはいえ、私の関心を惹いたところをひとつだけ書き留めておきましょう。
本書の「おわりに」で青山さんが読者への期待を語っているところです。
(p221より引用) でも、本書にとって何より重要なのは、〈哲学をするとはどのようなことか〉を、本書を通して実際につかみ取る読者が現れることです。・・・
速読力のある読者のなかには、本書の二四の文章を、二、三時間で読み終えてしまえる方もいるはずです。でも、一つひとつの文章で提示されている問いを本気で受け止め、読者が自分自身のなかで丁寧な問答を続けるなら、真の意味で本書を読み終わるまでに、二、三年かかってもおかしくありません。著者としては、そのような素晴らしい「遅読力」を持った読者がいることを期待していますし、また、私自身も、大学での授業で学生たちとの対話を経ながらこの本を何度も読み返していくつもりです。
そうですね、ただ私自身についていえば、何度も読み返したとしても、書かれている1割ですら理解できないでしょう。
本書は、哲学の入門書といっても、過去の有名な哲学者の主張や説、思索の過程や結果を噛み砕いて紹介しようとしたものではありません。哲学に関する “知識の付与” が目的ではなく、読者が “哲学が求める思考の方法・作法” を身に付けるための手引きを企図したものです。
私の場合、そもそもの “考える訓練” に加え、「基本的な構文の理解力」や「哲学的思考に必要な基本概念の習得」も必要なので、本書を読み返すスタートラインに立つまでですら長い道のりになるのは間違いありませんね。
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