[あらすじ] 防水機能の無い頃、携帯電話を川に落とした。
一番下の列のボタンが効かなくなったが、工夫したら文章が入力できた。
発想の転換というのは、困った事態にならないとなかなか出ないものだなあ。
青森出身の旧友、レズビアンの翔子ちゃんが、
いつの間にか活動家になっていた。
ネット上で再会した時には既に故郷の青森に住んでいた。
そして、青森レインボープライドを始めていた。
第一回は、たった三人で歩いたという。
自分の地元の地方都市で、レズビアンということをオープンにして歩く
ということは、とてもとても勇気の要ることだ。
例えば、今、私が、自分の住んでいる地元深大寺の町を、
虹色の旗を振って「Xジェンダーはここで暮らしています」とかなんとか
プラカードに書いて歩けるかと言ったら
ちびるね。
家の窓にレインボーフラッグを掲げて、
「そらにじ深大寺」「セクシュアルマイノリティの家」
「一緒に生きていこう」「子どもかけこみ所」とかなんとか
看板を出せるかと言ったら
ちびるてば。
※
3人で始まった青森のパレードは、翌年は24人、その次は45人、
4回目は101人、2018年は173人+犬2匹、
昨2019年は208人と、参加人数が増えてきている。
2018年の犬2匹のうち1匹は、私が連れて行った飼い犬ジーロくん12歳(当時)である。
ジーロは、街中ではオシッコをしない。
植木畑の豊かな深大寺育ちのためだろうか。
パレードの時も、広場の隅っこの植え込みのところで用を足してから出発するという
見上げたマナーであった。
東京のパレードでは犬連れで参加するのは無理だが、
青森だからこそ連れて行けた。
ずいぶんたくさんの人にかわいがってもらえた。
また参加したいと思ったが、
長い時間散歩したり、旅行をしたり、
といった体力は、老犬にとって、この年が最後となった。
※
お友達のゆうこちゃんが撮ってくれた写真が、いい。
https://blog.goo.ne.jp/su-san43/e/7d307cd4668feedd3604434839d32ac7
※
コロナウイルスの蔓延防止ということで、
4月26日に予定されていた東京レインボープライドは、
緊急事態宣言に先立って、3月19日に中止と発表された。
私は数年前から毎年、ブラスバンドの一員としてパレードに参加している。
地元でカムアウトすることは困難でも、
何千人のパレードの中で渋谷の街を歩くことはできる。
それ以上に、自分の地元で歩くことはできない人たちや
あるいは自分の地元にプライドイベントの無い人たちにとって、
東京のパレードは参加しやすい貴重な機会だと思う。
自分をオープンにして街を歩くのは、勇気が要る。
知られないように知られないように生活している中で、
プライドパレードを歩くのには、勇気が要る。
しかし、歩いた時の清々しさはたとえようも無い。
たとえられるとしたら、ちょうどパレードの時期の、
初夏の空の清々しさか。
その清々しさを知る者にとって、年に一回のパレードが無いことは、
かなりの喪失感が有る。
※
東京のプライドパレードが中止になったことで、
時期の異なる地方のパレードに参加者が分散して増えたら面白いな、
と思った。
東京で発散できないなら、別の都市のパレードに参加しよう、
という発想も有りかな、と。
3月19日頃は、まだそんなふうに考えたりした。
その後、事態はもっと長引きそうになってきた。
※
東京を含む7都府県に緊急事態宣言が出された4月7日のことだ。
ツイッターに、青森レインボープライドの投稿を見つけた。
6月7日に予定していた青森のパレードは、WEB開催にします
と言うのだ。
なんと!
これなら私も参加できる。ジーロくんも参加できる!
非常事態のおかげと言ってはなんだが、嬉しい。
翔子ちゃんも
「これなら、体力に自信の無い人も、赤ちゃんも。
ほんとの意味で”誰でも参加できます”っていう表現について考える機会にもなりました。」
と語る。
これだ。
ピンチはチャンス。
そして、チャンスを活かせる発想を持ったスタッフたち。
それに、決断力と行動力。
※
その1週間後、東京レインボープライドも”オンライン開催”を発表した。
※
今まで、「遠いから」「車椅子だから」「風邪引いちゃった」
「顔だけ隠せば歩けるわけでもない」「介護していて家から出られない」
などなどの理由でパレードに参加していなかった人も、
今年はチャンスかも。
いや、今年を経て、今後はWEB並行開催が広まると思うね。
青森のWEB開催の詳細はこちら↓
https://aomori-pride.jimdofree.com/
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