いつもの図書館の新着図書の棚で見つけた本。
私は英語が全くダメなので、タイトルに反応してしまいました。著者が成毛眞氏であることも気になった原因のひとつです。
意図的だとは思いますが、かなりセンセーショナルな筆が踊ります。
まずは、「まえがき」で明確な著者のメッセージが開陳されています。
(p5より引用) 確かに英語ができればビジネスでは有利になるかもしれない。しかし一方、伝統文化やアイデンティティを損なう危険がある。たかだか金儲けのために教育や思想、伝統文化を犠牲にするのだろうか。
著者は、英語を勉強することを全否定しているわけではありません。日本人のうち1割の人々は、十分に英語を使いこなす必要があると認めています。しかしながら、その他大多数の人々がその目的も不明確なままで「英語礼賛」している状況に大きな疑義を抱いているのです。
(p98より引用) 学生時代にムダにした900時間を取り戻すことはできないが、・・・社会人になってからもTOEICや英検などの勉強のために時間を費やすのも、英会話スクールに通うのも、さらにムダを重ねることになる。
大人の時間は、子供の時間以上に貴重である。
この貴重な時間を、英語学習ではなく「学問」に向けるべきだというのが著者の主張です。
英語はコミュニケーションツールに過ぎない。とすれば、コミュニケーションする必要のある人だけが習得すればいい、その他の人は英語を勉強するくらいなら他に学ぶべきものがいくらでもあるとの考えです。
昨今日本では、幼児期からの英語教育が流行り、小学校からの英語授業等が推進されています。こういった動きに対して、日本語すら満足に習得していない段階で、その教育を疎かにして英語教育偏重に傾くとは何事かと憂いているのです。
(p140より引用) 言葉は人格を形成する骨格となるものである。その国の文化を理解するのも、歴史を理解するのも、その国の言語を自分のものとしているからである。人は言葉によって思考するのだから、その言葉がおぼつかないと、思考まで揺らいでしまうのである。
さて、本書で最も印象に残ったくだりは著者の直接の主張ではなく、ガンジーの慰霊碑に刻まれているという「七つの社会的罪 (Seven Social Sins)」に言及している部分でした。
これは、京都大学原子炉実験所助教小出裕章氏の講演で触れられたものとして紹介されていました。
(p110より引用)
原則なき政治(Politics without Principles)
道徳なき商業(Commerce without Morality)
労働なき富(Wealth Without Work)
人格なき学識(教育)(Knowledge without Character)
人間性なき科学(Science without Humanity)
良心なき快楽(Pleasure Without Conscience)
献身なき信仰(Worship without Sacrifice)
今の日本はすべての罪を抱えてしまっている。
確かにそのとおりです・・・。
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