OMOI-KOMI - 我流の作法 -

For Ordinary Business People

〔映画〕ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク

2025-01-15 21:27:04 | 映画

 
 1997年に公開されたアメリカ映画です。
 
 スティーヴン・スピルバーグが強烈なインパクトを残した秀作「ジュラシック・パーク」の続編です。
 もう何度も観ていますが、久しぶりにまた手を伸ばしてしまいました。
 
 ストーリー自体、特筆すべきところはありませんが、30年近く前にSFXで作られた映像としては、今観直しても見事な出来栄えだと思います。凝り過ぎもしない、程よいリアリティを産み出しているのがいいですね。
 
 大ヒット作の“二番煎じ”であっても、十分及第点を獲得しています。

 

 

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〔映画〕アナログ

2025-01-14 23:28:12 | 映画

 
 2023年に公開された日本映画です。
 
 ストーリーラインも登場人物の組み合わせも、ともかくぎらついた設定も織り込まれいない典型的な “純愛物語” です。心穏やかに数々のエピソードが進んでいき、適度なサプライズから程よいHappy Endのラストに至ります。
 
 ただ、それでもこの作品は、圧倒的な意外性を発揮しているのです。
 原作の小説の作者が「ビートたけし」さんなんですね。これには本当にびっくりしました。
 
 キャスティング面で特筆すべきは、やはりヒロインの波瑠さんでしょう。彼女が醸し出す独特の軽やかで透明な空気感は他の役者さんからはなかなか感じることはできませんね。

 

 

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男のおばあさん ~楽しく年をとる方法~ (永 六輔)

2025-01-13 11:41:52 | 本と雑誌

 いつも利用している図書館の書架を眺めていて目につきました。

 永六輔さんのエッセイは、今までも「伝言」「芸人」等を読んでいますが、ほのぼのとしたユーモアと鋭いウィットとがとても楽しいですね。

 本書は、TBSのラジオ番組「永六輔の誰かとどこかで」での話題をもとに書籍化したものとのこと。お年を召してもなおてんこ盛りの “永さん節” の中から、特に私の心に響いたところを覚えとして書き留めておきます。

 まずは、永さんがラジオとの関わりを語っているくだり。
 本書で転載された「永六輔の誰かとどこかで」という番組は46年も続いた長寿番組です。永さん自身、ラジオ番組との付き合いはなんと65年にもなるそうです。

(p135より引用) 毎日やっているっていうことは、怪我をしても、入院しても、何してもやっている。・・・
 そのくらい、ラジオに毎日関わって仕事をしてきたということが、僕にはプライドなんですね。ありがたいことに、僕のプライドであると同時に、ラジオはそれができるんです、機能として。
 だったら、ラジオの仕事を選んだ以上、ラジオの周りを流れている風を、きちんと流すべきだと思うんです。

 今でも “ラジオ番組” にはパーソナリティや番組そのものの “色” や “香り” が感じられるものがいくつも残っていますね。

 当時のラジオ関係で、もうひとつ。永さんの盟友小沢昭一さんとの思い出。

(p218より引用) 小沢さんに最後に言われたのは、「ラジオをやめるな」でした。
「言ってることがわからなくても、声が出なくても、あなたがマイクの前にいるってことが伝わればいいんです。
 いいですね、ラジオをやめないで」 
 初めて、小沢さんの前で泣きました。

 そして最後に、永さんが、病院での「お見舞い」を話題に、見舞い客の “スマートな振る舞い” を紹介しているところ。

(p141より引用) ちなみに、日本一のお見舞いは、僕は、ピーコでしたね。
 時間が短い。通り過ぎて行くみたいに。
「お座りなさいよ」「じゃあ、ちょっと」とか、「お茶は」「いや、お茶なんか」、そういうやりとりもなくて、病室を通り抜けて行きながら、窓を開けて風を通して、挨拶も全部すませて、いなくなっちゃったの。
 だからって、誰もがそれがいいとは言いません。
 言わないけど、それの似合う人がいい。研ぎ澄まされたムダのない言葉遣いをふだんからしている人は、やっぱりうまい。
 ふだんが、やはり、こういうところにも出てきますね。

 “粋” ですね。ただ、これも自分と相手が似たような価値観を共有してこそでもあります。
 そういう “友” をもっていることが、また素晴らしいですね。

 

 

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〔映画〕すずめの戸締まり

2025-01-12 11:18:38 | 映画

 
 2022年に公開された日本のアニメ映画です。
 
 原作・脚本・監督は新海誠さん。光の表現が卓越した綺麗な映像は出色の出来栄えです。
 深津絵里さん、染谷将太さん、伊藤沙莉さん、神木隆之介さん、松本白鸚さん・・と、声の出演者の方々の豪華さにも驚かされます。
 
 タイトルからはどんな物語なのか全く想像できませんが、アニメーションならではの “ハートウォーミング・ファンタジー” とでもいうのでしょうか。
 
 いまだに何かと「3.11」を背景にもってくるのはどうかと思いますが、“扉” の発するメッセージを伝えるにはこの上ないモチーフではありますね。

 

 

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〔映画〕黒いチューリップ

2025-01-11 10:57:12 | 映画

 
 1964年に公開されたフランスのフランス、イタリア、スペインの合作映画です。
 
 純粋なアクション作品というよりは、フレンチテイストのコメディですね。
 
 アラン・ドロンの一人二役が見ものだったのでしょうが、こうやって比べてみると、正直なところやはりドロンは “クールな二枚目” の方が似合っているようですね。
 
 彼にとっては比較的初期の作品ということもあって、あれこれ多彩な役柄にチャレンジしていたころなのかもしれませんが、コミカルなスタイルは、いかにも “お調子者”っぽくて頼りなげに映ります。

 

 

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横浜殺人事件 (内田 康夫)

2025-01-10 19:49:48 | 本と雑誌

 かなり以前に読んでいた内田康夫さん “浅見光彦シリーズ” ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。

 ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら “シリーズ全作品制覇” にトライしてみようと思い始めました。

 この作品は「第31作目」です。今回の舞台は “横浜”

 「横浜」は、プライベートでは何度も訪れていますが、最初の社宅が南区にあって数年住んでいましたし、その後も中華街そばのビルでの勤務経験もあるので、私にとっては殊更馴染みのある土地柄です。
 まさに “横浜” ならではとしか言い様のない唯一無二の風情が感じられる街なんですね。

 さて、そういった異国情緒溢れる横浜にまつわるエピソードを盛り込んだこの作品、ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、今一つ私には合わなかったですね。

 ちょっと変わった “誘拐” の設定には工夫を感じましたが、このシリーズには珍しく物語の流れ自体が澱んでいました。そもそも起こった事件の必然性に納得感がなかったというのが最大の要因でしょう。加えて、ラストのキレもなく、いかにも消化不良の出来だったように思います。

 私の大好きな街のひとつである “横浜” が舞台だっただけに、何とも残念でした・・・。

 さて、取り掛かってみている “浅見光彦シリーズ制覇チャレンジ”、それほど強い意志をもって完遂しようとも思っていませんので、まあ、“どこまで続くことやら”です。

 次は、32作目の「金沢殺人事件」ですが、出張した場所絡みで一度読んでいるので、33作目の「讃岐路殺人事件」に進みましょう。

 

 

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〔映画〕ブロンクス物語/愛につつまれた街

2025-01-09 12:07:37 | 映画

 
 1993年に公開されたアメリカ映画です。
 
 アメリカでまだ人種差別が常態だったころのマフィアの世界が舞台ですが、内容は “青春映画” ですね。
 
 シンプルでしっかりとしたストーリーラインに丁寧な演出が施された佳作だと思います。織り込まれた各々のエピソードがとても効果的でした。
 
 キャスティング面でも、主役格のロバート・デ・ニーロとソニー - チャズ・パルミンテリを二本柱は言うに及ばず、好漢リロ・ブランカート・ジュニアが新鮮な演技で印象的でした。
 そのチャズ・パルミンテリが原作、ロバート・デ・ニーロが監督というのもすごいですね。

 

 

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〔映画〕蛇の道

2025-01-08 09:48:21 | 映画

 
 2024年に公開されたフランス・日本・ベルギー・ルクセンブルグ合作映画です。
 
 フランスが舞台になっていますが、もともとは同じ監督が日本で制作した作品のセルフ・リメイクとのことです。
 
 ストーリー自体、粘着質的なテイストで全く私の好みではなく、加えて、主人公を含め登場人物に共感するところもなく、全編、陰湿なトーンで覆われています。
 
 ラストにはちょっとしたサプライズが織り込まれていますが、それもインパクトはなく、観終わって、結局何だったのこの映画は?といった印象でした。
 ちなみに、その最たるものが、西島秀俊さんの役回りですね。意味不明です。

 

 

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冬の狩人 (大沢 在昌)

2025-01-07 21:35:06 | 本と雑誌

 このところ気分転換に読んでいるミステリー小説は、読破にチャレンジしている内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”に偏っているのですが、時折、以前よく読んでいた大沢在昌さんの作品の中から未読作にもトライしています。

 定番の “新宿鮫”シリーズに加え、最近は “魔女”シリーズにも手を広げました。今回は、図書館で目についた “狩人”シリーズです。

 さて、ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、本作、卓越したストーリーテラーとしての大沢さんの持ち味が存分に発揮されていて十分楽しめましたね。

 ともかく、登場人物のキャラクタ設定が見事です。
 個々人としてもそうですし、その面々を組み合わせたバランスもよく計算されているように感じます。(大沢さんに言わせれば、最初から緻密に設定しているわけではないということかもしれませんが・・・)今回は特にカギとなる「」つきの人物の扱いが絶妙でしたね。
 これでは、続編が出たら手を伸ばさないわけにはいかないでしょう。

 とはいえ、大沢さんの執筆ペースだと近々の新刊発表はないでしょうから、とりあえずは、ぼちぼちと、シリーズ第1作目に遡って読んでみたいと思います。

 

 

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〔映画〕13デイズ

2025-01-06 12:18:12 | 映画

 
 2000年に公開されたアメリカ映画です。
 
 米ソが核戦争に突入する一歩手前まで緊張が高まった1962年のキューバ危機を題材にした作品です。
 映画というダイナミックな表現形式が相応しいモチーフですね。
 
 とはいえ、ケネディ兄弟やアメリカ軍首脳部の描き方にはかなりバイアスがかかっているようで、それを含め、もちろんエンターテインメント映画ですから史実とは異なる演出はあるのでしょう。
 
 それでも、「こういう緊迫した場には決して居たいとは思わない」と感じさせるリアリティは十分で、なかなかに見応えのある出来栄えでした。

 

 

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〔映画〕狼たちの報酬

2025-01-05 16:19:40 | 映画

 
 2007年に公開されたメキシコ・アメリカ合作映画です。
 
 サスペンスタッチのオムニバス形式で物語は進んでいきます。それぞれの絡みを経てラストに至るのですが、構成は稚拙でストーリー展開もかなり無理筋です。
 
 そのあたり、フォレスト・ウィテカー、ブレンダン・フレイザー、ケヴィン・ベーコン、さらにはアンディ・ガルシアまで居並ぶという豪華なキャスティングにも関わらず専門家の評価が低いところかもしれませんが、私としては思っていたよりは素直に楽しめました。
 
 やはり、私の鑑賞眼は当てにならないようですね。

 

 

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インドの台所 (小林 真樹)

2025-01-04 17:09:55 | 本と雑誌

 いつも利用している図書館の新着本リストで目についたので手に取ってみました。

 世界最大の人口を有する “インド”、かの地における多種多彩な人々の「生活」の様子は、個人的にはとても興味のあるテーマです。
 その点を「台所」というキーワードで掘り下げた本書、著者の小林真樹さん自ら現地に足を運び、直接現場を見、その地の人々の話を聞き、そこからいったいどんな新しいことを伝えてくれるのか大いに気になります。

 ということで、予想どおり目新しい発見が数多くありましたが、その中から特に私の関心を惹いたところを書き留めておきましょう。

 まずは、「インド式パン文化の根源」との章から。
 西インド、ゴアでのポルトガル由来の “パウ” というパンをめぐっての小林さんの思いです。

(p275より引用) パウというと一つ一つ微妙に形の異なる、素朴な手作り感が持ち味だが、やがて大規模工場で大量生産された無機質なパウにとって代わられるかもしれない。ゴアにも広大な売り場面積を持つスーパーマーケットがあり、きれいに包装されたブレッド類が売られはじめている。こうした棚に、いつ大工場製のパッケージされたパウが並ばないとも限らない。しかし幸いなことに、ゴアの街なかでいつも混みあっているのは昔ながらの小さなベーカリーやポダーである。朝夕ともなると古びた小さな店先にゴアの老若男女が集まってくるのはとても情緒のある光景だ。部外者はいつもその土地の内情も知らず身勝手な願望を抱きがちだが、願わくばこの昔ながらのゴアの光景がいつまでも続いて欲しいと思った。

 この気持ちは良くわかりますね。今の日本でも、“街のパン屋さん” を訪ねるのは楽しいものです。

 そして、もうひとつ、南インド、ディンディッカルという地方都市の乳製品工場の工場長宅とその従業員の女性宅を訪れたときの小林さんの感想。

(p118より引用) 片や最新機器であふれた大きく快適な台所、片や古くからある庶民の小さな台所を、まるで時間旅行のように一度に訪問して比較できたのは収穫だった。そしてこのまったく違うタイプの二つの台所が、同じ時代の同じ地域内に並存している点が、現代インドを象徴しているように思えた。

 もちろん、これはまだまだ格差が小さい部類でしょう。インド全体でいえば、別の世界、別の時代だと見紛うほどの途轍もない差があるはずです。
 その象徴的な風景のひとつがムンバイの中心部で見られます。

(p226より引用) 多くの旅行者は空路ムンバイに着くと空港からタクシーに乗り、ウエスターン・エクスプレス・ハイウエイを通ってホテルが集まる市内南部へと向かう。その車窓からは、大都会ムンバイを象徴する二つの対照的な景色が見えてくる。一つは躍進するインド経済を体現したかのような超高層ビル群。集まる富を束ねて無理やり形を与えたような、奇抜なデザインの造形が多い。そしてもう一つは、点在する大小様々なスラム街。すすけた黒っぽい建物の集合体をよく見ると、屋根をブルーシートで覆った小さなバラックが互いに寄りかかるようにして建っているのがわかる。このスラム街越しに見る超高層ビル群というコントラストほど現代インドの貧富の差を如実に感じさせる光景はない。

 さて、本書を読み通しての感想です。

 おそらく私自身、今後も気になりながらも訪れることはないであろう “インドの日常風景” を、「台所」という独創的な切り口で紹介してくれたユニークな紀行文ですね。
 本書で描かれた現地の人々の暮らしぶりは、初めて知ることも多く、とても興味を惹くものでした。

 願わくば、巻末の用語集での解説に加えて、それぞれの食器や調理道具の写真がもう少し豊富にあれば、もっと具体的なイメージが広がるだろうと思いました。

 

 

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〔映画〕劇場版 SPY×FAMILY CODE: White

2025-01-03 17:44:53 | 映画

 
 2023年に公開された日本映画です。
 
 「少年ジャンプ+」に連載中の人気コミックが原作で、テレビアニメでも大人気の作品が劇場映画化されました。
 
 洒落た“ハートフル・コメディ”タッチで、ともかく登場人物のキャラクタ設定が秀逸です。個々のキャラクタに加え、それらの組み合わせで見事にシナジーを発揮していますね。
 
 この劇場版は、ありがちなテレビアニメのダイジェスト版ではなく、フォージャー家の面々を中心にテレビアニメに登場する主要キャラクタの出番もうまく取り込んだオリジナル・ストーリーとしてしっかりと作り上げられています。
 作品が発する心温まる優しいテイストを活かし切った秀作だと思います。

 

 

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〔映画〕虹の女神 Rainbow Song

2025-01-02 16:12:18 | 映画

 
 2006年に公開された日本映画です。
 
 “せつない系ラブストーリー” 、大きなストーリーラインはありがちな流れですが、その分、奇を衒っていないだけ素直に心に響きます。
 細かなセリフ回しやしぐさでしっかりと主人公たちの心情が表現されています。
 
 キャスティング的にも、小日向文世さん、佐々木蔵之介さんといった芸達者に加え、そのままのキャラで効果的なアクセントとなった相田翔子さん、さらに酒井若菜さん、鈴木亜美さんといった面々が脇を固める中、上野樹里さん、蒼井優さんの二人は素晴らしかったですね。
 演技の上手さという技巧的なものではない、そのままの感性の伝播を感じます。

 

 

 

 

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隅田川殺人事件 (内田 康夫)

2025-01-01 12:09:45 | 本と雑誌

 

 かなり以前に読んでいた内田康夫さん“浅見光彦シリーズ” ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。

 ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら “シリーズ全作品制覇” にトライしてみようと思い始めました。

 この作品は「第30作目」です。今回の舞台は “隅田川(東京都)”

 さすがに “隅田川” に出張というのはあり得ませんね。私も23区内ではありませんが、東京住まいですから、プライベートでは隅田川あたりは何度も訪れています。

 学生のころは叔母が本所吾妻橋に住んでいて、郷里にいたころも大学に入って板橋区に下宿住まいをしていたころも、しばしば遊びに行っていました。浅草の対岸、吾妻橋を渡った袂にある佃煮の海老屋總本舗本店が懐かしいですね。

 この作品でも、浅草あたりの描写がありますが、内田さんが本作を書いていたころは、浅草あたりが少々裏ぶれていたころだったようです。今のインバウンド観光客が大挙して押し寄せて大いに賑わっている様子とは隔世の感がありますね。

 さて、ミステリー小説ですからネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、この作品も “量産期の乱造” に近い出来でしたね。
 ともかく、犯行の動機が荒っぽ過ぎて、繊細な謎解きのプロセスが生まれようもありませんし、事実、光彦の推理も何とも独断的で発想にキレがありませんでした。さらには、このシリーズにしてはとても珍しいラストシーン。こういう幕引きには心に残るような余韻の欠片も感じられません。久しぶりに “イマ3” ぐらいの不満さ加減です。

 さて、取り掛かってみている “浅見光彦シリーズ制覇チャレンジ”、それほど強い意志をもって完遂しようとも思っていませんので、まあ、“どこまで続くことやら”です。

 次は、31作目の「横浜殺人事件」ですね。

 

 

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