「ああ、そうなんだ」
「あんまり驚かないんだな」
「同窓会に出た奴から、なんとなく噂として耳に入ってたから」
水族館という具体的な言葉は使えなかった。
「どこから漏れたんだろうなあ。この手の話は広まるのが早くてかなわない」
藤沢の苦笑が見えるようだった。
「ところで矢野とは、どこで再会したんだ?」
「うん、まあな。確かに有紗は同窓会に出たらしい。何年ぶりかで」
「孝志も出席したのか?」
「いや、俺は大学卒業してからは出てないよ。俺の連絡先を知ってる奴から、有紗が聞き出したらしい」
「なるほどね。じゃあ、矢野から連絡があった訳だ」
「そういう事。もうあいつ、俺が何度も司法試験に失敗してることを知ってたよ」
「有紗はいま何やってんの?」
「S書店で働いてる」
「ああ、大手だな。矢野は文学少女だったから。まあ元気ならいいけど」
「格差を感じるよ。劣等感かな。有紗はフロアを任せられるまでになってるのに、俺はなあ」
藤沢から声の力が抜けた。
「出来れば、3人でまた会いたいなあ」
「そうだな、そのうちな」
彼に似合わぬ、弱々しい口調だった。
「あんまり驚かないんだな」
「同窓会に出た奴から、なんとなく噂として耳に入ってたから」
水族館という具体的な言葉は使えなかった。
「どこから漏れたんだろうなあ。この手の話は広まるのが早くてかなわない」
藤沢の苦笑が見えるようだった。
「ところで矢野とは、どこで再会したんだ?」
「うん、まあな。確かに有紗は同窓会に出たらしい。何年ぶりかで」
「孝志も出席したのか?」
「いや、俺は大学卒業してからは出てないよ。俺の連絡先を知ってる奴から、有紗が聞き出したらしい」
「なるほどね。じゃあ、矢野から連絡があった訳だ」
「そういう事。もうあいつ、俺が何度も司法試験に失敗してることを知ってたよ」
「有紗はいま何やってんの?」
「S書店で働いてる」
「ああ、大手だな。矢野は文学少女だったから。まあ元気ならいいけど」
「格差を感じるよ。劣等感かな。有紗はフロアを任せられるまでになってるのに、俺はなあ」
藤沢から声の力が抜けた。
「出来れば、3人でまた会いたいなあ」
「そうだな、そのうちな」
彼に似合わぬ、弱々しい口調だった。