たまたま通勤電車内で読む本が途切れたとき、何か軽めのものはないかと会社の寄贈書籍の棚を探していて見つけた本です。
著者はニューヨークヤンキース(当時)の松井秀喜選手。2007年の発刊ですから、まだ現役バリバリのころです。
本書は、松井選手の物事に対する思考法、構えのようなものを自らの体験を踏まえて語ったものですが、上梓のきっかけのひとつには、松井選手の連続試合出場を途切れさせることとなった怪我があるのだと思います。2006年5月11日、守備でスライディングキャッチを試みた際、左手首を骨折するという大怪我を負いました。そのショックからどうやって立ち直ったのか、もちろん、この怪我以外にも、松井選手自身あまりオープンにしていない数々のエピソードが紹介されています。
そういった様々な苦境に陥っても、松井選手は、振り返らず前に進み続けます。
(p65より引用) 悔しさは胸にしまっておきます。そうしないと、次も失敗する可能性が高くなってしまうからです。コントロールできない過去よりも、変えていける未来にかけます。
そう思っていなければ、失敗とは付き合っていけません。
「人間万事塞翁が馬」、この故事成語を松井選手は、運命を受け入れる諦観として捉えるのではなく、次(将来)のための努力の基として活かしています。この将来志向の姿勢は、松井選手のプレーの真摯さにも繋がっていくのです。
(p81より引用) セカンドゴロを打ってしまったとき、「ああっ、しまった」と思います。しかし、僕は全力で走ります。歯を食いしばって一塁へ向かいます。・・・
全力プレーを続けることで、この世でもっともコントロール不能な「人の心」を動かしたいと思います。「松井も頑張っているんだから・・・」と。
さて、本書、一種求道者的な雰囲気を持ちマスコミに対してもあまり多くを語らない松井選手の著作なだけに、内容についてはそれなりに期待するものがありました。ただ、正直なところ、人生訓的な観点からは、これはという目新しい発見はありませんでしたね。
言い方を変えれば、当然のこと、真っ当な考え方を、松井選手は愚直に地道に実践してきたということなのだと思います。
不動心 (新潮新書) 価格:¥ 714(税込) 発売日:2007-02-16 |
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