八丈島のおいしい暮らし

毎日のごはん作りと島暮らしに役立つ情報を
八丈島のスーパーあさぬまからお届けしています

八丈島酒造祝100周年インタビュー

2015年06月15日 06時31分10秒 | インタビュー


6月12日(金)発売の南海タイムスに広告が載りましたので、
ご覧になられた方もいらっしゃると思います。


八丈島酒造の焼酎  あさぬま焼酎コーナー

八重椿や江戸酎でお馴染みの八丈島酒造さんが今年で100周年を迎えました。
一ファンとして、心よりお喜び申し上げます。おめでとうございます!

わたしは昔から大の八重椿党で、15年ぐらい前ですが、
友人達と毎月8日に集まって八重椿を飲む会を主催していたほどの熱烈ファンです。
自分のことのように嬉しいので、社長の清光さんにお祝いを言いに行ってきました!


八丈島酒造(大賀郷・東里)

八丈島酒造は、大賀郷の東里にあります。裁判所や出光の裏の方ですね。
*八丈島酒造合名会社 | 東京七島酒造組合


八丈島酒造合名会社 代表 奥山清光さん

サッカーの奥山武宰士くん のパパとしても有名な清光さんですが、
わたしは清光さんと同じ大賀郷東里の出身ですから、地元の先輩です。
100周年の八丈島酒造について、ざっくばらんにいろいろとお話を伺いました。

●八丈島酒造100周年おめでとうございます!感慨をお聞かせください。
100年よくぞ続いた。先祖が始めたものをよく守ってこれた。という思いと、
焼酎造りは八丈島の伝統産業だから、後に続けていく責任を感じます。

●清光さんは何代目ですか?
大正4年の清五郎酒屋から3代目です。

●でも実際には、もっと前から焼酎を造っていたんですよね?
たぶんね。江戸時代から焼酎を造っていたと思うけど、
記録に残っている一番古いものが大正4年なので、そこから100年ということです。
八丈島に焼酎を伝えた庄右衛門さんが東里に住んでいて、
うちの先祖が焼酎造りを教えてもらったひとりじゃないかと思うけど、
そういうことは文献には残ってないから証明のしようがない。


八丈島酒造の焼酎

●八丈島酒造の焼酎の中で、一番古くから造っていたのはどれですか?
八重椿の前に、八重という焼酎を造っていて、その後、八重椿もできて、
八重椿に統一されたから八重椿が一番古いね。
その後、島流し、一本釣りが昭和60年から、江戸酎が平成25年から。

●清光さんが焼酎造りでこだわっていることを教えてください。
ずっと造りたかった八丈島産芋100%の江戸酎をやっと造ることができたけど、
芋ブレンド(約20%)の八重椿も八丈島産の芋を使っている。
八丈島の焼酎として売るのだから、八丈島の芋を使わなければと思ってます。

●焼酎造りで一番大変な点はなんですか?
それはやはり、八丈島産の芋をそれだけの量確保することだね。
島の芋がなければ、うちの焼酎は造れないから。
芋が豊作なら焼酎をたくさん造れるけど、不作なら少ししか造れないわけだから。
芋は自分でも作ってるけど、農家に頼んで作ってもらっています。

●八丈島産芋100%の江戸酎は、発売以来好評ですが、
実はあの焼酎は、ラベルに書かれてないけど、3年古酒なんですよね?

そう。だけど、焼酎が出来上がる時期と販売の時期の関係で、
3年に少し満たないから3年古酒とは書けない。
だから、約4年置いて、3年古酒と書こうかと検討している。

●このエピソードが清光さんの誠実な人柄をよく現してますね。
こだわりをもって良い焼酎を造っているのに、一切PRしないしね。
だから、今回はわたしが代りにPRしておきますね。

ありがとう(笑)
でも、焼酎は嗜好品だから、みんな飲みたいものを飲めばいいと思ってるよ。

●今後の展望などあればお聞かせください
現実的には難しいから夢だけど、芋だけでなく麦も八丈島産を使えたらと思う。
そしたら本当の意味で八丈島の焼酎になるでしょう。夢だね。

●ありがとうございました。これからもおいしい焼酎を造ってくださいね。
わかりました。がんばります。


八重椿トートバッグ

清光さんの奥様の絹代さんから相談されて、
100周年プレゼントに八重椿トートバッグをご提案したものが完成しました。
八重椿ファンのわたしが一番ほしいノベルティです。いただきました。
この他、八丈島酒造の焼酎銘柄入りTシャツもあります。
樫立在住の元ユニクロデザイナーあやこちゃんのデザインですから、
かっこいいですよ。本日6月15日から各小売店でプレゼントされます。

プレゼント方法は各小売店に一任されてるそうですが、絹代さんは、
できたらいつも焼酎を買ってくださる方々にお渡ししたいと仰ってました。
あさぬまには、トートバッグとTシャツ各5枚ずつあるそうです。
われこそは八丈島酒造の焼酎をたくさん飲んでいる!とお思いの方は、
どうぞ、あさぬまにてお問い合わせください。
ただし、すぐなくなると思いますので、どうぞお早めに!


※日月特売チラシはブログ掲載ありませんので、レジカウンターでご覧くださいね。

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大澤一勝さん@八丈島を彩る人々(14)

2009年12月27日 20時05分05秒 | インタビュー
本日の日曜インタビューは、「大勝組」会長、大澤一勝さんです。
一勝さんへのインタビューは、浅沼社長からもリクエストが出てました。

先日お伝えした「アイランドクリスマス」や「ドバンケ餅つき大会」などを
中之郷で主催されている他、観光客が台風などで島に足止めされた際に、
「欠航流人」の宴を催して島のご馳走を自腹で振舞うなど、
一勝さんの豪快さは島では知らない人がいないほどの有名人。
人にご馳走するのが趣味と仰います。はい、わたしも何度もご馳走になってます。
一勝さんは気前がいいだけじゃない、お話しすると表裏のまったくない、
飾り気のない率直で温かい人柄に魅了されます。そんな一勝さんの魅力を
インタビューで少しでもお伝えすることができるといいのですが。


大澤一勝さん 昭和6(1931)年6月22日生まれ(78歳)

●一勝さんは78歳になられたんですね!
 おやじに、お前は一番長い日(夏至)に生まれたから呑気だといわれたよ。
80はもう年寄りだと思う人が多いだろうけど、ぜんぜんだね。
自分が70を過ぎてみて、80なんかぜんぜん年寄りじゃないよ。

●一勝さんは現役はいつ引退されたんですか?
いまは「大勝組」は息子さんがやってらっしゃるでしょう?

 3~4年前かな?70歳で譲ろうと思ってたんだよ、ほんとはね。
だけど70のときには借金がうんとあったから、借金が終わるまでは俺がやった。
そのとき運良く飛行場が買収になって借金を全部返して、ツイてるんだよね、俺は。
いままですべてそうなんだから。困るとどこからか来るんだよ、仕事が。
不思議なんだよね。

●それが実力なんじゃないんですか?
 いや~それもあるだろうけど、度胸も必要だよね、人間はね。
俺は若いときには借金がいっぱいあってさ、それでも人のものをぽんぽん買ったんだ。
何人から借りたろうな?何十人だね。みんなが貸してくれたんだよね。

●貸してもらえるのが信用だし実力でしょう?
一勝さんの土木の会社は、ご自分で起業されたんですか?

 そうだよ。親父は漁師だったけど、俺を自由にさせたから漁師やれともいわない。
でも俺は8人兄弟で男が1人だったから、本当は船をやってもらいたかったろうね。
だけど絶対やれとは言わなかった。自由にさせた。

●やろうとも思わなかったんですか?
 いや、でも10年近くは船に乗ったんだよ。
そのときは終戦直後で島の園芸がすごく盛んだったから、えらく稼ぎになったんだよね。
だから我々の年代は園芸家が多い。儲かったから。それで自分も園芸をやっていた。

●最初は園芸をされてたんですね!?
それで、園芸と関連して造園や伐採なども手がけるようになったんですね?

 そうだよ。その頃は、切り葉なんかもやってたんだよ。
俺は本当に人生に恵まれてると思うな。
なんだか知らないけど、とにかく儲かったな~

●いつ頃が一番儲かりました?
 ロべは上がり下がりがあるんだよ。上がると下がる、必ずまた上がる、下がる。
そうなってきたんだよ、何回か。それが一番タダみたいに売れないときに、
知り合いのロベがいっぱいあって、ずいぶんバカにされて叩かれてるのを聞いたから、
俺が行って思い切ってみんな買っちゃったんだよ。あのとき100万で買ったんだよな。
100万にしたいとその人が言ったから。それが翌年からバカ当たり。

●それは上がるのを見越して買ったんでしょう?
 ちがうちがう。ちがうよ~俺は昔から人をいじめるのを見るのが嫌いで、
いじめる人を見ると対抗しちゃうんだよ。昔からそういう性格。
大嫌いだ、いじめる人は。(叩いてる人を)このやろうと思ってさ、
買ったらたまたま当たったんだ。100万で買って2万本ぐらいあったんだね。
1本50円じゃない?とにかく俺はツイてるんだけど、
東京で20代に知り合った人が偶然向こうで市場を作ったんだよ。
それで訪ねて行ったら大歓迎で、そこにロベの鉢を送ることになった。

●1本50円がいくらになったんですか?
 安いのが5千円、高いのは1万2千円ぐらい。

●すごい~~~(笑)
元手は売値を考えたらタダみたいなもんですね。

 そうだよ。それから4~5年儲けたんだな。

●それも一勝さんに行動力があるからでしょうね。
 うん。でもロベを買うときには、儲けるつもりで行ったんじゃないんだよ。
だってぜんぜん売れなくて叩かれてたんだからさ。
だからとにかく不思議なんだよ。みんなは同じ園芸をやっても大変らしい。
どうやって?といわれる。俺はお陰様で今は借金もないし楽をしてる。
なんでなんだ?という。お前らはね悪いことするから駄目なんだよ、
神様、お天道様が見てるんだよ、悪いことをしないでいると天から
テレパシーが来るんだよ、というと、「え~~!」とみんないうけどさ。
ほんとだよ。


一勝さんの中之郷の宴会場にて

●いまはお仕事は息子さんに譲られて、
地域の活性活動をなさっている、ということでいいですか?

 いまはというか、俺はもう30年も前からこういうことをやってるんだよ。
人から借りた金で。(笑)
昔はね、アブキ(トコブシ)なんかがいっぱい獲れたから、
ここの前の広場にアブキ100キロ置いて無料接待したよ。

●観光客に?
 いや、島の人も観光客も。だれでも。

●それは昭和40年代くらいですか?
 30数年前ぐらいかな~トコブシが獲れなくなってやめたんだから。

●では一勝さんは若い頃からそうやって振る舞いを続けていらっしゃるんですね?
 20代からだよ。
昔ね、青年団の頃には天草やトコブシがいっぱいあって稼ぎになったから、
大人の費用が500円くらいの頃に天草は1日1貫とって2千円になった。
それからメットウ(八丈島特産の貝)はボタンにするのに殻が売れたんだよね。
当時はメットウは中身付きで1貫200円で売れた。あれはかさばるから目方になる。
メットウは無限にあったし、稼いだお金で青年団にりんごやみかんを食べさせたよ。

●メットウの殻はどこに売ってたんですか?
 ボタン工場が島に何軒かあったじゃ。

●えぇ!?島にボタン工場があったんですか!?知らないです。
 そうだよ。終戦間もなく。だから殻が高いんだよ、身はタダみたいなもので。

●昔はお土産用にメットウの缶詰もありましたよね?
 うん、缶詰にもしたけど、それはあまり殻が売れなくなってからじゃないかな?

●一勝さんは若い頃にはそうやって青年団にご馳走したり、
観光客が来れば観光客にご馳走して、ず~とそういうことをされてきて、
いろんな方から感謝されてるでしょうね。

 それはわかんないけどな。
とにかくね、人を見るとご馳走したくてしょうがないの。へへへ。
もう病気だねこれは。人を見たら奢(おご)りたくて夢中になるんだから。(笑)
あんまり大勢だと大変だけど、ここでできるのが10~15人だからそのくらいがいいね。
それより多いと裏のカラオケルームを使って、もっと多いときには
その裏にある広い部屋を使わないと入らないから。


一勝さんの中之郷の宴会場の裏にある専用カラオケルーム

●一番多いときには何人ぐらい?
 120~130人ぐらい。いつか、やったじゃ、欠航のときに。

●あの「欠航流人」のときには、中之郷の方々が協力してご馳走作るでしょう?
 そうそう。手伝ってね。めゆ工房とか。
あれはどういうきっかけで始めたっけかな?
とにかくいまは連絡がくるよ。ビューホテルとかそういうところから。
ただし、2日欠航になった場合だよ。1日でやったら大変だよ。

●そうですよね。2日以上欠航して、かなり気の毒な場合ですね?
 そうそう。それで飲み放題食べ放題の無料接待をするけど、
これはタダじゃないよというとみんなぎょっとする。
代金をとらない代わりに、八丈島を必ず宣伝してくださいと俺はいうんだ。
そして、家族や友達を連れてまた来てくださいという。
すると、みんなわかりましたといってくれる。
そして実際にけっこう来てるんだよね。

●南海タイムスに、ありがたいというお礼の手紙も載ってましたが、
欠航で足止めされて困っていた観光客の方々は感激されるでしょう?

 そう。びっくりして、涙を流して帰る人もいるよ。
無料接待なんて、日本中、世界中にもどこにもないと。

●そして一勝さんのところには島のものがいつもたくさんあるから、
みんなで協力して作った島料理が出てきたら、それも嬉しいでしょうね。

 そうだよ。みんな、はじめて食べたというよ。
だから、島のホテルも民宿ももっと島のものを使いなさいと俺はいうよ。
民宿はその土地のものを食べさせるのが当たり前なのに、
そうでない民宿もあるから俺は怒る。だから客が増えないんだと。
客が来ない来ないというが、お前らのせいで来ないじゃないかと。
もっとお客に愛情を持てば絶対にお客は増えるよ。
ここで飲ませた人たちは、みんな「必ずまた来ます」と帰る。
お客を喜ばせたいという気持ち、優しさがないとお客は増えないよ。
旅行へ行って、景色は忘れることがあっても、おいしい食事は忘れないんだから。
うちは特に高いものを使ってるわけじゃないんだよ。
まぁ、うちはたまたまトビウオ船を持ってるからだけど。

●それは大きいでしょう。トビがある、白子がある、運がよければ卵がある。
トビの開きはいつでもある。アイランドクリスマスでいただいたトビの開きの
プレゼントが島らしくてとてもよかったです。

 うまいでしょう?買うとけっこう高いからね。
俺は、民宿では「これはなんですか?」と聞かれるものを出せという。
民宿の朝食が鮭に納豆に卵なんてだめだよ。そんなものは日本中どこでもある。
他で食べられないものを出しなさいというんだけどね。手間を惜しんじゃだめ。
手をかければおいしく食べられるものが島にはいっぱいあるんだから。
鮭を出すよりトビウオの塩干し。お客においしいものを食べさせるんだという愛情。

●八丈島映画「今日という日が最後なら」の撮影隊スタッフもこちらで何度も
島料理をご馳走になって、後々までおいしかった、忘れらないといってます。
ヤギがおいしかったとか、強く印象に残っているようです。

 そうでしょう?ヤギはうまくて、みんなびっくりするよね。
臭いという印象があるんだろうけど、実際はうまいもの、ヤギは。

●そういうものをもっともっと島の宿泊施設で出せるようになるといいですね。
 そうそう。ヤギはけっこう高いけどね、鮫とか三の字とか、タダみたいに
もらえるものでもおいしいよ~!角鮫はおいしいよ、ヒレも皮もみんなおいしい。
ムロだってうまいじゃ。唐揚げも刺身もうまいし。


一勝さんの中之郷の宴会場にて

●一勝さんがいまの八丈島についてお考えになっていることがあれば
お聞かせいただけますか?

 そうだね、俺は「スポーツアイランド」ということをもう20年ぐらい前から
いってるんだけど、それしかないと思ってる。島に客を呼ぶには。

●あ~そんな前からそういうことを考えておられたんですね。
いま、島は少しずつそういう方向になりつつありますね。

 俺はずいぶん前から芝生のグランドを作ろうといってたんだけどね。

●南原スポーツ公園ができて、では念願がかなった感じですか?
 そう。だけど、遅すぎるんだよ~もっと昔に作らないと。
当時はなかったけど、いまはどこでもそんなものはあるんだからさ。

●これからの八丈島は、スポーツ人口を誘致するという方向がいい?
 そうだよ~スポーツアイランドで売り出そうと俺は昔からいってたんだよ。
それで昔の町長と喧嘩になったことがあるよ、何度か。(笑)
東京都内には何千という学校があるんだから、そこからを島によこしてくれればいい。
必ず遠征にはどこかへ行くんだから。それを八丈にしたらいい。
客が来なきゃだめなんだよ、島は。まぁ、それはどこでも同じだけど。
でも今は難しいんだよね~世界中、日本中、お客の引っ張りっこだからさ。
それはわかるけどね。でもここへ来る人は、こんな近くにこんないいところが
あるとは知らなかったという。来てみたらとてもいい島だというよ。
観光バスでぐるっと見て回っただけではだめだ。脇道へ入って島の人と話をしないと。
1泊の人が多いから、そういう時間がないんだよね。ゆっくり来てほしいね。

●いろいろ聞かせていただいてありがとうございました。
最後に、一勝さん主催の「ドバンケ餅つき大会」が30日にありますが、
あれはだれでも参加していいんですか?

 そうだよ。来てくださいとタイムスに書いてあるでしょう?
来る人が少ないとがっかりするよ。どんどん来て餅を腹いっぱい食べればいいよ。

__
◎「欠航流人」に関する映像を「八丈島観光レクリエーション研究会」が公開してます。

いまさっき、一勝さんから「うまい寒ブリが入ったから今日も宴会をする」
とのありがたいお誘いがありました。UPしたら行ってきま~す!
まだやってるかな?急いで行かなきゃ~

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村山涼子さん@八丈島を彩る人々(13)

2009年12月20日 12時47分40秒 | インタビュー
本日の日曜インタビューは、島のフラメンコサークル代表、
大賀郷在住の村山涼子さんです。
今年20周年を迎えた「文化フェスティバル」に美しい花を添えている
華やかなフラメンコの女性たち。とても熱心な練習をしている噂を聞きます。
次の文フェス(来年1月開催予定)も近くなってきましたからね。
フラメンコのサークル活動についていろいろお聞きしてみたいと思います。

「おじゃれ八丈島」 おじゃ8こと村山賢一くんの奥さんです。
ご本人も「りょんのあそびば」 という子育てブログを書かれてますよ。


村山涼子さん 昭和43(1968)年7月9日生まれ(41歳) 撮影:おじゃ8

●涼子ちゃんは資格試験の勉強をしに島へ来たと聞いたけど?
 わたしは東京で経理事務の仕事をしながら税理士の試験を毎年受けてて、
税理士って10何項目ある中で5こ取らなきゃいけないのだけど、
最後の1こがなかなか取れなくて、仕事をしながら勉強するのが大変だったし、
試験に受かったら転職しようと思っていたから、最後の1教科に賭けようかな~
と思って仕事を辞めてしまったのね。辞めたのが7月で試験が8月だったから、
そんなことをする人はあまりいないと思うけど、最後の1ヶ月を八丈島で
勉強してみようかな~と思って島へ来たの。
それで税理士の試験を8月に受けたんだけど発表が12月で、
それまでの間は合否がわからないから自分の身の置き所がわからないし、
自分がフリーになれることなんてそうそうないから、ロングバケーションで
発表までの間を八丈で過ごそうと思って、また8月に来たのが島に住むきっかけ。

●じゃぁ、それからしばらく島にいたのね?
 いたっていうか、帰ってないの、それから。(笑)

●え?その間に村山(おじゃ8)くんと知り合って?
 そう。ちょこちょこ用事では東京に帰っていたけど、その間はずっと島にいて、
もう12月には結婚することに決めたから。

●じゃぁ、インスピレーションで村山くんのことが気に入ったんだね?
 あはははは!お互いなんとも思ってなくて、どちらかというと苦手なかんじだった。
わたしは仕事をしているときにはもっとギスギスしていてきついかんじだったし、
けんちゃん(村山くん)は髪の毛もボサボサで、あんな人あり得ないという感じ
だったけど、わたしはそこが良かったのかな。
かっこいい人だと構えてしまうけど、タイプじゃないから自然に接することができたし、
気負わないで自分が自分らしくいられるというのはこういうことなんだなと感じたの。

●それはは何年前のこと?
 わたしが34歳のときだから、もうまる7年が過ぎた。


大賀郷公民館でフラメンコの練習中 撮影:おじゃ8

●涼子ちゃんはフラメンコをはじめる前にもなにかダンスをやっていたの?
 わたしは中学高校と学校にダンス部があったから、ジャンルでいえばジャズダンス
の部類だと思うけど、学校のことだから創作ダンスも含めて6年間やっていた。

●現在はフラメンコサークルのメンバーは何人?
 8人。昨年は12人だったけど、2人島から転出して、2人引退したから。

●以前にフラメンコを指導していた代表がご主人の転勤で島から転出して、
フラメンコサークルはなくなるかと思ったら、それを涼子ちゃんが引き継いで、
まだフラメンコをはじめて2年ぐらいなのに、その後も文フェスなど参加して
素晴らしいステージを続けていることに驚いてるけど?

 引き継ぐというか、わたしは最初は嫌だったの。
前の代表はフラメンコのアカデミーに行ってた人だったし、
知識も実績もわたしが習ったより奥が深いわけだから、
わたしにはそこまでのものはないし、それを追及しようとも思わないから、
続けていくといっても下地のない人が教えていくのは違うかな、無理と思ってた。
でもその頃には文フェスに毎年参加する流れになってたから、
みんなは「踊れるだけでいいよね」というけど、たぶんモチベーションが
もたないだろうとわたしは思ったの。
だけど、前の代表が2~3ヶ月に1度は来島できるという話で、
だったらそのときに新しい振り付けなり新しいものを教えてもらえば、
ビデオを見ながら次までの間に練習するということもできるから、
それでなんとか続けていくイメージができて引き受けたのだけど。

●その後、前の代表に子どもが産まれたりして、
なかなか島に来れない状況になってしまったけど、その後の指導的なことや
新しい曲選びや振り付けなどは涼子ちゃんがやってるの?

 そうだね。指導者がいなくなってから2~3年だから、
以前に習った曲にパリージョ(カスタネット)を入れたり、
アバニコ(扇子)を持って踊ったり持たなかったり、アレンジしながらどうにか。

●では、涼子ちゃんが指導のためにどこかで習うようなことはしてない?
 あ、それも昨年はやった。やっぱりそれでもネタが尽きたときに、
三根の「青山スポーツ整体」の娘さんが東京でフラメンコをやってるのを知って、
交流が持てて応援してもらえるようになったの。DVDをいただいたり
親切にしてもらって、とても上手な人だから、新しい振り付けをお願いして、
わたしが上京して1日だけだけど、みっちり振り付けを教えてもらったりしたの。
あとはそれをビデオに撮ったのを持って帰ってきて1ヶ月ぐらい家でやったかな。
そうやって振り付けを覚えて、それをみんなに教えて、文フェスで踊った。


文化フェスティバルにて 撮影:おじゃ8

●それはなんという曲?
 ファンタンゴス。
フラメンコの曲は、ジャンルで分かれてるの。
セビジャンナス、タンゴス、ファンタンゴス、ルンバスとかジャンルがいろいろある。
それぞれのジャンルの中に曲がいっぱいあって、振り付けは人によって違う。

●今度の文フェスはどんな曲を踊るの?
 フラメンコには明るい曲も暗い曲もあるけど、
島の人達は暗い曲は好きじゃないと思うし、しかも文フェスは冬だから、
楽しく踊ってる感じが観てる方も楽しいかと思って、楽しい曲を選んでる。
3曲中の1曲はガロティンというこれまでやったことのない新しいジャンルだけど、
今回は教本のDVDを手に入れて、わたしがそれを見ながら覚えたの。
す~ごい大変だった、わたしはプロじゃないからさ。(笑)

●サークルの練習はどのくらいしてるの?
 毎週月・水・土の週3回、10:00~11:30。

●自主練入れたら週5くらい練習してる人もいるんでしょう?
 11月ぐらいから、自主練してる人は+2日ぐらいやってるかな。

●主婦の習い事にしてはかなり熱心に時間をかけてやってるし、
素人目にだけど、かなりレベルの高い発表をしてるように思えるけど、
フラメンコは習いだしたらそんなに面白いもの?

 結局続いてる人は、楽しいから続いてるのかな~と思う。
来て、続かなかった人もいるから、それぞれのハマり方をしてるのかなと。

●涼子ちゃんは、部活のダンスとは違うフラメンコ独特の魅力は、
どのように感じてるの?

 わたし自身は身体を動かせればなんでもいいわけではなくて、
エアロビクスのように身体を動かして楽しいというのは、わたしは興味がないの。
中学の頃から舞台に立ってるから、完成したものを創り上げて見てもらうという
のが好きなんだよね。足をカツカツしたらリズムがかっこいいとか、
スカートをこう動かしたら広がり方がかっこいいとか、そういうのが好き。
完成度が求められるものの方がやっていて面白いから、文フェスという発表の場が
あるのがありがたい。わたしは習い事も試験があったりとか、自分のレベルを
上げるためにやるのが好きで、料理でもただ習うだけでは飽きてしまうから、
自分がステップアップするために真剣にやる感じが好きで楽しい。
舞台があると、そこに向けてレベルを上げていかなきゃいけないから、
そうのんびりもしていられなくて、ペース配分をしてそこを目指すのが楽しい。

●お料理では「ワイルル」のスタッフとして八丈DAY!に協賛してもらったけど、
手作りの子供服を「空間舎」に置いていたり、そうやって作ったものを
発表するのが好きなのかな?

 あ~うん、そうかもね。


文化フェスティバルにて 撮影:おじゃ8

●いつも素敵な舞台衣装はどうしてるの?
 以前の代表の先生が舞台衣装のレンタルもしてるから、
毎年そこで髪飾りやなんかもセットで格安でレンタルさせていただいてる。
フラメンコの衣装のレンタルはとても高いのだけど、本当に安くしていただいて。
とてもいい衣装で材質がぜんぜん違う。だからスカートの裾の広がりや光沢が
観てる人にもきれいに見えてると思う。たぶんすごいいい物だと思う。

●涼子ちゃんの旦那さんは一応転勤族だけど、
もし転勤になった場合には、サークルはどうなるの?

 う~ん、集まれる人だけで集まって、もったいないから今まで習ったのを踊って
続けるかな。涼子ちゃんがいなくなったら終わりだねという人もいるけど、
もったいないから続けるという人もいるし、それは相談すると思う。
やってみてもし続かなくても、わたしはやってみることがかっこいいと思うけど。

●涼子ちゃんがいる間はずっと続けるの?
 わたしは来年はどうするかわからない。ちょっとわからないといってるの。

●え!?そうなの?なんで?
 また来年の4月でひとりメンバーが(転勤で)いなくなって、
7月にもたぶんひとりいなくなるから、人数がすごく減っちゃうの。
若手が引っ張ってきたのが、若い人たちがいなくなると文フェスもしんどいし、
練習を都合で休む人もいるから、練習へ行っても人数が少ないときついと思う。
以前の代表ががんばってくれたから、わたしも恩返しのつもりでがんばってきたけど、
もうそろそろいいかなとも思ってるの。

●じゃぁ、今度の文フェスがフラメンコの見納めになるかもしれないのね? 
 そうだね、その可能性は高いと思う。

●あ~そう、それは非常に残念だけど仕方がないね。
たしかに週3の習い事というのは大変でしょうしね。
わたしだったら週1でも難しいわ。(笑)

 今年は方向を少し変えて、前半は週2に減らしてたんだけどね。
2曲でもいいから楽しみながらできる中で文フェス目指してやっていこうかと
いってたんだけど、どうにか形が見えてきて3曲できそうだとなったら、
週2日では練習が足りないし、やっぱり出るからには!(笑)
それで週3にまた増やしたんだよね。


文化フェスティバルにて 撮影:おじゃ8

●涼子ちゃんが、フラメンコをやめて時間がもっとできたら
他にやりたいことがあるとか、そういうことではないの?

 なにがというのはないけど、ちょっと考えたいかな。
ずっとフラメンコが中心だったから。レッスン以外でも、わたしが覚えて
教えるとなったら毎日家で振り付けを覚えたりとか、文フェスが近くなれば
司会者に紹介してもらう内容を考えたり、フォーメーションとか、いろいろ。
時間は週3でも精神的にもっともっと縛られるから、一度何もなくなって考えたい。
ちょうど子どもも小学生で、2人目の子も保育園に行くから、わたしの時間も増えるし、
自分の時間が増えたところでわたしは何を思うのだろう?という期待かな。
その時思ったことをやれればいい。働きたいと思うかもしれないし。
そしたら働くかもしれないけど、それも何もない状態で決めたい。

●それでは最後になるかもしれない文フェスのフラメンコを
こう見たらより楽しめるというのを教えてもらえますか?

 衣装が本当に素晴らしいのも見てほしいし、わたしたちが踊るのは群舞だから、
動きが揃って見えるのがかっこよくて、その辺を重視して練習してるので
そこを楽しんでもらえたらうれしい。動きを合わせるのがとても難しくて、
自由に踊っているようでいてすごく細かく決めてる部分とかもいっぱいあるんだけど、
わたし達はサークルでみんなで仲良くやってるから、合せようと和気あいあいと
やってる雰囲気を楽しんで観てもらいたいです。 


自宅の庭にて 撮影:おじゃ8

●いまの島暮らしはどう?島に暮らすのは楽しい?
 楽しいのは楽しい。わたしは東京生まれだから田舎もないし、東京以外の
暮らしを知らないけど、とにかく東京が嫌で嫌でしょうがなかったんだよね。

●東京のどこが嫌だったの?
 なんかギスギスしてない?東京の人ってコワくない?わたしもコワかったと思うけど、
電車の中とか、すごいイライラしてるよね。ぶつかったらじろじろ見られるし。
都会に出かけることや買い物に行くこともわたしは好きじゃなかったし。
だから短期で島に来たときに、これだよ!と思ったの。人間これでいいじゃん!と。
わたしは古臭いところがあって、携帯が流行りはじめたときにも(必要?)と
思ったし、あと、仕事で疲れてマッサージに行ってお金を払うって、なんかさ、
おかしくない?まぁ、会社に行って働かなきゃいけないから例がおかしいけど。

●いや、意味はよくわかる。
 会社に行って稼いだお金をエステに行って使うなら、エステと仕事がただ
ぐるぐる回ってるような気がするし、だったらもっと楽な仕事をして、
収入は少なくてもエステの分とチャラにしたらいいじゃん。みたいなところ。

●働いてエステに行かないと経済効果が上がらないんだけどね。(笑)
いや、でもわかるよ。わたしもそう思うし。

 それを気づいてない人が多いんじゃないかな~と思っててね。
わたしはそこが違うかな~と思ってたから。
わたしは職場が嫌で嫌で、でも次のステップがどうしたらいいかわからなくて、
そこで精神的にすごく疲れて、仕事に生甲斐があるわけでもないのに、
そんなことをするために生きてるみたいな気になってることに、
何かが違う、何かが違うと思ってたのね。悪循環というか。

●では島に来て、そうでない暮らしが良かった?
 うん、まぁ、働いてもないからね。(笑)
島でも働けばそれなりの人間関係もあると思うしストレスもたまると思うけど、
ちょうど自分が仕事を辞めたときに島に来て、何もない状態のときに、
ここは自分がいい状態でいられるところと思ったし、東京はやっぱりいい状態で
いられないところと思ったから、その中のどこで暮らしていくかということだなと。

●狙わずしてこのインタビュー、見事に3人連続で東京の暮らしに疲れた
という人が続いてしまったけど、やはり島に来て住もうと思う人の中には、
東京での暮らしに疲れたという人が多いのかもしれないね。

 うん、うん。だから東京には、たまに行けばよいと思ってる。

島の中で、転勤族の人達もそうだけど、島外から来た若いママ達は、
海に行ったりキャンプをしたり、いろんなイベントに積極的に参加して、
友達を作って飲み会もして、フルに島暮らしを楽しんでいるように見えるけど、
涼子ちゃんもそういうタイプに見える。そこら辺が島で生まれ育った人達と
ちょっと違う感じがするのね。まぁ貪欲に楽しんでるなぁ!と思うわけよ。
そこまで楽しんだら、島に暮らした元がとれるでしょうと。(笑)

 あはは!転勤族の人達は2年とか3年とかいる年数が決まってるから、
わたしから見ても、よくやるなと思う人はいるよね。
わたしはいつまでいるかわからないけど、3年と決まってると夏も3回しかないからね。

__
税理士試験の勉強に八丈島に来た涼子ちゃんは、見事試験に合格したことも
書き加えておきます。次のステージを目指して取得した資格はいつか使う日が
くるのかな?どこにいてもなにをしていても、たぶん更なるステップを目指して
がんばる人なのでしょう。島暮らしも更にステップアップさせて楽しんでね!
コメント (4)
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前崎隆さん@八丈島を彩る人々(12)

2009年12月06日 15時01分20秒 | インタビュー
本日の日曜インタビューは、「八丈ビューホテル」 直営の
「本格焼酎バー・スマイル」 店長の前崎隆さん(三根在住)です。

わたしはこちらのバーは一度利用したことがあるだけですが、
島の焼酎や青ヶ島の青酎を飲み比べできる焼酎バーが島内にあるのは、
観光のお客様向けに、とってもいいな~と思ってました。
今日は、注目の焼酎バーのマスターにインタビューです!


前崎隆(まえさきたかし)さん 昭和45(1970)年9月20日生まれ 39歳

●前崎さんは「スマイル」に勤務されて何年ですか?
 3年です。

●わたしは以前からこちらの焼酎バーに注目してたんですが、
島の焼酎をメインに、他にはどんな焼酎を置いてるんですか?

 島のすべての焼酎と伊豆七島の焼酎を置いてあります。
伊豆七島の焼酎はほとんど揃えていて、たぶんそんなお店は他にはないと思いますよ。
八丈島の焼酎は、すでに造られてない幻の焼酎も2~3あります。

●いま、お客様には何が一番出てますか?
 「黄八丈」です。こちらの蔵元さんがもう廃業してしまうので、
「次来たときにはもう飲めないかもしれませんよ」と、やはりおすすめしますので。
来年の今頃は、もう飲めないかもしれないです。

●こちらはボトルキープはなくて、ショットだけですか?
 ボトルはなくて、2合、1合ですね。2合は、小さな樽でお出しします。

●いま、忘年会シーズンで、あさぬまの掲示コーナーにもこちらのチラシが
貼られてありましたが、こちらはだいたいどの位の予算で飲めるんですか?

 どの位飲むかによりますが、チャージが500円で、グラスが平均600円です。
2合入りがだいたい1800円位で、充分5~6杯はとれるのでお得です。
3000円もあれば余裕で酔えると思いますよ。(笑)

●こちらのお店は、どんなお客さんが多いんですか?
 完全に観光客です。9割5分が観光のお客様です。

●では、ビューのお客様が下りてきて飲まれるということ?
 圧倒的にそうです。島の方は限られた方ですね。
島の方とあまり会いたくない方がお見えになりますね。

●…お忍びだね?(笑)
 そうですね。(笑)面倒くさくないというメリットだと思います。
島の方は、完全に固定客のお客様です。

●営業時間は?
 7時~ラストオーダーが11時半で、12時閉店です。

●いまは、お客さんの入りはどうですか?
 先月は団体のお客様が入ってましたけど、今月に入ってからは少し厳しいですね。

●そうか、島内の一般のお店は12月が忙しくなるけど、
ホテル内のお店は、そういうお店とは違うんですね?
 
 そうなんですよ。だから、ゆっくり飲めると思います。
年末年始のお客様はご家族連れなので、ほとんど下りてきませんし。

●あ~お客様の層がね、年末年始は違うんですね?
では、ここは、年末年始は穴場ですね。

 そうですね。ゆっくり飲まれたい方はいいと思いますよ。

●おつまみのおすすめは何ですか?
 「クサヤ三島味くらべ」は、大島・新島・八丈島のクサヤを少しずつお出しします。

●あ!それはいいですね!面白いです!



八丈島と伊豆七島の焼酎専門バー スマイル店内 八丈ビューホテルB1

●前崎さんの出身はどちら?島に来る前はどちらにいらしたんですか?
 出身は奄美大島です。
高校を卒業して、全国チェーンの某スーパーに就職しました。
最初に着任したのは栃木です。その後、埼玉、東京、本社勤務を経て、
最後は東京のお店の店長をしてました。

●八丈島へ移住されたのはいつ頃ですか?
 ちょうど4年前ですね。

●そのきっかけは?「スマイル」?
 いや、5年前に嫁と八丈に旅行に来て、そのときはまだ勤めてたんですけど、
お土産で明日葉のお茶を買っていったんですよ。
それで、身体にいいということで、しばらく続けてたんですけど、
なくなったときに、どうも購入方法がなかった。
ネットで検索しても1こか2こヒットするかしないかで、
当時は東京のお店で店長をやってたので近辺を探してみたけどなかった。
わたしはスーパー業界に長かったので、本社もバイヤーもスーパーバイザーも
すべて経験して、32歳で店舗の店長もやったんですけど、
経営もそこで3年ぐらい学ばせてもらったので、
自分達でそろそろなにかやりたいと思ってた。
それで、ネットで買えなかった明日葉のお茶をネットで流せば、
これはそこそこ食べていけるようになるんじゃないかと考えて八丈に来たんです。

●それは、そこまで明日葉のお茶を気に入ったということですか?
 いや、気に入ったというより、ずっと流通業界にいたので、
これほど付加価値のある商品をなぜインフォメーションしないのだろう?と。
だれもやらないのだったら、一番先にやってやろうと、そういう思いですね。

●もともとパソコンやネットには詳しかったんですか?
 得意じゃないです。はじめてです。
パソコンは仕事で使ってたので、そのぐらいは大丈夫ですけど、
ネットショップを立ち上げるのは、島に来てから勉強しました。

●では、ネットショップのお仕事を最初はされていたんですね?
 そうです。だけど、ネットだけだとどうしても人との繋がりが持てないし、
ちょうどたまたまここ(スマイル)の募集があって、時間的にも
夜の時間帯は空いていたので、それでここにお世話になってるんです。

●ネットショップの売れ行きはいかがですか?
 これを立ち上げて、もう4年目に入るんですけど、
1年目2年目はそこそこだったのが、今年は倍以上いってるんですね。
だから、順調といえば順調です。

●このところわたしの周囲でもパソコンを使う人、ネットを見る人、
ネットで買い物する人が急増してますからね。

 島の人達は、商売の仕方が上手じゃないですね。
付加価値の付け方やセット組みして売る方法とか、キャンペーンを張ったり、
特にネットだと、メルマガを発信したりという、ちょっとしたことで売り上げは
伸びるんですが、島の方達はHPを開いて、後は来るだろうという待ちのスタンスだから。

●う~ん、簡単に来るだろうとは思ってないと思いますよ。
ある程度は、こうしたらいんじゃないかと思うでしょうけど、
そこから先のノウハウがないとか、そういうことじゃないかしら?

 勉強すれば、すぐなんですけどね。
島の方のネットショップの一番悪い点は、代金の支払い方法です。
だいたいカードはなくて、代引きか、先に入金か。これじゃだめなんです。
カード、コンビニ、後払い、このくらいお客様の選択肢を広げないと、
途中まで買っても、支払い方法で、「なんだよ」てなっちゃいます。
島のどこのショップを見てもだいたいそんなかんじです。カードが使えないです。
うちのネットショップは、半分以上はカードか後払いです。

●前崎さんのネットショップでは、何が一番売れてますか?
 明日葉のお茶ですね、いまは。

●どんなラインナップですか?
 山田さんの明日葉の商品、長田さんのクサヤ、花月さんの商品などです。
それから、新しくできたレツさんの塩と、農家の千葉さんの生の明日葉や唐辛子など。
明日葉のお茶は、乾燥野菜と焙煎と粉末と3つをセットにして送料込みで販売したり。

 SPmarket  クリック 前崎さんのネットショップ


八丈ビューホテルB1 焼酎バー・スマイルにて

●お仕事が理由で八丈島へ移住されて、島暮らしの4年目はいかがですか?
 もともとが奄美なので、サラリーマンをやめたら、どこかゆっくりできる
田舎がいいなというのがあったので、仕事はそのきっかけですね。
八丈島は奄美大島の町の方でなく、田舎の方に似てるなと。

●八丈島はどうですか?暮らしやすい?
 島はいいですよ。
漁師の方ともここで知り合いになって、わたしは魚釣りをするので、
友達になって魚をもらったりして、自分でさばいて食べてます。
温泉があって、温泉も好きですし、海もあるし、いうことないですね。
もともと田舎者だから、田舎時間が合うのかもしれませんね。
理想というか、こんなかんじかなと思ってますが。
35~6で島に来たんですけど、ほぼセミリタイアという感覚で来てるので。

●それまで一生懸命やりすぎた?
 もう疲れちゃったんですよ。(笑)

●あ~、うん。スーパーバイザーとか疲れそうだね。
 始発終電の世界なんですよ。スーパーバイザーの仕事は、スーパーの店舗が全国に
何十店舗かあって、自分ちから出ると1週間ずっとホテル暮らしでそこを回って、
週に一度帰ってきて会議で、それで自宅に帰って次の日また出るというような、
ずっとそんな生活だったので。…もう、セミリタイアですね。

●今後は老後を考えながら、自分に合った暮らしをしたいな、というかんじ?
 そうです。そんなかんじですね~のんびりしたいなと。
その割には、最近も仕事に追われてるんですけどね。(笑)


八丈ビューホテルB1 焼酎バー・スマイルにて
 
●観光客の方々が島を回られた後にこちらでお酒をいただいたら、
いろんな話がでるんでしょうね?

 それはでますよ。

●良かったという感想と、悪かったという感想は、どちらが多いんですか?
 半々ですね。

●半々!?あまり載せたくない話だな、それは。(載せるけど)
 年配の方々はいいと仰るんですよ。観光バスで回れば連れてってもらえるから。
だけど、若い方々はレンタカーで回るから、看板がわかりづらくて見えないし、
どこへ行っていいかわからないと。大きな看板を作ってほしいとみなさん仰います。
あと一番問題なのは、ランチをやってるところが少なくて、食べに行く場所がないと。
だから、初日に飲みに来られた方には、明日、ランチを確認してから出られた方が
いいですよ、とお話します。もし回っていっぱいだったら、スーパーでお弁当を
買った方がいいですよ、とか、夏場は、島寿司をスーパーで買って、クーラーに
入れて海へ持って行った方がいいですよ、とか、お話ししてますね。
それと、島は日曜がお休みのところが平気でありますからね、スタンドとか。
「ここは本当に観光地なのか?」と仰る方が半分、あとは、「なにもないからいい」
と仰る方が半分です。

●なにもないからいいというのは、誉められてるんだかなんだか微妙だね。
 それは完全に年配の方々です。住みたいと仰る方々ですね。
なにもなくてのんびりできて、温泉はあるし、と仰います。

●こちらは、リピーターの方は結構いらっしゃるんですか?
 いらっしゃいますよ。毎月必ずいらっしゃるお医者様とか。

●釣りのお客様? 
 その方は、スキューバと釣り、両方です。

●なるほど、やはり目的のある方はリピートされますよね。
このバーは、店長さんとしては気に入っておられますか?

 とても気に入ってますよ。もともとお酒を飲むのが好きなので、
ここにある70種類位の焼酎はほぼ試飲したし、焼酎はそれなりに詳しくなりました。
みなさんにおすすめするのも楽しいですし、おいしいと飲んでいただけるのも嬉しい。
仕事はとても楽しいです。

●わたしは島外からの観光客の方々とお会いする機会が多いのですが、
お土産にする焼酎のおすすめをよく聞かれるんです。
お酒の好きな方にはこちらでいろいろ飲み比べていただいて、
自分の気に入った焼酎を買われるのが、本当は一番いいなと思いますね。
あと、このお店では、ラベルがみんな同じで実はいろんな蔵元が作っている
青酎を蔵元ごとに飲み比べできるでしょう?これ、他ではできないでしょう!?

 青ヶ島に行って、1軒1軒回るしかないでしょうね。(笑)

●いろいろ聞かせていただいてありがとうございました!
最後に、前崎さんが好きな焼酎をおしえてください。

 わたしの好きな焼酎は、「黄八丈」と「鬼ごろし」です。
夏は「鬼ごろし」のロックか水割り、冬は「黄八丈」のお湯割りが最高ですね。

__
焼酎のお話の他に、観光やネット販売のことなど、いろんなお話が出ました。
耳の痛くなる話もありましたが、こうして情報を共有し合って、
みんなでより良い方向へ進んでいきたい気持ちが大切じゃないかと思います。
いろいろ勉強になることを教えていただきました。ありがとうございました。
わたしも精進してさらにがんばります!(`・ω・´)ノ

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漫画家たかまつやよいさん@八丈島を彩る人々(11)

2009年11月22日 14時20分14秒 | インタビュー
本日の日曜インタビューは、「流されて八丈島」でお馴染みの
4コマ漫画家、やよい@たかまつやよい先生です。
※漫画家「たかまつやよい」は、たかまつ先生(男性/東京在住)と、
やよい先生(女性/八丈島三根在住)の共同ペンネームで、
2人は仕事上のパートナーとして同じ漫画を分担して描かれています。
今回のインタビューは、静岡県出身、八丈島在住のやよい先生にお願いしました。
なぜ八丈島へ引っ越してきたのか?そして、漫画家から見た八丈島は?
いつか島に暮らしたいと思っている方々必読!島暮らしって楽しいよ♪


漫画家 やよい@たかまつやよい先生 
1978(昭和53)年4月14日生まれ(31歳)

●やよちゃんの借家の更新はもう済んだの?
 うん、家賃の更新はしたよ。

●じゃぁ、八丈島へ引っ越してきて、もう2年以上経ったんだね?
 たしか4月25日だったと思う。契約日というか、家賃の起算日が。

●そうか、では、2年半以上過ぎたんだ。
 そう、もう過ぎた。2年半は過ぎてる。

●やよちゃんは、引っ越してきたときには、島にどのくらいいようと思ったの?
 なにも見通しなかった。もしかしたらずっと島にいるかもしれないし…
でも、わたし、あんまり東京へ帰ること考えてなかった気がする。
期限付けて考えてたわけじゃなくて、たぶん当分いるだろうな、っていうね。

●予感があった?
 予感はあった。ここへ来て、帰るってこと考えたことがないの。

●では、いま住んでて、向うに戻りたいな~とかは?
 ないないないない!ぜんぜんない。まるでない。
そりゃ、たまには東京に遊びに行きたいな~とかはあるけど、
住むつもりで来たから、わたしは観光のつもりでいたことがないから。

●しばらく住んでみて、やはり島の暮らしは合わないと帰って行く人もいるよ?
 まぁ、いるけど、わたしはあまり変わってないよ。ついこの前、編集さんと電話で、
「1年ぐらいで帰ってくるかと思った」といわれたけどね。(笑)

●はじめてやよちゃんが島に来て、すぐに部屋を借りちゃったときに、
たしかその日の夜に一緒に「梁山泊」で飲んだけど、実際わたしも
気分転換というかネタ探しに島に来たのであって、しばらくしたら
また東京へ帰って行くのだろうと思っていたよ。

 あはははは!みんなそう思ったぽいよ。

●まぁ、長くて2年かなと思ってたから、更新したと聞いて、
おや?それなら本気でいる気なのかな、と。
だって、みんな家賃の更新のときに、どうするか考えるでしょう?

 あ!そうか、そういうことか。いわれてみればそうだね。(笑)
わたしは何の気なしに「はいはい、払い込みます~」て更新しちゃった。
なにも考えてなかったよ。てゆうか、ちょっと住んでみて、
あ、ここいいなと思ってたもん。だから、そういう意味では変わってないよ。


やよい@たかまつやよい先生 島のカフェ「てぬきやマイルス」にて

●島の暮らしはどう?暮らしやすい?
 暮らしやすい。ものすごく暮らしやすい。楽!気楽。

●どんなところが気楽?
 なんだろう…あまり気を張ってなくていいというか、だらっとしてていいというか、
ぐだぐだっていったらそれまでなんだけど…あははは!
ぶらぶらっていうことが、本当の意味でのぶらぶらができるから、楽だよね~
まぁ、合ってるっていったら、それまでかもしれないね。

●いつも動いてるものが目に入る東京と比べて、自然に癒されるということがある?
 ある。それは絶対にある。やっぱり空気。空気がぜんぜん違う。
空気がしっとりしてるし、向こうにいた時と比べて目の疲れとかにぜんぜんこない。
肩こりも仕事が仕事だからぜんぜんてわけじゃないけど、全体に減った。
身体にかかる負担が、全体に…どこってわけじゃないけど少ない。
だから、楽に漫画が描けるね。

●島のどこが一番気に入ってる?
 わたしは「海!海!」いう人じゃないから、まぁ、海もいいけど、
やっぱり空気と、それと、東京にいるよりも明らかに人としゃべってる!
東京にいたときって、ぜんぜん人としゃべってないよね。
コンビニの店員さんとかね、あんなの会話と違うじゃない?
だけどこっちだと、ちょっと出て散歩して、知ってる人と会って、
ちょろっと口きいたりとか、それが一番だと思う。
自然とかの全体の環境もあるけど、わたしはそこだと思うな、たぶん。
仕事が仕事だから籠っちゃって口きかないときも実際はあるんだけど、(笑)
でも、それが終わってちょろっと外へ出て、どこかでしゃべったりとか、
その気になればいつでもだれとでもできる。向うにいたときにはそれがなかった。
それは友達とか知り合いとか東京の中にもいたけど、なんかそれと違う。
気軽にしゃべれないというのかな…

●いや、それはそうでしょう。
わたしも東京にいたときには、友達はいたけど、みんな離れてるから、
「じゃ、渋谷で何月何日何時ね」みたいな会い方しかできないわけだから。

 そうそうそうそう!こっちはそういうのじゃないじゃない。

おーい!ていってすぐ行けるでしょ。(笑)
 そうそう!行きあって口きいたりとかね。車から声かけられたりとかね。(笑)
いつでもその気になれば、そこらへ出ていけばだれかいるっていう、
その安心感じゃないかな、たぶん。


やよい先生の愛犬であり目印となる波平さん(2007年撮影)

●やよちゃんは「八丈書房」によく行くから、書房の人達にもずいぶん親切に
してもらってるでしょ?

 むちゃくちゃ親切にしてもらってる。それは、わたしがというより波平(愛犬)が
親切にしてもらってるんだよ。たまに波平を置いて帰ってきたりするよ。(笑)

●たまに書房の店員さんが、大潟浦園地に散歩に連れてきてるよ。(笑)
 あーそれは、そういうときだと思う。(笑)
でも一番好きなのは、あそこのおばさんが大好きなの。狂うほど大好き。
行くともう帰りたくないからね。だから、波平にとってもよかったよね、
東京じゃそういのないもん。他にもいくつか波平立ち寄り所があって、(笑)
赤松交通も大好きだし、パパズインのママも大好きだし。

●それは、やよちゃんが島の漫画を描いてくれてるというのがあるでしょうね。
それでみんなが親切にしてくれるというのはあると思うよ。

 うん、それもあると思う、もちろんね。だから、その辺はありがたい。
単行本を出してから、ぜんぜん知らない人に声かけられて、
オクラもらって帰ってきたこともあるよ。(笑)
わたしの顔はわからなくても波平ですぐにわかって、
「あの先生でしょう?オクラ持って行きなさい」といってくれて。

●そういうのが楽しい?
 うん、そういうのがあるとすごく楽しいよね~

●では、島ではそんな風にのんびりと、楽しく、寂しくなく暮らせてるのね?
 うん、ぜんぜん寂しくない。「お前、寂しくないだろう」と相方にいわれるもん。
ぜんぜん寂しくないです。(笑)親戚とか友達とか、いなくて来たけどね。

●やよちゃんはテレビ東京の「10万円で暮らせる島」で八丈島を見て、
インスピレーションで引っ越してきたということだけど、
もともと東京は嫌だな~とか思ってたの?

 嫌だというのじゃなく、東京で住んでくのはキツイと思ってた。
なんかよくわかんないけど、いつも疲れてた。
雨が降ると蒸し蒸しジメジメして、すぐに体調が悪くなった。
東京に10年住んでたけど、後半はだんだん体調が悪くなって、常に体調が悪い。
病院で診てもらっても何も出てこないし、何が悪いのかわからなかった。
で、こっちに来たらそういうのがなくなったということは、
やっぱり環境だったんじゃない?そういう健康的な問題もあったし、
金銭的にも、ペット可のマンションは東京は高いし、(笑)
でも千葉とか埼玉へ行ってもたいして変わらないと思ってたから、
「じゃぁ、いっそのこと島とかいいんじゃないか?」と相方にいわれて…
それまで島には興味がなくて島の観光も行ったことなかったから、
自分の選択肢の中になかったんだけど、あ~島か~みたいなかんじで。

●そのタイミングで八丈島1ヶ月10万円生活のテレビを見て、
こんな安く暮らせるなら、いいんじゃないか?と。(笑)

 そうそう。(笑)それで生活も不便がなく、いろいろ調べたら、
ヤマトも通ってるし、飛行機も日に何便かあるし、携帯も使えるし、
インターネットは光が通ってるということだから、
じゃ、仕事も何とかなるんじゃない?と思って。
ヤマトの営業所があるのが大きかった。

●島に暮らしてみて、困ったことはある?
 一番不安なのはパソコン関係。すぐにパーツとか買いに行けないから。
だからパソコンは2台持ってる。なにかあったときのために。
必要なものは必ず2つずつとか、予備を持っておかないと恐い恐い。
雷が鳴ったら、すぐにパソコンの電源を切る。なにかあったら困るから。
一番困るのは、停電とか、とにかくパソコンに連なること。
2年前の台風のときは、とにかく困った。
24時間停電が続いて、その間なにも送れない、やり取りができない。
すんごい焦った。携帯も充電が切れちゃうし。
いまは充電用に電池は大量に買い込んであるし、ローソクも用意してるけど、
そのときにはそこら辺が分かってなかったから。
ある程度仕事も早め早めにしておかないと、なにかあったときに困る。
それが気を付けるとこかな。

●東京にいる相方のたかまつさんとは、どんな流れで仕事してるの? 
 大元の企画段階は相方が考えて、それを具体的に4コマにするのはわたし。
そこで編集さんに見せて、わたしが下描きまでして、ペン入れ仕上げは相方。
その間のやり取りはすべてパソコン。
だからパソコンが止まっちゃうとどうしようもない。
でも、それ以外はたいして困ったことはないし、むしろこっちの方が仕事はしやすい。

●島の方が仕事がしやすい?
 しやすい、しやすい。だって、何より身体が楽だもの。
島は湿気が湿気がというけど、こっちの湿気はそんな嫌な湿気じゃないもの。
アスファルトやコンクリートに溜る嫌な湿気ではないし、
ちょっと外に出れば気持ちがいいしさ~風が吹いてるしね。
だから、漫画家とか、みんなこっちに来てやればいいのにと思うよ。(笑)

●八丈島は漫画家におすすめ?
 ものすごいおすすめだよ!だって、ネットができるんだから。
今はアシスタントにもネットで頼む人とかいるんだよ。データ送ればできるから。
だから、みんななんで島に来てやらないんだろう?と思うよ。
相方もいずれは島に来たいな~といってる。そういう希望はあるみたい。
相方にはものすごい羨ましがられてて、申し訳ないとは思ってる。(笑)

●ではその辺は、アピールしておこう!漫画家の方々、どうぞ八丈島へ!
八丈漫画村を作ったらいいね。

 いや、漫画家だけでなく、クリエイティブ系のネットさえあればどうにかなる人は、
みんなこっちに来ちゃえばいいのに、と思うよ。


流されて八丈島―漫画家、島にゆく たかまつやよい先生の4コマ漫画

●やよちゃんの今後の抱負を聞かせてください。
 4コマは4コマで、わかりやすく読んでもらえるから、必要だとは思ってる。 
でも、4コマだと島の魅力が伝えきれない部分がどうしてもあると思うのね。
4コマ漫画というのはオチをつけなきゃいけないの。
だけど、島の良さっていうのは、オチのつかないところにも絶対あるのね。
本当のスローライフにはオチなんかないよね。
そういうものが表現できて、なんとなくいいな~と思ってもらえるような
漫画を描きたいなぁ。そのためには、4コマに縛られるつもりはあまりない。
それは将来的にだけど、ちょっと違った形の島漫画を描きたい。
2年以上島に住んで、これだけ動きたくないと思うのは、
よっぽど自分が島が好きだと思うのね。それをわかりやすく他の人に伝えたい。
そういう漫画の形を模索してやっていきたい。なんか偉そうだけど。

●素晴らしい!ぜひやってください!
 そういう方向でやりたいんだな、というのが最近ようやく分かってきたの。
「流されて八丈島」ももちろん自分で好きだし、あれがなかったらここまで島に
馴染めなかったと思うから、本当に大事な連載なんだけど、また違った形でも
島の外の人に、島のことをいいな~と思ってもらえる漫画をね、描きたい。
そうすることでまた島に来て住んでみたいと思う人がいるかもしれないし。

●「流されて八丈島」もファンが多いから、ぜひあちらもがんばってほしいけど。
 「流されて」でも島のことをちゃんと描いていけるのはこれからだと思う。
最初の2年間はなんだかよくわからなくて精一杯で、「流されて」の1巻は、
島のみなさんに協力していただいて、なんとか出せたようなものだから。
最初の2年間は2年間なりのもので、それはしょうがないとも思う。
いい島漫画を落ち着いて描けるのは、これからだと思います。
本当の意味で島っぽい漫画が描けるといいなぁ。

●ぜひ島漫画の新境地を開いて、島漫画作家というジャンルができるよう
これからもがんばってください。期待しています!
最後に、読者のみなさまへ、やよちゃんから直接ご挨拶を。

 「流されて八丈島」は、本当にみなさまのご協力によって成り立ってます。
これからもどこかで取材協力をお願いした際には、快く受けてくださると嬉しいです。
なるべく、面白く楽しく描かせていただきます。よろしくお願いいたします。

◎しまブロ~八丈島に住みたくて(やよい先生のブログ)
◎たかまつやよい公式サイト
◎たかまつやよい(Wiki)
__
やよちゃんとわたしは、彼女が八丈島への引っ越しを検討していた際に、
当ブログを見てくれて、メールをいただいたときからのお付き合いです。
漫画家が八丈島へ引っ越してきて、わたしたちの島のことを漫画にしてくれる。
それはワクワクするような楽しい話でした。そしてそれはすぐに現実に。
ネタ作りという作業に毎々頭をひねりながら、八丈島を最も楽しい方法で
わかりやすく紹介してくれているやよちゃん、ありがとう!
コメント (9)
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