カンチャン狂騒曲

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ドクター・ハックの数奇な人生

2015-02-20 10:06:09 | 本と雑誌
 蔵書の整理などのために暫く閉館していた町の図書館が開いてどっと人が押し寄せていた。

 一月初旬から借りていた本を返却に来た人や、再開を待ちわびた人達である。

 我が家では通常返却した日に次の本を借りることにしている。

 返却した後、書棚に向かう途中に新刊書のコーナーがあって、時々は覗いて見るのだが、その中に今朝の朝刊で紹介されていたものがあって、ついつい借りてしまって、書棚まで進めなかった。

 

 「ドクター・ハック」(日本の運命を二度握った男)中田整一著 2015年1月21日平凡社刊

 まさに、できたてのほやほや湯気が立っていた。

 著者は現代史を中心としたドキュメンタリー制作に携わってきた経歴の持ち主なので、まさにドキュメンタリー映像をみているような錯覚に陥るノンフィクションである。

 明治20年ドイツに生まれたハックが、フライブルク大学で博士号を取得し経済学講師をつとめた後、南満州鉄道株式会社(東京)の一員となるところから日本との数奇な関係が幕をあける。

 文官の予備役中尉として青島要塞勤務、第一次大戦の敗戦、日本での捕虜生活、日独協会を立ち上げて理事に就任、日独合作映画の制作、日独防共協定締結、ゲシュタポによる逮捕、スイス亡命、終戦工作で日米和平交渉に携わる。

 などなど、ソビエトのスパイのゾルゲは登場するわ、大戦後米国CIA長官になるダレスは登場するわで、まあまあ20世紀二つの大戦の戦前・戦中・戦後が眼前で展開する。

 三国同盟へと繋がる「日独防共協定」、ナチスとの決別後の「日米和平工作」という成功と失敗のターニングポイントに関わった日本大好き人間(ドイツ国籍剥奪の無国籍人)の限りなき日本への愛の物語である。

 ただ全編を通じて、「情報」の持つ意味と「対案」の重要性がひしひしと身にしみてくる。

 情報化だと言われる昨今、「本当の情報とは何か」、「その情報をどの様に分析するか」については、敗戦を経てもなお教訓は生かされていないと感じてしまう、そんな読後感である。

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