この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

101匹モンスター大行進、『キャビン』。

2013-03-16 19:58:07 | 新作映画
 ドリュー・ゴダード監督、クリステン・コノリー主演、『キャビン』、3/16、Tジョイ博多にて鑑賞。2013年14本目。


 ホラー映画を観ていると、しばしば「???」と首をひねりたくなることがあります。
 例えばゾンビものだと、セーフティハウスに逃げ込んだ主人公たちが(セーフティハウスは作品によってアパートの一室だったり、豪邸だったり、ショッピングセンターだったりします)、これといった理由もなくそこを放棄し、別の場所へと移動しようとして、「え?」と思っちゃうんですよ。
 せっかく安全な場所にたどり着いたというのにどうして危険を冒して他の場所へ行こうとするのか、自分にはまったく理解できません。
 どうしても移動しなければならない事情が発生するまで、そこにとどまっていればいいじゃないですかねぇ。

 けれど普段はそういったホラー映画の矛盾点、疑問点はスルーすることにしています。
 何といってもホラー映画は観客を怖がらせること、驚かすことに主眼を置いて作られていますから、多少の脚本の疵は目をつぶるべきだってことは百も承知しています。
 第一いつまでも主人公たちがセーフティハウスに籠っていたらホラー映画にならないですからね。笑。

 そんなこれまでスルーされてきた矛盾点、疑問点をあえてクローズアップし、「ホラー映画の登場人物は何ゆえ(一般的な行動基準に)矛盾した行動を取るのか?」という疑問に答えるべく作られたホラー映画がこの『キャビン』です。
 よく言えば辻褄を合わせようとする、悪く言えば重箱の隅を突く、そのスタンスはすごく好感が持てます。
 ホラー映画では(ときにミステリー映画においても)登場人物はやたら単独行動をしたがるんですよね。その結果悲惨な目に合っちゃう。
 これまでは「アホな奴だな~」ぐらいにしか思わなかったんですが、本作ではその行動に理由付けがされていて、なるほど~と感心しましたよ。

 ただ、残念ながら感心することばかりではありませんでした。
 本作は既存のホラー映画の矛盾点、疑問点をクローズアップする映画ではあるのですが、その割には結構「???」と首をひねりたくなるシーンがあるんですよね。
 主要な登場人物である五人の大学生は生贄として選ばれ、モンスターによって殺されなければならない、という設定です。
 であるにもかかわらず、途中明らかにモンスターとは無関係な死に方をする登場人物が出てくるんですよねぇ。
 その死に方で問題ないのであれば、別に無理矢理モンスターに殺させなくてもいいんじゃないの?って思わずにはいられませんでした。
 他にもそれはちょっとおかしいんじゃないのかなぁという箇所がいくつかありました。
 普段であればそういった矛盾点、疑問点は気にしないようにしているのですが、前述の通り本作は既存のホラー映画の矛盾点、疑問点を突く作品ですから、余計気になっちゃいました。

 とはいえ、終盤の101匹モンスター大行進!!みたいな怒涛の展開は文句なく面白かった!!
 あ~、このシーンはあの映画のアレだよねぇ、とチェックしながら観ると楽しさも倍増なんじゃないでしょうか。
 ホラー映画好きにはたまらない一本だと思います。
 ただ、上映館が少ないので地方に住んでいる人は劇場で鑑賞するのは難しいかもしれませんね。
 


 お気に入り度は★★★★、お薦め度は★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
コメント
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