有吉佐和子「真砂屋お峰」(中央公論社)、
すっ飛ばしたものの、
あまりに面白いので、ご紹介。
この本は、江戸時代の「奢侈禁止令」で、
あまりのきもの道楽のため、
江戸追放になった町人の妻が
もとになっていますが、
ただの贅沢好きの女性では面白みがないと
思ったのか、
著者は、前半は、成功した商人の
商いのやり方を綿々とつづっています。
私は、「贅沢をし尽くした女のその後」を
知りたくて(笑)、読み始めたのですが、
これだけにとどまらず。
成功する商人とは~~、とにかく「倹約第一」
本当の金持ちは贅沢しないという例。
目立たず、地道に~~。
その有様が具体的、かつ実用的に描かれている上、
そんじょそこらの江戸学以上に
江戸のあれこれに詳しくて、
さすがは有吉さまだわあ。
江戸の火事が経済だけではなく、人の性格
生き方を大きく左右させる事情とか、
歌舞伎役者のそれこそ内部事情とか~。
で、節約に節約を重ねて莫大な富を得た真砂屋、
ある事情から、
一人娘のお峰はその莫大を使い果たそうと、
きもの買いに走るのですね。
→江戸時代の衣装比べについてはこちらの拙ブログで。
で、ここでは、お峰が着用したきものをご紹介。
地味を粋とする江戸だけに、基本は結城紬。
それを木綿と思わせる手法が
よく知られているけど、
唐織りの帯を芯にして!!木綿でくるんだり。
重そう!
結城のなかでも「貫紬」とは、経に木綿糸、
緯糸が絹というもの。
琴紬。琴の糸をほぐして織りなおしたものだとか。
琴糸って絹でできていたのね。
それに象牙の櫛を台にして漆に金粉を混ぜると、
「安物」にそっくりになる!とか。
結城を薩摩に持っていって、
結城の薩摩絣を作らせるとか。
いやあ、すごいね。
裏勝りってヤツの極みですね。
で、タイトルの「三代続く分限、貧乏なし」
は悪徳質屋がお峰にいう言葉で、
これが莫大な財産をきもの道楽に使う
動機にもなっている。
確かに、貧乏な人が頑張って金持ちになると、
その息子の気が緩み、道楽をして身上つぶす。
その繰り返しなのは、今の二世を見ても、
私の周りでも起きている現象よ。
今、分限の方々ご用心、
そして貧しい方々~~。
とまあ、あれやこれやと
長くなってしまいました。
脳活のためにも書いているので、
文字多くていやだわという方は
すっ飛ばしてね。
それにしても有吉さんの本、
情報量多いわあ。
次は「三婆」かしらん。
というわけで、
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