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ある平凡な主婦の、少しの追憶⑭

2007年06月11日 12時06分57秒 | ある平凡な主婦の、少しの追憶(一部R18)
私と彼は同じ高校の同級生だった。
つきあいはじめたのは、20歳の成人式で再会してから半年後のこと。
成人式をきっかけに仲間で集まることが頻繁になったのだ。
同級生のホームページもできて、掲示板の書き込でみんな情報交換をしていた。
掲示板は暗証番号を入力しないと入ることができない、プライベートなものだった。

それなのに、その掲示板に、彼女が書き込みをしてきたのだ。

「ストーカー女が私の彼につきまとって迷惑している」
「他の方も、今後一切彼に連絡してこないでください」

管理人をしている友人がすぐに削除したが、かなりの同級生の目にとまってしまった。

別れた経緯を知っている女の友人達は、猛烈に怒っていた。
「自分が彼女いる男にちょっかいだしてきたの棚に上げて何いってんの?!」
等、みんなすごい勢いで書き込みをしていた。

事情をしらない男の子達も厳しかった。
「連絡するなって、そんなことを言われる筋合いはない」
「ここは他人のあんたが書き込みしていい場所じゃない」
「なんでパスワード教えたんだよ?」

みんなが盛り上がっている中・・・
私は、妙に冷静になっていた。
今さらながら罪悪感も覚えはじめた。

彼がパスワードを教えたということは、彼は私や仲間達よりも彼女の気持ちを優先した、ということだ。
そこまで、彼女が大切なのか・・・。

もう、彼と会うのはやめよう。
そう思った。
彼からも一切連絡はこなくなった。


それから彼は同級生の集まりには一切でてこなくなった。
二年後、親友の結婚式でみんなと再会して、それからようやくまた掲示板にも顔を出すようになった。

彼女との交際は、結局1年ほどしか続かなかったらしい。
彼女の束縛に耐えられなくなったのが、一番の原因のようだ。
『また』人を傷つけてしまった、と自己嫌悪に陥ったらしい。

やはり、彼女が書き込みをした内容を彼は把握していたのだ。
止めることができなかったことを後悔している。
私のことを傷つけてしまった、と。

今となってはどうでもいい話だ。
コメント
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