雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

人生の扉

2018-11-06 22:39:31 | ことの葉散歩道

人生の扉 幾つもの扉をくぐり抜けて……

  「人生には扉がある。
 若者はその扉を開け、社会という世界に入る。
 働き、努力して地位を得、妻をめとり、子を授かり、家庭を築く。
 老いて仕事の終わりの扉を出て、悠々自適、余生を楽しむ」

                       池宮彰一郎 エッセイ集「義、我を美しく」より 

  仏教の教えの中では、人生には「生老病死」という四つの「苦」があると説いています。
   人生における免れない四つの苦悩です。
   「生きる」ことそのものが「苦」に繋がり、やがて「老い」という避けられぬ衰えを経験して、
   或いは「病(やまい)」に侵されて「死」を迎える。
   人生が本当にこんな形で進んで行くとすれば、とても辛い修行の連続になってしまいます。
   だが人間には「希望」という最も大切な感性があります。
   希望の扉を一つ開ける。
   扉の前に現れた現実が不幸な現実であっても、人間には「闘う力」がある。
   闘いながら次の希望に向かって進んで行くことができる。
   しばしば、「夢」は現実から乖離する場合があるが、
   「希望」には、次の扉を開いて前に進んで行く力が備わっている。

   働き、努力して地位を得、妻をめとり、子を授かり、家庭を築く。
   老いて仕事の終わりの扉を出て、悠々自適、余生を楽しむ。

   人生行路はそれ程単純で、思い通りに展開するものではないけれど、
   「夢」や「希望」を乗せ、社会という荒波にもまれながら、
   たどり着く浜辺が、穏やかで波静かな浜辺であったら
   それが人生の幸せというものではないか。

           ※ 池宮彰一郎(1923年-2007年) 脚本家、作家。
              代表作「最後の忠臣蔵」
             「義、我を美しく」は新潮社、1997年、新潮文庫 2000年)
(ことの葉散歩道№45)

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