犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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キッド・ボンヲドリック大正大学

2022年07月10日 | 踊る阿呆
待ちに待ったという言葉を使えることを待ちに待っていた。

久々の盆踊りだ。
心湧く。
マスク着用はしんどいけれど。



都営三田線の西巣鴨駅からすぐのところに大正大学は在る。
私自身、この駅を使って大学に通っていたことが有る。別の大学だけど。
また、12年前に鍼灸師の国家試験を受験したが、その時の会場がここだった。
且つ、5歳までは大塚に住んでおり、幼稚園の最寄り駅は巣鴨だった。
そんな、ちょびっとずつご縁の有る土地だ。

四谷三丁目の鍼灸学校に通っていた。
毎日、新宿から歩いていた。
ある日、帰りに新宿通りを歩いていたら、太鼓の音が響いてきた。
フラフラと寄って行くと、そこは太宗寺だった。

私は現在、Xジェンダー自認である。
女性に生まれているのだけれど、なんかそんな気がしない。
よく言うLGBTだと、Tのカテゴリーに入る。
社会的にも個人的にも、Lのカテゴリーだった歴史が有る。
まあ、なんか、そんなわけで、
新宿二丁目には何度か飲みに行ったことが有る。

太宗寺は、二丁目のバー街を抜けたところに在る。
ちょっと愛嬌のある閻魔様と、その横で恐ろしい奪衣婆と、
塩に埋もれた地蔵さんで有名な寺だ。

境内の真ん中に櫓が組まれ、屋台が出ている。
踊りの輪ができている。

私は子どもの頃、盆踊りを楽しめなかった。
近所の私立学校に通ったため、地元のコミュニティに入りそこねていた。
一人で踊りの輪に入っていく勇気も無いし、気恥ずかしかったし、
踊り自体も楽しそうと思えなかった。

四十手前にした私は違った。
とりあえず踊りの輪に入った。
何人か前の人を手本にするのが見やすいと分かった。
足を先に覚えるのが良いと分かった。

家に帰って、踊りの振りをメモして、
翌日も行った。
次の年も行った。
その年は、他の土地の盆踊りにも行ってみた。
その一つが、巣鴨地蔵通りの盆踊りだった。

巣鴨のお地蔵さんの盆踊りは、他と雰囲気が違った。
踊りがきれいだった。
驚いた。
ソースやシロップにまみれた子どもが踊りの輪を横切って駆け抜ける、
なんてことは、地蔵では有り得なかった。

坂東流の先生が踊りの指導をしていることが分かった。

太鼓も他と違った。
地元の盆踊りだと、近所の小学生が叩いていて
たまーにうまい子がいるくらいだ。
巣鴨鼓友という同好会が揃いの法被で組み太鼓まで披露する。

町だなー。

私は惚れ込んでしまい、それからは毎年通いつめた。
7月の終わりから8月の頭にかけて、5日間も開催する。
全日行きはしないが、私はここで夏の体力を使いきり、
8月初旬に必ず風邪を引いたものだ。



その後、コロナ禍の世になり、夏の過ごし方がすっかり変わってしまっていた。
今年はあちこちの盆踊りが再開しているようだ。



その、巣鴨地蔵通り盆踊りを支える坂東扇太恵先生と巣鴨鼓友が
大正大学の盆踊りに力を貸している。
こりゃあ行くしかない。

鴨台盆踊りは今年で12回目という。
ということは、私が初めて行ったのは第1回目か2回目くらいだったのか。
まだ櫓も無く、巣鴨鼓友もいなかった。
坂東先生が学生に太鼓を教えていた。

東日本大震災の直後だった。
その供養の意味が有った。

ちょうど、巣鴨の盆踊りの十八番のひとつに、
相馬盆唄が有った。
一般に踊られているのと違って、巣鴨では坂東先生の振り付けで踊る。
優美な振りなんである。



地蔵通りでのプログラムも踊れるかと期待したが、そうでもなかった。
地蔵での曲目はやはり、あすこの踊りの会の方々のためのものという感じがする。

1曲目は「大正大学校歌」。
ブラスバンドの生演奏に、音楽部の合唱が付き、
坂東先生の振り付けで、みんなが踊る。
あたしゃなんだかジーンときちゃったね。

「東京音頭」や「炭坑節」といった定番、
「巣鴨音頭」も踊る。
学生さんの参加者も多いし、若者もきれいに踊り、子どもたちもよく踊る。いいぞ。

「恋するフォーチュンクッキー」は不思議と太鼓のリズムがはまる。
曲の構成がシンプルなおかげで、振り付けが気持ちよく合う。

どうやら荻野目洋子の「ダンシング・ヒーロー」がここでも人気のようだ。

そして、DA PUMPの「USA」が掛かる。
私は休もうかと思ったが、すかさず「炭坑節の振り付けです。」と親切なアナウンスが入る。
だったら踊ろうか。
振り付けは歌詞の内容に即しているのだから、なんだかちょっと踊りにくいなあ、
なんて思いながら踊っていたら、サビに入った。
すると、右手を振り上げて左手でステップして
右上でシャンシャン、左下でシャン、
ええええっ、聞いてないよ!
しかもそれを2回じゃなく4回繰り返す。

なんとエアロビックな。
サビは一曲中3回あらわれた。
きびしい。

「365日の紙飛行機」もかかった。AKB48人気たるや。
せいぜい周りを見て、振り付けを覚えながら踊る。
と、
曲の途中で音が突然止まった。
音響機器の接続トラブルか。
太鼓はひるまずに、打ち続ける。踊りも続く。
そしてすぐに、歌声があがった。
きれいに歌い継がれた。
ちょっと、こんなにいい「365日の紙飛行機」が有ったろうか。
あたしゃまたジーンとしちゃったね。

最後の曲は「ダンシング・ヒーロー」だった。
じゃあもういいや帰ろう、と思ったら、
久しぶりに会った盆踊り仲間が「最後だし」と言うので、
精一杯はっちゃけて踊った。

終わったら、会場からアンコールがかかった。
司会者が応える。
「それでは、ダンシング・ヒーローをもう一回!」
ひいいい

そうだった。
主催は学生、参加者も学生が多いんだった。
みんな体力有るんだわ。



翌朝、犬の散歩を済ませてから、私は寝直した。
寝た寝た。
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