麓郷にはスーパーマーケットがない。
唯一のスーパーマーケットが去年廃業し、スーパーマーケットが一軒もなくなってしまった。
富良野のスーパーで買い出しをして麓郷へ向かう。
サンマを買った。サンマのお刺身を作る。
むろん、サンマは刺身用のサンマではない。が、クチバシが黄色くて身が立てば、刺身で食べられる。
新物の安いサンマを買った。
スーパーで保冷剤をもらったものの、サンマは晩御飯用である。北海道は涼しいとはいえ、冷蔵庫なしで刺身用ではないサンマを刺身にするために保存するのは難しいなぁ〜と思っていた。
今日の宿は、十日ほど前に泊まったラベンダーである。五右衛門風呂のラベンダー。
バイクを店の横に停めた。停めた時は何もなかった。
バイクを停めて、麓郷デパートの店の中で受付を済ませ、バイクを停めたところに戻る。
「はて?」
何かが落ちている。バイクの横に何かが落ちている。白いカタマリが。
「箱か?」「白い箱か?」
顔を近づけてよく見てみると、なんと、氷のカタマリではないか。
そんなことがあるのだろうか?ねぇ、あるのだろうか?
バイクを停めた時はなかった・・・と思う。もしかしたらもうすでにそこにあったのかもしれない。
そうだとしても、なぜ、道端に氷?でかい氷のカタマリ?
そして、僕は、かなり氷を必要としている。
すぐさま拾い上げ、ビニール袋に収める。それを、サンマの入った袋の中へ。
こんなことがあるのだろうか?
サンマの神様なのか、氷の神様なのかは知らないが、何かが舞い降りてきたのである。そうとしか思えない。
すごくないですか?すごくないですか?
氷が欲しいと思っている時に、大きな氷のカタマリを拾った事がありますか?
はい、僕はあります。