ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

わたしは「これ」で、農家をやめました。

2016-09-04 23:36:23 | Weblog

もう、農家なんてやめた。

の話。

茄子の畑にうずくまって作業をしている。炎天下の中。
雑草を抜いたり、枝を切ったり、枝を結んだり、実をもいだり。
すると、どこかで僕を呼ぶ声がする。

「しんぐーさーん!」「どこだーい?」

「はーい、ここでーす!」と返事をしながら茄子の畑から顔を出すと、畑の持ち主のキョーコさんが、アイスクリームを片手にこちらへと歩いてくる。

「あんた、ほんとによくやるねぇ。この暑いのに」

パプリカの畑の畝間にしゃがんで作業をしている。
雑草を抜いたり、自家製の肥料をあげたり、枝を切ったり、枝を結んだり。
すると、どこかで僕を呼ぶ声がする。

「しんぐーくーん!」「どこだーい?」

「はーい、ここでーす」と返事をしながら立ち上がると、畑の隣に住んでいるヤジーが飼い犬のサスケを連れて立っている。

「よく頑張るなぁ。感心するなぁ」


畑仕事ってのは、楽しい。

種を蒔いて、芽が出て、木になって、実がなって、食べると、美味しい。

愛情をかければかけるほど、目をかければかけるほど、しっかりと育つ。

今年は茄子を10種類。150本ほど。パプリカは4種類。80本ほど。
計算の上では、茄子は1万5千個取れる予定。パプリカは8千個取れる予定。
そんなに取れても食えるわけもなく、そんなに取れなくても良いのである。食べたりあげたりしながら、のんびり暮らすのである。

そんな折、台風がやって来た。先日の台風である。

よく、台風の時に畑を見に行って水に流されて死んじゃうおじいちゃんとかがいるけれど、気持ちは分かる。
手塩にかけて育てた野菜たちなのである。そりゃあ心配で見に行くさぁ。

で、僕も見に行く。

そりゃあ、もう、ひどい有様でしたよ。

腰の高さまで、水が溢れていましたよ。

水の中から、茄子の木の頭がピョコン。パプリカの木の頭がピョコン。ピョコン。ピョコン。

かわいそうな野菜ちゃんたち。泥水の中で溺れていました。
溺死です。溺死。

実は、去年の今頃、同じ事があったのです。全員溺死事件。

その時、隣のヤジーがこう言っていた。

「いやぁ、こんなこと。こんなに水が溢れるなんて、50年に一度だよ」

溺死していく野菜たちを眺めながら僕は思うのである。

50年に一度とか・・・嘘じゃねーか。去年も今年もじゃねーか。おい、こら。

つづく。

再び・・・ヘリポートより愛を込めて。

2016-09-04 23:02:22 | Weblog


このフェリー、高いんだよ。高さがじゃないよ、値段がだよ。
なのに、全然豪華じゃないんだよ。信じられるかい?
この船に17時間・・・いや、出航までまだ2時間以上あるわけだから、20時間近く閉じ込められるなんて・・・信じられるかい?

重い荷物を持たされて、階段を上がらされたんだよ。ほんの少しかと思ったら、金毘羅さんくらい上がらされたんだよ。信じられるかい?マグロ漁船の奴隷かっつーの。汗だくだっつーの。

部屋に荷物を置いて、船内を探検。すべてが、ナンテコトナイ。ナンテコトナイ。ナンテコトナイ。なんでだよ。高いのに。

で、変な扉があったから、押してみた。なかなか開かない扉だったのだけれど、エイヤーと押してみた。

「あるじゃないか・・・ヘリポート」

うん、少し気分が良くなった。

ここでご飯を食べよう。うん、そうしよう。

ヘリポートから愛を込めて。
僕はさすらいの旅に出るのです。
信じられるかい?