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商いは「詐か」~~きもの業界の内側

2018-01-12 11:50:48 | きものの本&本

 

「商は偽(いつわり)なり」

とは高田郁さんの「あきない世伝傳金と銀」

(角川春樹事務所)の幸の父親の言葉ですが、

成人式の「晴れ着トラブル」を見ると、

そうなのかあ、と思ってしまいます。

一生に一度の成人式の日に店がお休み。

着られない人が続出するとは

なんということ!!


 

このお店、もともとは別の

ビジネスをやっていたけど、

振袖は「利益が大きい」と乗り換えたとか。

ところがそうはいかなかった、

はれの日は正月、成人式、卒業式とそれほど

ないのに、店舗をいくつも抱えて

従業員の給料まで払うとなるとねえ。


そんなこんなで年末から読んでいた

きもの本、にわかにビジネス面での描写が気になり

取り上げてみました。


 

着物をめぐる物語」(林真理子著・新潮社)では

きものにかかわる業界。

歌舞伎、銀座のバー、

芸者、箱屋など業界の裏、

と言うと語弊があるけど、内側を

林さんらしくきれい事ではなく

描いてある、きもの好きには必読の本かも。


きもののお店をやっている女性が顧客と

旅行に行った際、友達のようなつもりで

同行したのに、「荷物持ち」のように扱われ、

「どれほど親しくなっても、あの方たちは

私を出入りの商人しか思っていなかった」と

悔しい思いをして、

「こういう女たちとつきあっていくのだと思うと

ほとほと疲れる~~」。

そうかあ、当然だと思うけど。

だって仕事だもの。


きものに、特に高価なきものを購入する方々は

「どこか人を見下ろしている」など

と言っておりますよ。


それでもきものを間においての

女同士の話にはキリがないなど、

うなづけます。

「着物と女の蜜月を描いた物語」

前にも読んでいますが。

 

で、もう一つは小川糸さんの

「喋々喃々」(ポプラ社)。

アンティーク屋を営む栞さんの恋、

それも不倫のお話ですね。

だからタイトルの「喋々喃々」の意味は

「男女が小声で楽しそうにしゃべるさま」

 

この際、不倫や恋愛の話は飛ばして、

アンティーク業界の話に絞りたいが、

あまり情報がなくて、

「仕入れ値の何割かを上乗せすればいい

というものではなく==」

そうなんですね、はい、

「手放すのが惜しいきものは

少し高めの値段をつける」

そうなんですね、


愛する春一郎さんに

「ネット通販すれば。協力するよ」

と勧められても、

「直接手渡したいから~」

とやんわり断ると

「商売っ気がないなあ」

この小説のモデルのアンティークショップは

「otesio」というお店なのが

よく知られていますね。

七二候を教えてくれる本」

 

このところ、商いというよりビジネスは

急成長、どんどん拡大する、しないと

すぐに衰退とか言われるけど、

まあ、そんなビジネスには興味もないけど、

お呼びもないわけで、

「好きなことを仕事」にしている場合は

食べていければ幸い」くらいのほうが

いいんじゃないかなあ~~、

食べるにもレベルがあるけど、

最低限、「好き」は大切。

どんな仕事でも好きで携わっている方は

信頼が置けるわ。


はれの日の方、

きものが特に好きではなかったのね、


というわけで、

有吉さんの、こんな本まで紹介する時間が

なくなってしまいました。

再読、再再読、もう面白くて。


本にはいろんな要素がつまっているから、

好きな本は何度も楽しめる。

「喋々喃々」も根津、浅草近辺の名所紹介にも

なっているしね。

 

というわけで、「あきない世傳」の幸ちゃん、

その後どうなったかしらん。

「あきないは偽り」との考えから脱したかな。

こちらも気になる、早速取り寄せよう。

気になる他人のお仕事~あきない世傳」


 

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コメント (4)
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