この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

サイレントヒル。

2006-07-02 22:04:52 | 新作映画
 クリストフ・ガンズ監督、『サイレントヒル』、三井グリーンランドレインボードームにて、試写会で鑑賞。

 恐怖の根源とは一体どこにあるのでしょうか。
 無論答えの一つしかない問いではありませんが、信じることで恐怖は始まるのだ、そう断言してもあながち間違いとはいえない、そう思います。
 幼子は闇を恐れます。幼子は誰に教わるでもなく、暗闇の片隅に、この世のものならぬ気配を感じているのです。
 多くの人々は死の向こう側に想像を絶する恐怖が待ち構えている、そう信じています。だからこそ、彼らは死を怖れるのではないでしょうか。

 『サイレントヒル』は信じるものたちの物語です。
 サイレントヒルに姿を消した一人娘のシャロンを追って、ローズは、ただひたすらサイレントヒルの街を彷徨います。自らの非力を十分承知はしていても、娘を助け出せるのは唯一自分だけなのだと信じて。
 女性警官シビルは自らの信念に従ってローズの手助けをします。時に勇猛果敢に、時に命を賭してまで。
 また神の栄光を讃えるものたちも『サイレントヒル』には出てきます。彼らは自らの正義を些かたりとも疑っていません。絶対的な正義など、この世にはどこにもないというのに。
 そして闇に包まれた街に消えた妻と娘の帰りを待つ、誠実な夫であるクリストファーがいます。最終的に彼には妻と娘の無事を信じることしか、二人のために為し得ることは残されません。

 それぞれの信じるもの、そして信仰が出会い、時に共鳴し、時に衝突し、時に悲劇を生み、物語はやがてクライマックスを迎えます。
 はたしてクリストファーは無事妻と娘を家に再び迎え入れることが出来るのでしょうか。それとも・・・。

 映画『サイレントヒル』はホラー映画の最高傑作だ、というわけではありませんが、ゲーム原作の映画としては出色の出来といってよいと思います。
 出てくるモンスターも非常にユニークで、ウーウーと唸りながら両手に前を突き出して歩くゾンビや、両手で這いつく張って高速移動する貞子もどきのキャラクターに辟易としていた自分には好ましかったです。
 『サイレントヒル』、この夏、良質のホラー映画を楽しみたいという方、また原作のゲームのファンという方、お薦めです。
 あ、そうそうカップルによってはデートムービーとしてもいいと思いますよ。あくまでカップルによっては、ですが。笑。 
コメント (10)
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