スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

春日賞争覇戦&混同

2025-02-11 17:46:34 | 競輪
 奈良記念の決勝。並びは佐々木に山崎,道場‐松井‐郡司の南関東,古性‐三谷‐山本の近畿で皿屋は単騎。
 郡司がスタートを取って道場の前受け。4番手に古性,7番手に佐々木,最後尾に皿屋で周回。残り3周のホームから佐々木が上昇。バックで道場が突っ張ったので佐々木は引き,追走しなかった皿屋が7番手になり,8番手に佐々木という一列棒状に。残り2周のホームから道場が全力で駆けていきそのまま打鐘。ホームに戻って古性が動いていくと松井が番手捲り。古性が郡司の外での競りとなりましたが,どうも郡司が下がってきた道場と接触し車体が故障したようで内をずるずると後退してしまい,松井の後ろに古性。直線に入ってから古性が差を詰めにいき,接戦にはなったものの届かず,優勝は松井。マークとなった古性が8分の1車輪差で2着。古性マークの三谷が1車身差で3着。
 優勝した神奈川の松井宏佑選手は昨年9月の熊本のFⅠ以来の優勝。記念競輪は2021年の小田原記念以来となる3勝目。奈良記念は初優勝。このレースは南関東勢の二段駆けが有力で,すんなりそうした展開になってしまえば松井と郡司の優勝争いになるでしょうから,古性がそうはさせまいと分断策に出るだろうと予想していました。僕は古性が前受けして道場が押さえにきたところで松井のところに飛びつくような展開を想定していたのですが,スタートを郡司に譲るような形で南関東の前受けになりましたので,松井は競られにくくなりました。郡司と古性の競りになったのは展開によるものですが,競りは競輪の醍醐味のひとつではあり,郡司と古性のように力がある選手同士だとなおさらなので,車体故障であっさりと決着がついてしまったのは残念な気がします。直線が短いとはいえ楽に古性にマークされることになりましたので,それを振り切った松井は称えてもよいでしょう。

 同様のことは共通概念notiones communesを通しての認識cognitioについての場合にも当て嵌まると僕は考えています。
                       
 第二部定理三八系でいわれているように,僕たちの精神mensのうちにはいくつかの共通概念があるのですが,この系Corollariumの証明Demonstratioの様式からすれば,僕たちの精神のうちには,少なくとも延長の属性Extensionis attributumの十全な観念idea adaequataがあるということが帰結しなければならないと僕は考えています。このことについてはかつて検討しましたので,ここでは詳細は省きます。そしてこの延長の属性は神Deusの本性essentiaを構成する属性なのですから,これは神を十全に認識するcognoscereということと同じことであると僕は考えています。したがってこの観点からも,現実的に存在する人間の精神mens humanaのうちには,神の十全な観念が必然的にnecessarioあるということが出てくるという見解opinioを僕は有しているのです。
 しかしこの観念が,第一部定義六でいわれている神の観念を余すところなく表現しているかといえば,ぼくはそのようには考えません。これもまた延長の属性によって説明される限りでの神の十全な観念が僕たちの知性intellectusのうちにあるということを意味するのであって,絶対に無限な実体substantiaとしての神,無限に多くのinfinita属性によってその本性を構成される限りでの神の十全な観念が僕たちの精神のうちにあるという意味にはならないと僕は考えるconcipereのです。
 何度もいうように,神が絶対に無限な実体であるということ,神の本性が無限に多くの属性によって本性を構成されていなければならないということについては,僕たちは十全に理解するintelligereということを僕は認めます。しかし僕たちの知性のうちにある神の十全な観念は,僕たちがそのように理解している神の観念であるというわけではなく,延長の属性によって説明される限りでの神の観念であるか,そうでなければ延長の属性に対応する思惟の属性Cogitationis attributumによって説明される限りでの神の観念だと僕は考えるということです。そしてここのところを同一視すること,僕の立場からいわせれば混同することには,僕は疑義を有します。つまり僕たちが神を十全に認識するからといって,第一部定義六で定義されている神を余すところなく十全に認識しているということにはならないと僕は考えているのです。

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