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ある平凡な主婦の、少しの追憶⑦

2007年06月02日 11時51分55秒 | ある平凡な主婦の、少しの追憶(一部R18)
「どうしてここにいるの?!」

同時に叫んでしまって、同時に吹き出した。

「オレは仕事。三時まで時間が空いたから時間つぶし」

時間つぶし。
そーですか・・・時間つぶし・・・。

「とかいって」
ふ、と彼は苦笑いを浮かべ、海に目を移した。

「昨日か今日か明日、東京出張行ってくれって言われて、迷わず今日にしたんだけどね」
「・・・なんで?」

その横顔にドキッとしながら、聞いてみる。
答えは分かっている。
でも、本人の口から聞きたかった。

「今日、この場所にきたかったからさ」
「うん・・・」

頬のあたりが熱くなってきたのが分かる。
同じことを思ってくれていたんだ・・・。

「そっちは?」
「・・・うん。同じ・・・かな」

実は私も、友人から訪問日は何日でもいいと言われて、迷わず今日にしたのだ。
もしかしたら帰りに少しでも立ち寄れるかもしれない、と思ったからだ。

「時間ある? 昼メシ食いにいこっか? ちょっと早いけど」
「うん・・・」

足元がふわふわしている。
こうして2人で歩く日がくるなんて・・・。

そういえば、10年前の今日も、ふわふわしていた。
でも、10年前は手を繋いでいた。
10年後の今日、人一人分の距離を明けて一緒に歩くことになるとは・・・想像もしなかった。
コメント (2)
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