「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を読んで、久しぶりにドラッカー関係の本を手に取りました。
ドラッカー氏の著作の翻訳で有名な上田惇生氏が、「週刊ダイヤモンド」に「経営学の巨人の名言・至言-3分間ドラッカー」とのタイトルで連載しているものの編纂・再録です。
構成は、「Ⅰ 成果をあげる」「Ⅱ 強みを引き出す」「Ⅲ 組織を動かす」「Ⅳ 人を動かす」「Ⅴ 変化を捉える」との5章から成っています。
まずは、前半部分から私が関心をもったフレーズを覚えに書き記しておきます。
仕事を進めていくうえでの基本動作である「優先順位」についてのドラッカーの考えです。
(p47より引用) 優先順位の分析については多くのことが言える。しかしドラッカーは、重要なものは分析ではなく勇気だという。彼は優先順位の決定について、いくつかの原則を挙げる。・・・
第一に、過去でなく未来を選ぶ。第二に、問題ではなく機会に焦点を合わせる。第三に、横並びでなく独自性を持つ。そして第四が、無難なものではなく変革をもたらすものに焦点を合わせる、である。
優先順位付けのメルクマールが「将来の可能性へのチャレンジ」であることが、正にドラッカー的です。
さて、将来へのチャレンジにはリスクが付き物です。この「リスク」に関して、ドラッカーはこう語っています。
(p104より引用) 「リスクには基本的に、四つの種類がある。第一に負うべきリスク、第二に負えるリスク、第三に負えないリスク、第四に負わないことによるリスクである」
この指摘ですが、理論的(MECE的)には、第四は「負うべきでないリスク」となります。が、ここでは、「リスクを負わない」という消極的態度に対する重要な気づきとして、敢えて「第四のリスク」を強調して指摘しているのでしょう。
(p104より引用) 「もちろん何かを起こすにはリスクが伴う。しかしそれは合理的な行動である。何も変わらないという居心地のよい仮定に安住したり、ほぼ間違いなく起こることについての予測に従うよりも、リスクは小さい」
「変化」している経営環境下においては、「リスクをとらないことが大きなリスクになる」ということを改めて伝えているのです。
さて、これらのほかに基本的な姿勢として、本書の中で何度も登場するのが「貢献」というコンセプトです。
(p48より引用) 貢献に焦点を合わせることによって、コミュニケーション、チームワーク、自己啓発、人材育成という、成果をあげるうえで必要な四つの基本条件を満たすことができる。
「貢献」について深く考えることは、目標に向かう高い視線とそれを実現するための基礎的な営みへの目配りとを求めます。成果は、個人プレーで成し遂げうるものではないという考え方です。
もうひとつは「正しい問いの立て方」。
(p157より引用) 「戦略的な意思決定では、範囲、複雑さ、重要さがどうであっても、初めから答えを得ようとしてはならない。重要なことは、正しい答えを見つけることではない。正しい問いを見つけることである」
いきなり答えを求めるのではなく、何を求めているのか、解決したいのかを改めて考え直すことの必要性を説いています。
まずは「問い」から始まる。物事の本質に立ち戻ること、そこからすべてが出発するということです。
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大変参考になり共感と共に関連の書籍で勉強
させてもらおうと思います。
貢献に焦点を合わせることによって、コミュニケーション、チームワーク、自己啓発、人材育成という、成果をあげるうえで必要な四つの基本条件を満たすことができる。
本当に核心をついていると思います。
中庸とも相通じるものだと
目標に向かう高い視線とそれを実現するための基礎的な営みへの目配り成果は、個人プレーで成し遂げうるものではないという考え方も全く共感です。
これに近づけるよう頑張ろうと思います。
コメント、ありがとうございます。
「貢献」という姿勢は、自分を真ん中においてみて、四方八方がその対象となります。
「one for all」
各人の存在意義でもあると思います。