続きです。
話は飛びますが、アンナは死の間際、マドモアゼルに何と呟いたのでしょうか?そしてマドモアゼルはなぜ自ら命を絶ったのか?
これに関してもネットでは諸説あるようですが、自分の考えはとてもシンプルです。
まず間違いなく言えるのは、アンナはマドモアゼルに対して、一矢報いてやろうとか、一泡吹かせてやろうとか、一杯喰わせてやろうとか、そんなことを考えていたわけではなかったということです。
そんな複雑な思考が出来るような状態でなかったことは明らかですから。
彼女はそのとき思っていたことを口にしたに過ぎなかった。
それはつまり親友のリュシーへの謝罪です。
彼女はこう呟いたのではないでしょうか、リュシー、あなたのことを信じなくてごめんなさい、と。
そもそもアンナはどうしてあれほど苛烈な拷問を最後まで受け続けることが出来たのでしょうか?常人なら到底耐えられるものではありません。
自分はこう考えます。
彼女が苛烈な拷問を受け続けたのは、彼女自身が自らが犯した罪を償うために罰を受けるべきだと考えたから。
罪とはこの場合親友のリュシーを無条件に信じることが出来なかったことを指します。
それは無理な話なんですけどね。
そしてマドモアゼルはその言葉を聞いて絶望した。
彼女がアンナから聞きたかったのは何でもよかったんですよ。死後の世界が存在することを示す言葉であれば。
三途の川が見えますとか、お花畑が綺麗ですとか、光が溢れていますとか、そういった死後の世界を描写する言葉を彼女は聞きたかった。
そうでなければ、彼女がこれまで信じてきたこと、やってきたことがすべて否定されてしまうから。そして自分たちが高潔な学究の徒ではなく、ただの狂ったカルト集団でしかないことが証明されてしまうから。
マドモアゼルは集まった多くの構成員を前に、少女は死ぬ間際、ただ親友への謝罪の言葉を口にしただけだった、とは口が裂けても言えなかったでしょうね。
彼女が秘密を抱えたまま自ら命を絶ったのも無理からぬことだと思います。従者に対して「疑いなさい」と言ったことも筋が通ります。
リュシーはただ思っていたことを口にしただけなのですが、そうすることで、マドモアゼルの心を深く貫いたのです。
今述べたことは、そういうふうに考えることも出来る、という説に過ぎません。
ただ、自分がこの説に固執するのは、そう考えれば『マーターズ』という映画はとても美しいものになると思うからです。
一人の少女は親友に信じてもらえなかったことに絶望し、自らの命を絶った。
そしてもう一人は親友の死に責任を感じ、ありとあらゆる責め苦を受けた。
自分は決して同性愛に寛容な立場にはありませんが、リュシーとアンナの、互いを想う気持ちはとても美しいものだと思うのです。
自分の『マーターズ』最終考察は以上です。
ps.くれぐれも、へぇ、そんなに怖いの?ぐらいの興味本位でこの作品は見ないでください…。
話は飛びますが、アンナは死の間際、マドモアゼルに何と呟いたのでしょうか?そしてマドモアゼルはなぜ自ら命を絶ったのか?
これに関してもネットでは諸説あるようですが、自分の考えはとてもシンプルです。
まず間違いなく言えるのは、アンナはマドモアゼルに対して、一矢報いてやろうとか、一泡吹かせてやろうとか、一杯喰わせてやろうとか、そんなことを考えていたわけではなかったということです。
そんな複雑な思考が出来るような状態でなかったことは明らかですから。
彼女はそのとき思っていたことを口にしたに過ぎなかった。
それはつまり親友のリュシーへの謝罪です。
彼女はこう呟いたのではないでしょうか、リュシー、あなたのことを信じなくてごめんなさい、と。
そもそもアンナはどうしてあれほど苛烈な拷問を最後まで受け続けることが出来たのでしょうか?常人なら到底耐えられるものではありません。
自分はこう考えます。
彼女が苛烈な拷問を受け続けたのは、彼女自身が自らが犯した罪を償うために罰を受けるべきだと考えたから。
罪とはこの場合親友のリュシーを無条件に信じることが出来なかったことを指します。
それは無理な話なんですけどね。
そしてマドモアゼルはその言葉を聞いて絶望した。
彼女がアンナから聞きたかったのは何でもよかったんですよ。死後の世界が存在することを示す言葉であれば。
三途の川が見えますとか、お花畑が綺麗ですとか、光が溢れていますとか、そういった死後の世界を描写する言葉を彼女は聞きたかった。
そうでなければ、彼女がこれまで信じてきたこと、やってきたことがすべて否定されてしまうから。そして自分たちが高潔な学究の徒ではなく、ただの狂ったカルト集団でしかないことが証明されてしまうから。
マドモアゼルは集まった多くの構成員を前に、少女は死ぬ間際、ただ親友への謝罪の言葉を口にしただけだった、とは口が裂けても言えなかったでしょうね。
彼女が秘密を抱えたまま自ら命を絶ったのも無理からぬことだと思います。従者に対して「疑いなさい」と言ったことも筋が通ります。
リュシーはただ思っていたことを口にしただけなのですが、そうすることで、マドモアゼルの心を深く貫いたのです。
今述べたことは、そういうふうに考えることも出来る、という説に過ぎません。
ただ、自分がこの説に固執するのは、そう考えれば『マーターズ』という映画はとても美しいものになると思うからです。
一人の少女は親友に信じてもらえなかったことに絶望し、自らの命を絶った。
そしてもう一人は親友の死に責任を感じ、ありとあらゆる責め苦を受けた。
自分は決して同性愛に寛容な立場にはありませんが、リュシーとアンナの、互いを想う気持ちはとても美しいものだと思うのです。
自分の『マーターズ』最終考察は以上です。
ps.くれぐれも、へぇ、そんなに怖いの?ぐらいの興味本位でこの作品は見ないでください…。
先ほどマーターズを観ましてね、とても興味深い映画だったんです。そのことはさらっと私のブログの方でも書いたのですが(あまり長文になると困るので…本当は色々書きたかったんですけどね)、以前衝撃的だと紹介して下さったせぷさんのブログに戻ってきたんですよね。
で、せぷさんはこれより前の記事に二人の友情を描いた物語だとお書きになってましたね。そこで、え?と思った私は他にも検索したくさんの考察を見かけました。ラストはオチがなくて投げっぱなしだという感想も見ました。そうであったとしても考えさせられる映画だな~哲学的だな~ぐらいにしか思わなかったんですよね、で、またまたこちらへ戻って来てみると最終考察。もうまさにおおおおおおお!ってなりましたよ笑
他のどの考察よりも辻褄が合い、すごく納得しました。アンナがあれだけの拷問を受け入れあの段階まで進んだのも合点がいきます。
真実は死後の世界が云々、に見せかけてこっちかー!と衝撃を受けました。せぷさんの言った通り衝撃的な映画でしたね。笑
マーターズを観た人全てにこの考察を教えてあげたいくらいです。真意は分からないので正解というわけでもないんでしょうけどね…
あまりの興奮に長文乱文になってしまったことをお許しください!
まさかこの記事にコメントがつくとは思ってもみませんでしたからね。
記事の内容はもちろん、『マーターズ』という映画を誰よりも深く理解していることにも自信はありますが、何といっても考察の対象が『マーターズ』ですからね。
記事を書き終えた後も、また誰も読まない記事を書いてしまった、なんてネガティブなことを思ってました。
自分は『マーターズ』を非常に高く評価しています。
でもそれは別に残酷描写が優れているから、という理由からではありません(それも評価のポイントではありますが)。
目を覆うような残酷な描写をすることで二人の少女の美しい友情を浮かび上がらせることに成功していると思うから、です。
まるで赤い絵の具だけを用いて青い海を描いているような、そんな感覚。評価しないわけにはいかないのです。
>マーターズを観た人全てにこの考察を教えてあげたいくらいです。
とても光栄に思います。もし知り合いでこの映画を見て、残酷なだけの映画だと思っている人がいたら、この記事を教えてあげてください。
深読みしすぎ!って言われるかもしれないけど。笑。
ソウとかホステルみたいに多少エンタメに振った物でも
例外なく苦手なので、
マーターズも何故ここまでの評価を受けてるのか
全く理解できませんでしたが、この解説を見て納得しました。
評価する人はこういう視点で見てたんですね。
またただの悪趣味な映画をさも崇高なように・・・
って所で思考停止してました。反省です。
>評価する人はこういう視点で見てたんですね。
どうなのでしょう?
自分もそこそこ『マーターズ』のレビューを見て回りましたが、自分と同じ(もしくは似ている)見方をしている人に出会ったことがありません。
そんなに奇をてらった見方をしているつもりはないのですが…。
>って所で思考停止してました。反省です。
思考停止をしていることに気づいただけでも、通りすがりさんは柔軟な頭脳の持ち主なのだなって思います。
ほとんどの人は自分が思考停止をしていてもそのことに気づきもしないものです。
これも何かの縁ですから、通りすがりさん、また遊びに来てください。
ただそのときは別のHNでお願いします。
いくつか考察を行なっている方を見ましたが、ほとんどの方がアンナの言葉について「死後の世界」と絡めて論じておいででした。しかし、私はこんなにソリッドなホラーにおいてそんなファンタジーなオチはどうなのか?と疑問に感じていました。
また、「死後の世界」はないと言った、という結論も、小学生の考えたオチのようでどうにも承服し難いものがありました。
そんな中で、こちらの考察は、非常に納得できるものでした。たしかに、意識すら朦朧としているアンナには、もはや復讐心など抱きようがないですよね。そんな彼女の中にあるもっとも原初的な想いは、リュシーへのものであるというのも、まさにそうだといえ、説得力があります。
そうだとすれば、もう隣にいる老婆などは、あれこれ好悪のベクトルを向ける対象ですらなかったとも言えるかもしれません。
まさに腑に落ちた考察でした。ありがとうございました。
せぷ様、大変失礼いたしました。
名前のことはどうぞ気になされずに。
故意でなければ気にすることはありません。
望外のお褒めの言葉を頂き、とても嬉しく思います。
褒められる、ということが滅多にないもので、やんもさんのコメントを読み返しては一人ニヤついています。
洞察の深さが素晴らしいと言われるのも気恥ずかしい限りです。
他のレビューを読むとわかりますが、普段自分はボンクラなレビューしか書きません。
ただ、ごく稀にですが、その作品の本質を誰よりも深く理解することがあります。
といってもその自覚はあまりないのです。
『マーターズ』にしても、自分の見方が他の人とは違う、ということに気づいたのはずいぶん時が経ってのことです。
他の人も自分と同じ見方をしているとばかり思っていました。
なぜかというと、『マーターズ』を映画館で初めて観たときから、ショッキングな映画だ、えぐい映画だと思うことはあっても、難解な映画だ、と思ったことはなかったのです。
傲慢な言い方に聞こえるかもしれませんが、マドモアゼルの死の真相に解釈がいくつもある、というふうにも思っていませんでした。
まぁでもある作品を人より深く理解するということは誰にでもあることなのかな、と思っています。
自分の場合、それがたまたま『マーターズ』だったというだけであって。
他の作品も『マーターズ』同様深く理解できればいいのですが、なかなか難しいです。