書き逃げアンドロイド。

副交感神経が優位になるような写真が好き。

人間としての欲望

2019年07月19日 16時22分19秒 | 意識論関連
東池袋暴走事故の被害者の松永莉子ちゃんのお父さんが厳罰化を訴え署名活動をしているんだけど

申し訳ないけど賛同しかねる

アクセルとブレーキの踏み間違い事故っていうのは 勤続30年以上のベテラン路線バスのドライバーやパトカーの警官ですらやらかす「過失」なので

「罰で解決」という司法手続きというのは 再発防止の観点からはむしろ逆効果となる

莉子ちゃんのパパのお気持ちはわかるんだけど それは主観的感覚としての「わかる」でしかない

厳罰化による抑止力というのは結局精神論でしかなく ポカヨケのような実効性のある対策にはならない

「飲酒運転の厳罰化によって飲酒運転が減った」との報道もあるのだが 果たして飲酒運転が減った原因が厳罰化なのか それとも報道が増えたことによる周知効果なのか それとも他の要因なのかは理論的には不明だと言える

「罪」の観点から言えば 暴走事故って以前から何度もあったものであって その都度「司法判決で解決」という機械的手続きだけで終わりにしてしまっていた無責任さというものは 特定の過失者だけにあるわけではなくて 警察や政府 さらには政府を承認している国民全員の責任でもある



罰というものは過失に限らず 川崎の外務省職員や小学生殺傷事件や京都アニメーション放火のように自暴自棄な犯罪者に対しても効果がない

中華人民共和国では麻薬取締法違反は極刑なんだけど それでも後を絶たないのは 犯罪者っていうのは基本的に自律的な社会的責任判断をしようという自主性や主体性が欠落しているからなのね

伊勢崎賢治も法律の公平性を訴えているんだけど 実際に暴力を振るう奴ってのは法律関係ないんだよね 仲間内で統率協調的に誰かを排除差別することを「正義」だと勝手に勘違いして暴力を振るっているだけなので 制度自体は暴力抑止に対してあまり意味を為さない

「罰や暴力で解決だ」というヒト全般に普遍的に見られる短絡性や非合理性に言及しないことには暴力の本当の原因究明と再発防止策にはつながらない

社会安全性にとって最も優先されるべきなのは合理的根拠を伴う再発防止策であって これを優先しないというのは社会的に無責任だと言える

莉子パパの「何とかしたい」という強い意欲(気持ち)はわかるんだけど 厳罰化は本来の目的とはかけ離れてしまっている

当人的にどんなに「気をつけているつもり」になったからといってポカミス過失は起きる時は起きるんであって

過失というのは誰でもやらかすものであって 私自身も信号無視や踏み間違い経験したことがある

私の場合は何事も被害にはならなかったんだけど 失敗過失というのはむしろ公表して共有して再発防止に活かす情報にすべきなのに 厳罰化や取締強化というのはむしろ失敗過失をみんな隠蔽せざるを得なくなってしまい逆効果に働く

どのようなミスが多いのかがデータとして集められていれば 様々なポカヨケ的対策によって失敗過失を地道に減らす具体的対策も出来るようになる

こうした地道で地味で面倒臭い「改善」を 以前からやっとけば もしかしたら莉子ちゃん達は死ななくて済んだのかも知れない

本当に必要なのは 主観的な報復感情を満たすことではなくて 客観的再発防止のための合理的解決策を見つけること



とは言っても 別に松永さんの署名活動を妨害するつもりはないし 署名を賛同する人を非難するつもりもないし 誰にもして欲しくはない

科学や哲学というのは 本当のこととは何かを探求することであって 理論的に間違っているからといって強制的に禁止したり抑圧したりするのは哲学からの逸脱になる

科学や哲学の観点からは実証不能の神は語るに足らないが だからといって社会制度的に禁止したり非難したりするべきではないのと同じこと

それをやったら科学や哲学ではなくて「何か別の宗教」になってしまう

科学や哲学というのは「間違っていることは 間違っています」と主張する以上のことをすべきではない

科学や哲学というのは理性による「知識」であって それに基づいて制度を決定するのは別の話



「誰も理解しない」ことを理由に私個人がどんなに腹を立てようとも そんなものは社会安全性にとって何の意味もない身勝手な主観的感想であり どうでもよろしい

私は別に多数派からの評価承認も求めていないし ご機嫌取りも要求しない

私が一番嫌なのは「赤ん坊が丸焦げ」にされるような悲惨な出来事が二度と起きて欲しくないだけであって それを減らすために必要な真実を求めているに過ぎない

それ以上の何も特に欲しくはない



Ende;
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