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大前研一 洞察力の原点 プロフェッショナルに贈る言葉 (大前 研一)

2011-07-09 19:02:36 | 本と雑誌

 大前教の信者ではありませんが、氏の著作は30年ほど前の「企業参謀」をはじめとしてある程度は読んでいます。

 本書は、大前氏の数多くの著作の中から、Twitterの「ohmaebot」のノリで代表的なキーフレーズを選び出して採録したものです。
 約250のフレーズが、
「第1章 答えのない時代に必要なこと」「第2章 基本的態度」「第3章 禁句」「第4章 考える」「第5章 対話する」「第6章 結論を出す」「第7章 戦略を立てる」「第8章 統率する」「第9章 構想を描く」「第10章 突破する」「第11章 時代を読む」「第12章 新大陸を歩く」「第13章 日本人へ」
といった項目ごとに分類され、原本のまま引用されています。

 たとえば、「第1章 答えのない時代に必要なこと」から。

(p22より引用) 生命力の強さ
誰かに答えを教えてもらうことに慣れた人間より、自分に忠実であり、自分なりの解を出せる人間のほうが生命力が強いに決まっている。 『考える技術』

 こういった「自分で答えを出せ」という姿勢は、多くの大前氏の著作で共通的に発せられているメッセージですね。

 本書の「第10章 突破する 正解への道」の中でも「答えのない時代」でのサバイバル方法としてこんなフレーズが紹介されています。

(p190より引用) 正解への唯一の道
答えのない世界では、新しいことにトライして、試行錯誤していく能力が問われる。「リスクを取る」ということが、正解への唯一の道となる。リスクを軽減しながら、答えのない危険な道を歩むことが、成果を出すための当たり前の方法となるのだ。 『大前の頭脳』

 また、同様の問題意識からのコメントが、最終章の「第13章 日本人へ」でも繰り返し述べられています。

(p245より引用) 答えは自分の外側にあるのか?
日本人は「どこか自分の外側に答えがある」と勘違いしている。そのため、何か困ったことに突き当たると、最初から「この問題の答えはどこにあるのか、何なのか」と考えてしまう。自分が「解決すべき問題はそもそも何か」を考えずに、目先の問題への答えばかりを見つけようとする。 『日経コンピュータ』2008年3月24日号

 そのほか、よく言われる「変化への対応」についての大前氏のアドバイス。

(p99より引用) 変わるべきは自分である
自分の思い込みや思考のクセを排除し、ファクト・ベースで考え、議論する。その結果、変わらなくてはいけないのは自分であり、自社である、という発想ができるかどうかがいま問われているのです。 『ザ・プロフッショナル』

 「自分が変わるべき」という指摘であればどんな書き物にも見られます。大前氏はさらに一歩踏み込んで、自らが変わるための動機づけのステップとして、「ファクトベース」の議論を薦めています。とはいえ「事実からの気づき」を具体的な自己変革のアクションに結び付けられるか、なかなか難しいところですね。

 最後に紹介するフレーズは、「アイデアと独創性との関係」に言及したもの。「第9章 構想を描く」からです。

(p180より引用) アイディアの証明
新しいアイディアが生まれると、あとは計算と実験によってそのアイディアを証明することだ。だが、このアイディアだけを独創性と思い込む風潮が、ないでもない。アイディアは具体的な「道具」、計算や実験によってはじめて意味あるもの、すなわち独創性に変わるのだが、この当然なことが案外に私たちにはわかっていないようである。 『悪魔のサイクル』

 さて、本書、安易なつくりといえばそのとおりですが、改めてヒントになるアドバイスもそれなりにありました。もちろん、もしこの手の体裁の本が好みであれば、「ドラッカー365の金言」から手に取るべきでしょう。


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価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2011-02-24

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