「秋の陽は鶴瓶落とし」等というが、釣瓶そのものが死語になって久しい。
ましてや立冬過ぎとなれば、その落下速度も半端ではない。
(落日)
菊祭りから帰って、モタモタしている間に午後6時になってしまった。
慌ててカメラの準備をし、夕食は帰ってからと言い残し表に出た。
近所の駐車場まで来た時、東の空に欠け始めた月が見えた。
(欠け始めた月)
こんな近くで撮影出来てラッキー、と喜んだのもつかの間、上部に電線が映り込んでいた。
駐車場内でどんなに場所を変えても、必ず電線が映り込むことが判明した。
日本の、特に我が町の街中における電線の多さは特筆すべきもの。
電線の多さへの不満については、また後日ということで・・。
いつもの堤防コースの撮影ポイントへ移動する。
(堤防上のポイントからの月)
ここなら流石に電線は無い。
ウオーキングと犬の散歩が通るくらいで、辺りには何組かの撮影組が空を仰ぐ程度。
(皆既月食直前)
何時何分にどのようになった等は、詳しい人に任せることにしてダラダラと撮す。
月食の残った部分へ焦点が反応して、全体が暗くなってしまった。
少し寒くなったので、ウオーキングが出来ない分をその場足踏みでカバー。
よそ目には、かなりアホに見えている筈。
気分転換に木星などを狙ってみる。
(木星)
私のカメラでは所詮この程度のもの・・。
肉眼では見えなかったが、左横に2個小さな光が映っていた。
わあ~衛星かな?等と喜んだりしたが・・・。
よくよく考えると本体がこの程度の解像度なのに、木星の衛星は無理だろうと気を取り直した。
(ほぼ皆既月食完了)
ほぼ皆既月食の状態になった。
冷えるし、足踏みも馬鹿馬鹿しいし、しかも後は元に戻るのを待つだけなので帰ることにした。
帰宅すると、少し遅めの夕食となった。
酒を暖かくして飲んでいると、電話が来た。
生死確認の電話だった。
葬儀場の横を通った先輩が、私の名前を見て慌てて電話をくれたのだった。
本人が電話に出たので一件落着と思いきや、話は本日まで続くが、これも後日ということで・・。
気を取り直して、庭に出るともう月は庭からも見える位置にあった。
(皆既月食から戻りつつある月)
私が遅い夕食だの、生きているだのと騒いでいる間も、宇宙ショーは続いていたのだ。
また、元に戻りつつある月がそこにあった。
天王星の惑星食も、信長以来だったらしいが、私には遠い話だった。
今朝も、朝食時から幾本もの電話がなり続けている。
「やっぱり生きていた」・・と。
「人生はとても素敵な小宇宙」・・・しろ猫
昨日の句を少し替えて誤魔化す・・。