今回の車は、VWニュービートルです。
旧い話をしますと、初代ビートルは第二次世界大戦頃から、西ドイツ国民の大衆車とし発売されました。ヨーロッパをはじめアメリカや日本など、初代ビートルは世界的な大衆車になっていきました。あの独特な丸みを帯びた曲線、そして水平対向空冷4気筒のあの独特な今にもエンジンが止まってしまいそうな音が、世の中の人々に愛されていたと思います。日本でも現在の天皇陛下が若き日に、黄色のビートルに乗っていたのを、テレビで見た事があります。過去に僕も一度だけ乗った事がありますが、日本車の運転になれている僕でしたが、あのビートルの床下から出ているオルガン式ペダルといい、4速マニュアルの少し傾いたシフトパターンといい、どうも乗りにくい車という感じしかありませんでした。車を動かす装置(ハンドル・ペダル・サイドブレーキ・ウインカー・ワイパー)以外に、丸いスピードメーターと空調レバーとラジオしか付いていなかったです。ダッシュボードには物は置けないし、フロントガラスは視界が狭いし・・・多分長く乗っていれば、凄く愛着が湧き好きになるとは思いますが?そんな感じなので、僕はVWビートルはあまり好きではありませんでした。 ビートルはドイツ本国では、随分前に生産を中止してしまいました。しかし世界にあるVWの工場(南アフリカ・ブラジルなど)では、ニュービートルが登場する間際まで新車が作られていました。時代に合わせてエアコンや本皮シートの装備された車も合ったようですが、やはり登場した時から変わらないあのビートルの形は、ハイテクな自動車社会には合わなくなってしまったのでしょう。
そこで登場したのがニュービートルです。僕は旧ビートルの印象があまり好きではなかった為、ニュービートルが登場してもそれ程驚きもせず、本当に興味が無く今まで来ました。そして今回ニュービートルに乗る事になりました。旧ビートルの駆動方式はリヤエンジン&リヤドライブのRRですが、ニュービートルはフロントエンジン&フロントドライブのFFになりました。外観は旧ビートルの面影を残しているのに、ビートル伝統のRRを何故残さないのかと、僕がニュービートルを気に入らない一つの理由がそこにあります。でもこれも仕方ないのかなと、ちょっとは思いますが・・・。まあ仕事ですので、仕方なくとは言いませんが乗ることにしました。
まずは外観ですが、オーバーフェンダーをそのまま残し、丸くなったせいなのか少し大きく思えます。そして窓ガラスが大きくなり、車としての見た目のバランスがいいです。無駄なカットやラインを作らずシンプルなフォルムは、スポーティーでもありどこか愛嬌の有る車に思えます。 では乗ってはどうでしょう?ドアを開けシートに座って見ました。おもしろい事に、旧ビートルのメータの形を受け継ぎ、丸く大きなメーターが1個あります。その中に回転計や燃料系が納まっています。そしてやはり室内はシンプルです。一つ変わったのが、今の時代に合わせてドリンクホルダーがついていることです。あたり前ですがペダル類も普通の車と同じ形です。そして今ひとつ理由がわからないのが、ハンドルの左手のダッシュボードの所に有る一輪挿し?これってニュービートルに乗る人への心遣いですか?
では走って見ることにします。明らかに違うのが、エンジンをかけて音が静かな事です。かすかにフロントからエンジン音はしますが、あの旧ビートルとは違います。オートマシフトをDレンジに入れアクセルを踏むと、あたり前ですが普通に走ります。FF車なので、ハンドルを切った時にスムースな反応でコーナーを廻って行きます。そして外観からも分かりましたが、フロントガラスが大きく視界もいいです。そしてフロントガラスに角度が付いたおかげで、ダッシュボードが広くなり、運転していても圧迫感がありません。張り出したタイヤハウスは、運転時の車幅感覚もさほど意識しなくても大丈夫です。今回の車は、ニュービートルEZのエンジンは、直列4気筒SOHCの1.6リッターで102馬力です。車重が1250kgという事で、1.6リッターエンジンでも十分が走りをします。勿論この上のグレードには、1.8ターボや2.0リッター車がありますが、普段の街乗りには、この1.6でいいと思います。燃費もメーカーカタログ数値で11.2km/lになっているので、経済的にもお買い物車としてもオシャレで便利な車です。ただやはりリヤシートの空間が狭く、大人4人の長距離は結構大変かと思います。高速道路を走行しても、巡航100kmの走行はストレス無く、1.6リッターカーとは思えない走りをします。
あれほどニュービートルを嫌っていた僕ですが、実際に乗って見ると凄く運転しやすくて、逆に好きになりました。
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