青森のねぶた祭りで、こでらーに会った。こでらーと遊んだ。こでらーとたくさん話をした。
こでらーは言う。
「チューブレス化、出来ますよ。おれ、やったもん」
衝撃である。
そして、スマホをちゃっちゃっちゃといじってこう言う。
「あっ、シャドウも出来ますよ」
衝撃である。
持つべきものは、情報に詳しい「友」である。
そんなわけで、ウィンカーの位置をを変えるために分解して組み立てたばかりのバイクを、すぐさままた分解するのである。
ちょうど、ハヤトくんが工具を持って我が家を訪問していた。
そこを狙って分解するのである。
なぜなら、ハヤトくんは、元メカニックなのだ。ちなみに、ハヤトくんは我が弟君である。
ウィンカーの作業の時にリアフェンダーを外してタイヤを剥き出しにした。今回はそこから、リアタイヤを外して、リアタイヤのホイールにチューブレス化の作業を施して、新しいチューブレスのタイヤをはめて、それを元どおりの位置に組み込む。その後に、フロントタイヤに対しての同じ作業。
結構途方もない作業なのである。
カチャカチャガチャガチャとやる。カチャカチャガチャガチャとやっている所へ、瓦屋の親方が遊びに来て、ガヤガヤと作業は進む。
シャドウちゃんはリアフェンダーが長い。だから、タイヤが抜けない。だからリアフェンダーを外す。
さらに、シャドウちゃんのマフラーは二段になっていて、下の段のマフラーがホイールの中心を貫通するアクスルシャフトを抜くときの邪魔になる。「なんでこんな作りなんだ?」ってくらい邪魔になる。
あぁでもないこうでもない。マフラーを外そう!そうしよう!
でも、マフラーを外すとガスケットをとりかえなきいけないから大変だ!そうだ、大変だ!
ならどうする?ならどうする?
サスペンションを外して、もう一個ジャッキを入れてスィングアームを支えればマフラーの位置がずれるんじゃない?
うん?よくわんないけど、そうかもね!そうしようそうしよう!
ハヤトくんは言う。
「にーちゃん、普通の人は、こんなこと自分でしないよ。にーちゃんはすごいね」
ちょっと笑ってしまうのである。
おれは、全然何も出来てない。出来ないからハヤトくんを呼んでやってもらっているのである。
ハヤトくんの言葉を言い換えると、
「にーちゃんは、何も出来ないのに、やろうとしてすごいね。意味わかんないよ」
なのではないかと、僕は想う。
ハヤトくんは、明日足りない工具を持ってくるよ、と言い残し帰って行った。
親方も、田んぼの草刈りをしないといけないから行くよ、と帰って行った。
僕は、自分で揃えられる工具を買いにホームセンターへ行った。
まだもう少し、先は長い。まだリアタイヤが外れてもいない。
「初めから出来る人なんていないんだ」
「出来る人だって、最初は出来なかったんだ」
そう呟きながら、僕はジムニーのハンドルを握りながら、ホームセンターを目指すのである。