おれ、電気とか、苦手。
配線関係とか、苦手。
ギボシとか知らないし。
やったことないし。
やり方知らないし。
シャドウちゃんのリアウィンカーの位置に不満があるのである。
格好がいいとか悪いとかで不満があるわけではない。元来、そういうのはあまり気にしない。
ウィンカーが元のままの位置にあると、荷物が積めないのである。
バイクとはなんのためにあるのか?と問われれば、僕は食い気味にこう答える。
「荷物をいっぱい積んだ走るため!」
はい、正解。
つまり、ウィンカーの位置を変えなければならない。これ、絶対。
どこへずらすかというと、元の位置から40センチほど後方。ナンバープレートの辺りが最適だと思われるのである。
そうなると、配線を切って繋げて、なんちゃらなんちゃらして・・・ということになる。のだが、僕はそういうのは断じて苦手なのである。
怖いなぁ、不安だなぁ。買ったばかりなのになぁ。嫌だなぁ。バラバラにしたくないなぁ。あぁ、憂鬱。
ブツブツ言いながら、ユーチューブの動画で「ギボシの付け方」を観たりするのである。
サイドレールを外して、ウィンカーとテールランプの配線をちょん切って、リアフェンダーとキャリアを外して・・・。
「あぁ、相棒がバラバラになっちゃった・・・もう後戻りは出来ねぇぜ」
配線を延長して、ギボシを・・・。あっ、おれ、電工ペンチを持ってない。普通のペンチでいっか。普通のペンチでギボシを潰して圧着させるのである。力を入れすぎて、ギボシごと配線のコードがバチッとちょん切れるのである。
「あーーーーー!切れちった!!!」
こういうことを、やっているのである。何度も。電工ペンチさえあれば。。。
買ったばかりのバイクのフェンダーにドリルで穴を開けるのである。グリグリグリっとね。
こんなことしちゃっていいのかしらねぇ・・・と思いながら。
もう、何にも知らないもんだから、あぁでもないこうでもないを繰り返しながらやるのである。
でもやっぱり、必死というのは強い。
なんとか出来るものなのである。
やった!出来た!
バラバラにした部品を元に戻して、ボルトを締めこんで。
完成!
ウィンカーとテールランプをつけてみるのである。
「あれ?つかない?あれ?さっきまでついてたのに!なんでだぁ!!!」
ボルトを抜いてサイドレールを外してみると、ボルトを締め込む時に配線が挟まってしまっていたようで、潰れて断線。断線した時にショート。ヒューズが切れちった、の巻である。
「もう!!なんなんだ!」「あぁぁ、最悪だ!」
そう叫びながら、もう一度やり直すのである。何度でもやり直すのである。やるしかないのである。
なんとか、完成し、試し走りで近くのショッピングモールへ出かけてみる。快調快調。
帰りがけ、駐車場でウィンカーとテールランプを確認。
「右ウィンカーよし!左ウィンカーよし!テールランプ・・・ん?つかない?ブレーキランプ・・・ん?つかない?」
じぇじぇじぇ!と叫ぶのである。
もう夜なのである。
夜に、テールとブレーキランプが点かないバイクに乗るってのは、自殺に等しい行為なのである。
「あぁ、もうぅぅぅ」
そんなこんなを繰り返し、今日も明日も、出発前に、「ランプ系よし!」と掛け声を掛けてから、僕はバイクに跨るのである。
あっ、苫小牧、雨止んだ!