[あらすじ] 台所のシンクの排水はまずトラップという樽に入り、
そこから排水ホースに繋がり、床の排水口に落ちてゆく。
我が家は24年前の改修工事がずさんだったのか、
排水ホースがギリギリの長さでトラップにただ接着してあった。
そこが外れて、シンク下の棚の中に、食器を洗った水が生ごみを経て
ダバダバだよ。
経年変化した排水ホースは硬化して、
棚の底板の穴から排水口へクランクの形で固まっている。
引っ張ったって抜けやしない。
穴に手を突っ込んで引っ張る作業をしているうち、手がちょっとすりむけた。
傷を負ってちょっと気分が落ちたが、同時にむわむわと闘志が湧き上がってきた。
人間も動物として生き抜くために、ちょっと傷を負わされたりすると、
反撃に出るように脳みそや神経やホルモンの仕組みが出来上がっているのに違いない。
敵の攻撃を受けた。やり返せ!勝て!獲物を村に持ち帰るのだ!!!
きれいに作ってある棚板を切ったら、またきれいに補修したいな、
ちょっと面倒だな、なんて気持ちはいづこへか吹っ飛ぶ。
床板テメエえええ!
切ってやる!
私を甘く見るなよ!うりゃあ!
至極冷静に、ディスクグラインダーを準備する。
自転車の鍵を外した時に、切断砥石を買ったはずだ。
有った。
棚のステンレス板なんざ薄っぺら。チョロいもんよ。
ディスクグラインダーにホイールガードを取り付ける。
これが無いと、火花が容赦無く自分の手に降りかかって、熱い。
切断砥石を取り付ける。
取り付け金具をしっかり締める。
シンク下に屈み込み、なるべく板に対して垂直に刃を当てる。
接触する面が小さいほうが良い。点と言えるくらい。
スイッチオン。
ギャーーーン。
快調。
暗く狭いシンク下の棚の中で、火花が散る。
ステンレスが熱で赤くなる。
きれい。
ゲホゲホ。
ステンレスで覆われた下のベニヤ板が焦げて煙が出る。
休み休みやろう。
※
数分後、ステンレスは缶詰の蓋のような感触でペロンと切り外され、
ベニヤ板はパリパリと割って取り外し、
床の排水口が露わになった。
ふん、ざまァ見ろ、穴め。
クランク型に固まった古い排水ホースもあっけなく抜けた。
手こずらせやがって、頑固者めが。
私が留守にすると鳴いて呼んじゃう老犬が眠っているのを見計らって、
一番近いホームセンターへ自転車を飛ばし、新しい排水ホースを買う。
ついでに、排水口を密閉するための防臭キャップという部品も買ってみる。
においが気になったことは無いが、今後はわからんし、隙間風も防げるだろう。
新しい部品を取り付ける作業は何の難も無い。
棚板に、グラインダーで雑に切った穴が残っており、そこから床が見えるが、
これはまた時間の取れる時に板を切って置こう。
こないだ地下室の天井にした板が残っている。
ひとまず、これでいいや。落着。
反撃モード終了。落ち着こう、我が心身。
そこから排水ホースに繋がり、床の排水口に落ちてゆく。
我が家は24年前の改修工事がずさんだったのか、
排水ホースがギリギリの長さでトラップにただ接着してあった。
そこが外れて、シンク下の棚の中に、食器を洗った水が生ごみを経て
ダバダバだよ。
経年変化した排水ホースは硬化して、
棚の底板の穴から排水口へクランクの形で固まっている。
引っ張ったって抜けやしない。
穴に手を突っ込んで引っ張る作業をしているうち、手がちょっとすりむけた。
傷を負ってちょっと気分が落ちたが、同時にむわむわと闘志が湧き上がってきた。
人間も動物として生き抜くために、ちょっと傷を負わされたりすると、
反撃に出るように脳みそや神経やホルモンの仕組みが出来上がっているのに違いない。
敵の攻撃を受けた。やり返せ!勝て!獲物を村に持ち帰るのだ!!!
きれいに作ってある棚板を切ったら、またきれいに補修したいな、
ちょっと面倒だな、なんて気持ちはいづこへか吹っ飛ぶ。
床板テメエえええ!
切ってやる!
私を甘く見るなよ!うりゃあ!
至極冷静に、ディスクグラインダーを準備する。
自転車の鍵を外した時に、切断砥石を買ったはずだ。
有った。
棚のステンレス板なんざ薄っぺら。チョロいもんよ。
ディスクグラインダーにホイールガードを取り付ける。
これが無いと、火花が容赦無く自分の手に降りかかって、熱い。
切断砥石を取り付ける。
取り付け金具をしっかり締める。
シンク下に屈み込み、なるべく板に対して垂直に刃を当てる。
接触する面が小さいほうが良い。点と言えるくらい。
スイッチオン。
ギャーーーン。
快調。
暗く狭いシンク下の棚の中で、火花が散る。
ステンレスが熱で赤くなる。
きれい。
ゲホゲホ。
ステンレスで覆われた下のベニヤ板が焦げて煙が出る。
休み休みやろう。
※
数分後、ステンレスは缶詰の蓋のような感触でペロンと切り外され、
ベニヤ板はパリパリと割って取り外し、
床の排水口が露わになった。
ふん、ざまァ見ろ、穴め。
クランク型に固まった古い排水ホースもあっけなく抜けた。
手こずらせやがって、頑固者めが。
私が留守にすると鳴いて呼んじゃう老犬が眠っているのを見計らって、
一番近いホームセンターへ自転車を飛ばし、新しい排水ホースを買う。
ついでに、排水口を密閉するための防臭キャップという部品も買ってみる。
においが気になったことは無いが、今後はわからんし、隙間風も防げるだろう。
新しい部品を取り付ける作業は何の難も無い。
棚板に、グラインダーで雑に切った穴が残っており、そこから床が見えるが、
これはまた時間の取れる時に板を切って置こう。
こないだ地下室の天井にした板が残っている。
ひとまず、これでいいや。落着。
反撃モード終了。落ち着こう、我が心身。
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