僕はたまに「うまい」という言葉を発する以外、黙々とナポリタンを食べることに集中した。
「はい、孝志君、ポークソテー」
「ありがとう。あっ、おじさんずるいな。一人でビール飲んで」
「いいじゃないか、祝杯なんだから。君はまだ未成年だからね」
「一杯だけ」
藤沢が手を合わせる。
「仕方ない一杯だけだぞ」
白川さんはジョッキにビールをついで、藤沢の前に置いた。
「さすがおじさん」
藤沢は旨そうにビールを飲み干す。
「おじさん、俺にもいいかな」
「そうだな。今日は誠君の合格祝いだもんな。一杯だけだぞ」
「ありがとうございます」
しばらくして、僕がナポリタンを食べ終わり、右隣を見ると、藤沢の端正な顔がだいぶ緩んでいる。
「誠君、まだあるよ」
「いや、もういいです。ご馳走様」
僕らがいろいろと話している間、亜衣はほとんど言葉を発しなかったが、落ち着きがなかった。姿を見せたり消したりしている。父と娘がアイコンタクトを取り、娘が頷いた。亜衣はまたいったん、居なくなり、次に表われた時には、いくつものフルーツを盛った、円形のケーキの乗った皿を両手で持っていた。
「あの、これ私が作りました」
生クリームの上に「合格☆おめでとう」と書いてあった。
「これ、亜衣ちゃんが独りで作ったの?」
「はい。味は保障しませんが」
「凄いね。ありがとう。ナポリタン、おかわりしないでよかった」
亜衣の頬は少し赤みが射していた。しかし、白川さんや藤沢がアルコールでさらに赤くなっているので、それが目立つことはなかった。
「はい、孝志君、ポークソテー」
「ありがとう。あっ、おじさんずるいな。一人でビール飲んで」
「いいじゃないか、祝杯なんだから。君はまだ未成年だからね」
「一杯だけ」
藤沢が手を合わせる。
「仕方ない一杯だけだぞ」
白川さんはジョッキにビールをついで、藤沢の前に置いた。
「さすがおじさん」
藤沢は旨そうにビールを飲み干す。
「おじさん、俺にもいいかな」
「そうだな。今日は誠君の合格祝いだもんな。一杯だけだぞ」
「ありがとうございます」
しばらくして、僕がナポリタンを食べ終わり、右隣を見ると、藤沢の端正な顔がだいぶ緩んでいる。
「誠君、まだあるよ」
「いや、もういいです。ご馳走様」
僕らがいろいろと話している間、亜衣はほとんど言葉を発しなかったが、落ち着きがなかった。姿を見せたり消したりしている。父と娘がアイコンタクトを取り、娘が頷いた。亜衣はまたいったん、居なくなり、次に表われた時には、いくつものフルーツを盛った、円形のケーキの乗った皿を両手で持っていた。
「あの、これ私が作りました」
生クリームの上に「合格☆おめでとう」と書いてあった。
「これ、亜衣ちゃんが独りで作ったの?」
「はい。味は保障しませんが」
「凄いね。ありがとう。ナポリタン、おかわりしないでよかった」
亜衣の頬は少し赤みが射していた。しかし、白川さんや藤沢がアルコールでさらに赤くなっているので、それが目立つことはなかった。