犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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筆を選ぶ

2017年04月25日 | 書の道は
弘法は筆を選ばず、なんて言って、
道具より技術が大事だってなことを言う。

あれ、嘘らしいね。
弘法も、筆を選んだそうだ。
書きたい字に合わせて、いろいろと筆を作らせていたそうだ。

しなやかな草書、細い小楷、均一な線の金文、歯切れの良い隷書。
それぞれに、ふさわしい筆がある。
太さはどうか、穂の長さはどうか、毛の硬さはどうか。
その毛は何の毛なのか、一種類か合わせて使うのか、その動物のどこの部位の毛なのか。
などなど、筆は実にさまざまだ。

孫過庭が「どんどんいろいろおやんなさい」と言うのに鼓舞されて、
金文も隷書も草書も楷書も並行してやっている。
行書を始めることなんかすっかり忘れるくらい、やることがいっぱいある。
すると、ある程度、筆も必要になってくる。



唐の玄宗皇帝が書いた、孝経を臨書している。

玄宗の隷書はとにかく形が整っている。
フォントかよ、と思うくらいだ。
ひと目見て、かっこいいなあ皇帝!と思ったので、選んだ。
いささか整い過ぎなので、ヨノナカでは賛否両論らしい。

隷書はキレの良い、短鋒の筆が書きやすい。
しかし、短鋒のものはなかなか売っていない。
やっと見つけても、種類は少なく選択肢がほとんど無い。

上は鼬(イタチ)と狸の雀頭筆。
雀頭筆はじゃくとうと読んで、文字通り雀の頭のような
ずんぐりとした形をしている。

真ん中のは中国の筆。
これも雀頭筆と呼ぶが、少し形が違う。

ある筆屋に教わったが、中国は文化大革命のときに、
伝統工芸の技術を一旦断ち切ってしまった。
まるで明治維新のようなことになったようだ。
それまでの筆作りの技術が失われ、今は日本から技術者が行って教えているらしい。

中国型の雀頭筆は、短い毛が周りを支えている。
隷書の波磔を書くときに、この周りの毛の先が紙に付いて、
妙なケバケバが出てしまう。
これは使えない。

上のより、もう少し柔らかい毛で、もうすこーしだけ長めのものが有ったらなあ。
あっ、以前、仕方なしに買った隈取筆が案外使えるのか??

なんでも試してみよう。
試して、練習して、使いこなせるようにならなきゃ、
筆の真価もわかるまい。

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