故郷は荒れた やっぱり放射能が不安
風の行方(31) 第2部(20)「仮の町構想」(15) 帰らない人々(4)
帰還意向で、判断がつかない(帰還するかどうかわからない)と回答した人の割合は、表のようになっている。
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大熊町 |
浪江町 |
双葉町 |
冨岡町 |
判断がつかない |
43.5% |
29.4% |
26.9% |
43.3% |
平均で35.8%の人が、帰還の意志を明確に明示できないでいる。
その理由として、最も多いのが、「放射線量に対する不安があるから」(70~80%)、
そして「原子力発電所の安全性に不安があるから」を理由に挙げている人も多い。
かけがえのない故郷であるけれども、
安全神話が崩壊し、帰還困難区域に指定され、全員避難を余儀なくされた人にとって、
避難指示区域再編で解除準備区域に指定されても、
放射線量や原子力発電所への恐怖や不安はおいそれとぬぐい去ることはできない。
当然のことだろう。
津波に襲われ、かけがえのないものを奪われた。
追い打ちをかけるように、原発事故による放射能汚染が、
見えないカーテンのように人びとを被(おお)った。
生まれて初めての死の恐怖と生への限りない不安。
本当に故郷の家に帰れるのか。
傷んだ家 カビ ネズミのふん 空き巣に荒らされた部屋 乱雑に家具の散らばった部屋を見れば、
あの日の恐怖が、辛く悲しい記憶となって蘇ってくる。
帰還困難区域から解除準備区域に再編されたとはいえ、
二年数か月も無人のまま放置せざるを得なかった家は、人が住めるような状態ではない。
自然の脅威は、無人となった「人間の町」を、驚くべき早さで元の自然に還そうと、
家や畑や田んぼを2年数カ月の間に駆逐してしまった。
とりあえず除染により、
放射性物質の軽減を計り、地域住民の帰宅を推進する、という意図は理解できる。
しかし、仮に早く帰ることができても、
行政やライフライン、日常生活に必要な店、病院、学校、介護システムなどが機能しない限り、
生活するのは難しい。
だから、帰還することに、不安を感じてしまうのだ。