[あらすじ] 近所の小学校の盆踊りに行ったよ。
太鼓の名人がいたよ。
保護者の方なんだろうか。
界隈の太鼓の愛好会でも有るのだろうか。
地元のコミュニティに積極的に関わってこなかったので、
いろいろ知らない。
※
あれこれの楽器をやりたい。
その中でも、和太鼓は子どもの頃からやりたかったものの一つだ。
でもやらなかったのにはいくつか原因が有ると思う。
一つは、身近にやっている人がいなくて、出会わなかったから。
やったら良かったのかも知れないと思う理由もいくつも有る。
私は、子どもの頃から性別違和感を持っていた。
自分の身体の性別がしっくりこないのだ。子どもの頃から。
和太鼓をやるとき、女性も
股引にさらしを巻いて半纏をひっかける。
あのスタイルはジェンダーレスなのだから、
自分には合っていたんじゃないだろうか。
※
一日目の踊りが終わった時、
太鼓を叩いていた女性に「かっこよかったす!」と声を掛けたら、
「明日もやってるんで、来てください!」という挨拶を頂いた。
挨拶だと分かっていても、
そんなら行こうかな、という気になる。
近いし。少し踊りに行くか。
※
行ってみると、櫓の上で太鼓を叩く子どもたちが交代するところだった。
最後のひと組だということだ。
櫓の脇の段の上では、今日は別の女性が太鼓を叩いている。
遂に最後の曲だが、名人は出てこない。
あら残念。来るのが遅過ぎたか。
太鼓もさることながら。
実は、テンポキープの要は鉦(かね)である。
金属製の小さい小鉢みたいなのを、小さな鎚でカンカン叩く、アレ。
昨日は壇上の子どもたちの太鼓も上手で、ずれることも無かったが、
なんだか二日目の今日は乱れることが多かった。
そんな時でも、よく聞くと鉦はきちんとキープしている。
太鼓の子たちがこの鉦を聞けていないのかもしれない。
鉦は誰かな、と思って見てみると、
太鼓の段の端っこにちょんと腰掛けて、少年が叩いている。
昨夜、名人の太鼓の下で鉦を叩いていた子だ。
高学年くらいに見えるが、耳にはピアスを付けている。
台の端に腰掛けて足はブラッと垂らしている、
けれど鉦は確実だ。
すごくこなれている。
なんだろう、オトナの余裕の雰囲気。
※
そうするうちに最後の曲も終わった。
すると、壇上にマイクを持った男が昇り、
大きな声を張り始めた。
「踊りの時間が終わったらぁ、
ダンシング・タイムだーーー!!!」
一日目と違ってずいぶん男子中学生が多いと思っていたが、
そいつらがドッと盛り上がる。
すぐ近くの中学校の子たちだ。
見れば、櫓の最上階に、あの名人がいる。
今日は黒い洋服を着てシュッとしている。
「曲はもちろん、ジャンボリミッキー!!!」
※
すみません、知りません。
あらためて調べて知りました。
ほう。
ディズニーの曲、ということは調べなくても分かるが。
なに、去年の紅白で男性アイドルグループのsnowmanがやったとな。
なるほど、わしゃ知るわけ無いな。
※
会場は異様な熱気に包まれた。
中坊たちが一斉に飛び跳ねる。
なんじゃこりゃ
太鼓の台の上では、かの少年が太鼓を叩き、
櫓の最上段では、かの名人が太鼓を叩く。
地上では、股引に腹掛け姿のおじさんが鉦を叩く。
ああ、このおじさんも何度も見たことが有る。
なるほどみなさん達者なわけだ。
※
ジャンボリミッキーは、けっこう長い。
しかし子どもらはちっとも飽きず疲れず飛び跳ね続けている。
曲が終わり、一旦熱気が収まった。
しかし
「次の曲は、ダンシング・ヒーロー!!!」
だろうね。
※
周辺への配慮なのだろうか、
曲の音量はあまり大きくない。
MCの男性の
「右~~~、左~~~、回って~~~、オイオイオイオイ!!!!」
という声がデカい。
上段の太鼓は名人から他の人に交替している。
※
校庭の光の中に、ものすごい埃が立ち上っているのが見える。
帰って風呂入って寝よう。
校舎の反対側の道を歩いていると、
曲はまったく聞こえない。
MCの声がかすかに聞こえてくる。
「アンコールかぁい?」
もしかすると、太鼓はまた交替して名人が叩いているかもしれないが、
私はそのままお先に失礼いたしました。
また来年。
太鼓の名人がいたよ。
保護者の方なんだろうか。
界隈の太鼓の愛好会でも有るのだろうか。
地元のコミュニティに積極的に関わってこなかったので、
いろいろ知らない。
※
あれこれの楽器をやりたい。
その中でも、和太鼓は子どもの頃からやりたかったものの一つだ。
でもやらなかったのにはいくつか原因が有ると思う。
一つは、身近にやっている人がいなくて、出会わなかったから。
やったら良かったのかも知れないと思う理由もいくつも有る。
私は、子どもの頃から性別違和感を持っていた。
自分の身体の性別がしっくりこないのだ。子どもの頃から。
和太鼓をやるとき、女性も
股引にさらしを巻いて半纏をひっかける。
あのスタイルはジェンダーレスなのだから、
自分には合っていたんじゃないだろうか。
※
一日目の踊りが終わった時、
太鼓を叩いていた女性に「かっこよかったす!」と声を掛けたら、
「明日もやってるんで、来てください!」という挨拶を頂いた。
挨拶だと分かっていても、
そんなら行こうかな、という気になる。
近いし。少し踊りに行くか。
※
行ってみると、櫓の上で太鼓を叩く子どもたちが交代するところだった。
最後のひと組だということだ。
櫓の脇の段の上では、今日は別の女性が太鼓を叩いている。
遂に最後の曲だが、名人は出てこない。
あら残念。来るのが遅過ぎたか。
太鼓もさることながら。
実は、テンポキープの要は鉦(かね)である。
金属製の小さい小鉢みたいなのを、小さな鎚でカンカン叩く、アレ。
昨日は壇上の子どもたちの太鼓も上手で、ずれることも無かったが、
なんだか二日目の今日は乱れることが多かった。
そんな時でも、よく聞くと鉦はきちんとキープしている。
太鼓の子たちがこの鉦を聞けていないのかもしれない。
鉦は誰かな、と思って見てみると、
太鼓の段の端っこにちょんと腰掛けて、少年が叩いている。
昨夜、名人の太鼓の下で鉦を叩いていた子だ。
高学年くらいに見えるが、耳にはピアスを付けている。
台の端に腰掛けて足はブラッと垂らしている、
けれど鉦は確実だ。
すごくこなれている。
なんだろう、オトナの余裕の雰囲気。
※
そうするうちに最後の曲も終わった。
すると、壇上にマイクを持った男が昇り、
大きな声を張り始めた。
「踊りの時間が終わったらぁ、
ダンシング・タイムだーーー!!!」
一日目と違ってずいぶん男子中学生が多いと思っていたが、
そいつらがドッと盛り上がる。
すぐ近くの中学校の子たちだ。
見れば、櫓の最上階に、あの名人がいる。
今日は黒い洋服を着てシュッとしている。
「曲はもちろん、ジャンボリミッキー!!!」
※
すみません、知りません。
あらためて調べて知りました。
ほう。
ディズニーの曲、ということは調べなくても分かるが。
なに、去年の紅白で男性アイドルグループのsnowmanがやったとな。
なるほど、わしゃ知るわけ無いな。
※
会場は異様な熱気に包まれた。
中坊たちが一斉に飛び跳ねる。
なんじゃこりゃ
太鼓の台の上では、かの少年が太鼓を叩き、
櫓の最上段では、かの名人が太鼓を叩く。
地上では、股引に腹掛け姿のおじさんが鉦を叩く。
ああ、このおじさんも何度も見たことが有る。
なるほどみなさん達者なわけだ。
※
ジャンボリミッキーは、けっこう長い。
しかし子どもらはちっとも飽きず疲れず飛び跳ね続けている。
曲が終わり、一旦熱気が収まった。
しかし
「次の曲は、ダンシング・ヒーロー!!!」
だろうね。
※
周辺への配慮なのだろうか、
曲の音量はあまり大きくない。
MCの男性の
「右~~~、左~~~、回って~~~、オイオイオイオイ!!!!」
という声がデカい。
上段の太鼓は名人から他の人に交替している。
※
校庭の光の中に、ものすごい埃が立ち上っているのが見える。
帰って風呂入って寝よう。
校舎の反対側の道を歩いていると、
曲はまったく聞こえない。
MCの声がかすかに聞こえてくる。
「アンコールかぁい?」
もしかすると、太鼓はまた交替して名人が叩いているかもしれないが、
私はそのままお先に失礼いたしました。
また来年。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます