第57期王座戦挑戦者決定戦は,中川大輔七段と山崎隆之七段という,タイトル挑戦経験がない棋士同士による争いとなりました。これまでの対戦成績は互いに1勝ずつ。
振駒で山崎七段が先手。相掛りから後手が工夫して互いに引き飛車。先手がかなり手損を重ねる将棋となり,作戦負け模様でしたが,後手も攻めの方針を誤ったようで混戦に。

ここで☖5四銀は,攻め駒を使ってしまいますが観戦していてこうやるのではないかと思っていた手。これには☗6四角だろうと思っていましたら☗8八角。6筋に歩を使わせない意味でしょう。次の☖2二玉は自ら相手の角筋に入るのでびっくり。対して☗5三歩☖同歩☗5五歩(第2図)というのも,その角筋を自ら遮断するだけにまた驚きました。

まあ,プロの将棋ですから僕が驚く攻防が繰り広げられるのは当然といえば当然。この☗5五歩は後手の攻めを催促する意図だったようですが,どうやら正しい判断であったようで,その攻めを凌いだ先手が反撃を決め,勝っています。
ということで山崎七段が羽生善治王座に挑戦することになりました。山崎七段は旧朝日オープンでは挑戦経験がありますが,七大タイトル戦は冒頭にも書いたようにこれが初挑戦になります。第一局は少し先で,9月4日です。
ほとんど寝たきりに陥るほど体調は悪かったのですが,これまでの説明から分かりますように,僕は医者には診てもらっていませんでした。もっとも,こんな年の暮れになってしまいますと,診療している病院もあまりなかったかもしれませんし,そもそも,もうこの時期には僕はひとりでは病院まで行くこともままならなかったと思います。ただ,やはり僕にはほとんど初体験であるともいえる嘔吐をしたことで,家族の方が心配しまして,自動車で近くの休日急患診療所へ僕を連れていきました。これが大晦日の午後のことです。
実際のところ,僕にとって最大の問題は口渇であり,多尿でした。しかし家族は僕が嘔吐したために連れてきたわけで,少し意思の疎通を欠いていたところはあったかもしれません。僕も自分の病状を詳しく担当の医師に伝える気力もありませんでした。そういう中での診療でしたが,結果的にこのときの医師が診断したことは,まず,ものが食べにくいのであれば,たとえばカロリーメイトのような栄養価の高い飲料を飲むこと,次に,口の中が渇くのは原因が分からないから,年が明けたら口腔外科で詳しく診療してもらうようにということのふたつでした。そして吐き止めの薬を処方されました。僕にとって満足できるような診断ではなかったのですが,連れてきた家族は納得したようだったので,それで家に戻りました。
休日急患診療所の特性もあり,このときの医師の専門が何であったか,僕には分かりません。しかし,糖尿病の患者に対する診療としては見当外れであったことは間違いありません。しかしそれは止むを得ないことなのでしょう。本当に病気で苦しいというときには,きちんとした病院へ行かなければならないのだということを,肝に銘じておかなければなりません。
振駒で山崎七段が先手。相掛りから後手が工夫して互いに引き飛車。先手がかなり手損を重ねる将棋となり,作戦負け模様でしたが,後手も攻めの方針を誤ったようで混戦に。

ここで☖5四銀は,攻め駒を使ってしまいますが観戦していてこうやるのではないかと思っていた手。これには☗6四角だろうと思っていましたら☗8八角。6筋に歩を使わせない意味でしょう。次の☖2二玉は自ら相手の角筋に入るのでびっくり。対して☗5三歩☖同歩☗5五歩(第2図)というのも,その角筋を自ら遮断するだけにまた驚きました。

まあ,プロの将棋ですから僕が驚く攻防が繰り広げられるのは当然といえば当然。この☗5五歩は後手の攻めを催促する意図だったようですが,どうやら正しい判断であったようで,その攻めを凌いだ先手が反撃を決め,勝っています。
ということで山崎七段が羽生善治王座に挑戦することになりました。山崎七段は旧朝日オープンでは挑戦経験がありますが,七大タイトル戦は冒頭にも書いたようにこれが初挑戦になります。第一局は少し先で,9月4日です。
ほとんど寝たきりに陥るほど体調は悪かったのですが,これまでの説明から分かりますように,僕は医者には診てもらっていませんでした。もっとも,こんな年の暮れになってしまいますと,診療している病院もあまりなかったかもしれませんし,そもそも,もうこの時期には僕はひとりでは病院まで行くこともままならなかったと思います。ただ,やはり僕にはほとんど初体験であるともいえる嘔吐をしたことで,家族の方が心配しまして,自動車で近くの休日急患診療所へ僕を連れていきました。これが大晦日の午後のことです。
実際のところ,僕にとって最大の問題は口渇であり,多尿でした。しかし家族は僕が嘔吐したために連れてきたわけで,少し意思の疎通を欠いていたところはあったかもしれません。僕も自分の病状を詳しく担当の医師に伝える気力もありませんでした。そういう中での診療でしたが,結果的にこのときの医師が診断したことは,まず,ものが食べにくいのであれば,たとえばカロリーメイトのような栄養価の高い飲料を飲むこと,次に,口の中が渇くのは原因が分からないから,年が明けたら口腔外科で詳しく診療してもらうようにということのふたつでした。そして吐き止めの薬を処方されました。僕にとって満足できるような診断ではなかったのですが,連れてきた家族は納得したようだったので,それで家に戻りました。
休日急患診療所の特性もあり,このときの医師の専門が何であったか,僕には分かりません。しかし,糖尿病の患者に対する診療としては見当外れであったことは間違いありません。しかしそれは止むを得ないことなのでしょう。本当に病気で苦しいというときには,きちんとした病院へ行かなければならないのだということを,肝に銘じておかなければなりません。