「商は偽(いつわり)なり」
とは高田郁さんの「あきない世伝傳金と銀」
(角川春樹事務所)の幸の父親の言葉ですが、
成人式の「晴れ着トラブル」を見ると、
そうなのかあ、と思ってしまいます。
一生に一度の成人式の日に店がお休み。
着られない人が続出するとは
なんということ!!
このお店、もともとは別の
ビジネスをやっていたけど、
振袖は「利益が大きい」と乗り換えたとか。
ところがそうはいかなかった、
はれの日は正月、成人式、卒業式とそれほど
ないのに、店舗をいくつも抱えて
従業員の給料まで払うとなるとねえ。
そんなこんなで年末から読んでいた
きもの本、にわかにビジネス面での描写が気になり
取り上げてみました。
「着物をめぐる物語」(林真理子著・新潮社)では
きものにかかわる業界。
歌舞伎、銀座のバー、
芸者、箱屋など業界の裏、
と言うと語弊があるけど、内側を
林さんらしくきれい事ではなく
描いてある、きもの好きには必読の本かも。
きもののお店をやっている女性が顧客と
旅行に行った際、友達のようなつもりで
同行したのに、「荷物持ち」のように扱われ、
「どれほど親しくなっても、あの方たちは
私を出入りの商人しか思っていなかった」と
悔しい思いをして、
「こういう女たちとつきあっていくのだと思うと
ほとほと疲れる~~」。
そうかあ、当然だと思うけど。
だって仕事だもの。
きものに、特に高価なきものを購入する方々は
「どこか人を見下ろしている」など
と言っておりますよ。
それでもきものを間においての
女同士の話にはキリがないなど、
うなづけます。
→前にも読んでいますが。
で、もう一つは小川糸さんの
「喋々喃々」(ポプラ社)。
アンティーク屋を営む栞さんの恋、
それも不倫のお話ですね。
だからタイトルの「喋々喃々」の意味は
「男女が小声で楽しそうにしゃべるさま」
この際、不倫や恋愛の話は飛ばして、
アンティーク業界の話に絞りたいが、
あまり情報がなくて、
「仕入れ値の何割かを上乗せすればいい
というものではなく==」
そうなんですね、はい、
「手放すのが惜しいきものは
少し高めの値段をつける」
そうなんですね、
愛する春一郎さんに
「ネット通販すれば。協力するよ」
と勧められても、
「直接手渡したいから~」
とやんわり断ると
「商売っ気がないなあ」
この小説のモデルのアンティークショップは
「otesio」というお店なのが
よく知られていますね。
このところ、商いというよりビジネスは
急成長、どんどん拡大する、しないと
すぐに衰退とか言われるけど、
まあ、そんなビジネスには興味もないけど、
お呼びもないわけで、
「好きなことを仕事」にしている場合は
「食べていければ幸い」くらいのほうが
いいんじゃないかなあ~~、
食べるにもレベルがあるけど、
最低限、「好き」は大切。
どんな仕事でも好きで携わっている方は
信頼が置けるわ。
はれの日の方、
きものが特に好きではなかったのね、
というわけで、
有吉さんの、こんな本まで紹介する時間が
なくなってしまいました。
再読、再再読、もう面白くて。
本にはいろんな要素がつまっているから、
好きな本は何度も楽しめる。
「喋々喃々」も根津、浅草近辺の名所紹介にも
なっているしね。
というわけで、「あきない世傳」の幸ちゃん、
その後どうなったかしらん。
「あきないは偽り」との考えから脱したかな。
こちらも気になる、早速取り寄せよう。
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