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ある平凡な主婦の、少しの追憶⑬

2007年06月10日 08時33分02秒 | ある平凡な主婦の、少しの追憶(一部R18)
彼の優しさは、人を傷つける。

「別れたのは8年前。それから2年後に再会した」
「駅の改札口の横で別れた」

表向きはそういうことになっているけど、実はそうではない。
2人の中でも「なかったこと」にしていることがある。

実は、別れてから2ヶ月ほど、体の関係だけは続けていたのだ。
もうすでに、彼には新しい彼女がいたのにも関わらず。

彼と別れてからの私は自暴自棄になって、見ず知らずの男と関係を持ちそうになるほど、荒れていた。
そのことを彼は人づてに聞き、
「知らない男に抱かれて気を紛らわすぐらいなら、オレが・・・」
と、言ってきたのだ。

体の関係を続けることで、彼をつなぎ止めることができるかもしれない。
そう思って始めたことだった。
体を重ねているときは、確かに自分のものになっている彼。
でも心は新しい彼女のところにあることが、悲しいほど伝わってきた。
だからこそ、その行為に没頭した。
そのせいか、この2ヶ月間のベッドの上が一番淫らで一番自由だった。

でも、そんな関係は長くは続かなかった。

彼女が、彼と私が連絡を取っていることに気が付いてしまったのだ。
もちろん、体の関係が続いていることはバレていない。
でも別れた女と連絡を取り合っていることは、彼女には許せなかったらしい。
その怒りの矛先は私と私たちの仲間に向いた。
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