僕らの通うK高校は、公立では指折りの進学校だった。その中でも藤沢は、学年でも上位の成績で、運動も得意だった。整った顔立ち、長身で均整の取れたスタイルだから、当然、女子生徒の人気は高かった。ならば男子生徒から嫌われているかと言えば、そうではない。人望は厚かった。出来る人間にありがちな、他人を見下す態度を決してとらない。話が面白く、それでいて芯がある。だから常に男子生徒が周りに集まり、その外側から女子生徒が熱い眼差しを向けている状況なのである。
その中でも、何故か僕は藤沢に気に入られ、彼の口から「誠は親友」「誠は特別」との言葉を耳にした。だから僕は藤沢と親しい友人というだけで、クラスメートから一目置かれるようになったのだ。
「誠は親友」「誠は特別」。そのことに関して藤沢に理由を遠まわしに聞いた事がある。直線的に問うのは怖かったから、なるべく遠回りしたのだ。そんな僕の苦労も知らず、彼は「俺にもよく分からないんだ」と笑って答えた。僕もそれ以上、深追いはしなかった。確かにどうでもいい事だった。
その中でも、何故か僕は藤沢に気に入られ、彼の口から「誠は親友」「誠は特別」との言葉を耳にした。だから僕は藤沢と親しい友人というだけで、クラスメートから一目置かれるようになったのだ。
「誠は親友」「誠は特別」。そのことに関して藤沢に理由を遠まわしに聞いた事がある。直線的に問うのは怖かったから、なるべく遠回りしたのだ。そんな僕の苦労も知らず、彼は「俺にもよく分からないんだ」と笑って答えた。僕もそれ以上、深追いはしなかった。確かにどうでもいい事だった。