業務のアウトソーシングは、数年前社内IT部門を対象にしたものがブームになりました。
最近では、もう少し広い業務を対象にしたBPO(Business Process Outsourcing)が注目されています。その対象は経理・人事・営業・カスタマケア等、企業の中核業務以外のすべての業務に広がっています。(知らず知らずのうちにコアコンピタンスとすべき業務も切り出し対象にしている場合も無きにしもあらずです)
導入推進の謳い文句は「BPOを導入することにより、企業は顧客に提供する製品やサービスのレベルを落とすことなく、人的資源の最適な配置やコスト抑制を実現することができる」というものですが、これは、よほどうまくやらなくては「幻想」になってしまいます。
そもそもきちんとした企業であれば、アウトソース先の方が(業務内容の習熟度は低いので、その)品質は落ちるのが普通です。
業務と人材を一体で切り出す場合はこの品質の低下は回避できますが、今度はコストダウンが図りにくくなります。切り出された社員は、根本的なメンタリティは旧会社のDNAを引き継ぎますし、切り出し前の給与水準との関わりが出てくるからです。
アウトソーシングが成功するのは、切り出せる業務が特定化でき、そのプロセスがキチンと整備されているもののみです。
そもそもプロセスがキチンと整理されていないと「どの部分を出すべきか」の判断もできないはずです。また、未整理のプロセスだと習熟度の相対的に低い外部リソースに任せることもできません。
さらにもっといえば、キチンとプロセス整備ができるのであれば、何もアウトソーシングしなくても自社内でかなりの効率化は図れるものです。
かといって私はアウトソーシング反対論者ではありません。
手垢のついたフレーズですが、企業が生き残りを賭けて「選択と集中」を進めるには、何がしかのプロセスのアウトソーシングは不可欠です。アウトソーシングを受ける企業でもその業務がコアコンピタンスであるならば、依頼する企業との間でValue Chainが繋がりWin-Winの関係が築けるものと思っています。
企業をまたがるプロセスのValue Chainをうまく築くことが、そのValue Chainを構成する企業群の生き残りの分水嶺になります。
この動きを進めていくと、関連プロセスはValue Web(価値連鎖によるクモの巣)状となり、結局のところ、負け組(この言葉は嫌いですが)への転落を防ぐ「防護ネット」になるのです。
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