この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

ただ森見登美彦作品のパクリではなかった、『少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語』。

2014-08-06 21:23:46 | 読書
 一肇(ニノマエハジメ)著、『少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語』、読了。


 最近はすっかり本を読まなくなっています。
 読むとしても、乙一、伊坂幸太郎、森見登美彦など、ごくごく限られた贔屓の作家の新刊のみ。昔のように「お、これ、面白そうだな」と表紙買い、タイトル買いすることもなくなりました。

 それがなぜ、一肇という「お前は乙一か!」と言いたくなるような巫山戯た筆名の新人作家の本を買ったかというと理由は簡単。
 他ならぬ、筆名が似すてるだろうと思った乙一がツイッターでこの作品を薦めていたからです。
「僕が死んだら、この本を棺桶に入れて欲しい」
 贔屓の作家にそこまで言わせるのであれば、どんなお話なんかいな?と気になってしまうというものではないですか。

 で、買ったはいいがしばらくの間はなかなか読み進みませんでした。
 なぜかというと、先ほど筆名が乙一に似てるなと申しましたが、作品の持つ雰囲気が森見登美彦のそれにそっくりだったのですよ。
 主人公は今どきどこにでもいそうなボンクラ大学生でヒロインは今どきどこにいるんだと言いたくなるような黒髪の乙女、友人たちは皆一癖も二癖もあり、舞台は古びた下宿、さらに主人公の一人が足りで物語が進むとくればそれはもう森見登美彦の世界ではないですか!(と断言出来ることでもないけど)

 そんなわけで筆名だけでなく、雰囲気まで贔屓の作家に似通っていたので、なかなか読み進まなかったのです。
 が、実際読み終わってみると、筆名と雰囲気が贔屓の作家に似通っているだけの作品ではなかったです。
 映画への愛が惜しみなく捧げられた小説でしたよ。
 ついでに言えば主人公の友人がなぜ亡くなったのかを探るミステリーでもありました。
 もうちょっと言えば旧きものを愛おしむ作品でしたよ。そこらへんは自分の好みではあったかな。

 ぶっちゃけ欠点のない小説ではなかったですけどね。
 特に○○が××だったら、途中の△△はどうなんだよ!と言いたくなりました。伏字ばかりでゴメンよ。
 でもそこら辺の欠点も許容範囲というか、ともかく、棺桶に入れて欲しいとまでは思いませんでしたが、この作家の他の作品も読んでみようかなと思えるぐらいには面白かったです。
 乙一、森見登美彦の作品が好きって人は気に入るんじゃないかなって思います。
コメント
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