旅にしあれば

人生の長い旅、お気に入りの歌でも口ずさみながら、
気ままに歩くとしましょうか…

旅のつばくろ

2021-03-19 19:18:00 | 図書館はどこですか



予約が多人数の順番待ちになってしまうなどし、これまでタイミングが合わずなかなか借りることが
できなかった「旅のつばくろ/沢木耕太郎著」を、ようやくお借りすることができました。

さっそく読み始めてみると、想像以上の軽妙洒脱な語り口に、どんどん読み進め、あっという間に
読み終えてしまいました。この本は、JR東日本の車内誌に連載されていたエッセイを抜粋し
まとめられたものだそうで、JR東(どころか、列車全般)に長らくご無沙汰の私は、もちろん
すべて読むのが初めてのものばかりです。私は、沢木さんのお書きになられたものは、
朝日新聞連載小説として発表された「春に散る」しかご縁がなくて、しかし、このエッセイは
その連載が終了直後に始まったらしく、春に~の話題がしばしば出てくるのが個人的にはいかにも
タイムリーで、とてもうれしく思いました。

以前にも述べた気がしますが、私は沢木さんのようなスマートで知的、ダンディな中高年を
目指していたはずが、どこでどう間違ったのか、まったく真逆の、なんとなく年を重ねただけの
魅力に乏しい年寄りになってしまいました。しかし、旅好きとの点からいささか共通項はあるようで
(沢木さん、気分を害するでしょうけど)、無理やりこの本から拾うと、まず、山形県の遊佐を地名を
含め気に入っていること、お酒が好きなこと(沢木さんは酔ったことのない酒豪みたいですが…)、
温泉に特別強い思い入れがない(なかった、と過去形になりつつある)こと、旅先では倹約に努め
一日でも長く旅を続けようとすること、旅に出る前あまり下調べしないこと…などなどが挙げられ
ましょうか。私としては、旅の楽しみの第一段階である下調べはするに越したことないとは思いますし、
勤め人時代は時間がないからと言い訳できても、暇な今でもあまり熱心に調べてから出かけないのは、
それができないだけなんですよ。今時はネットで検索すると情報が山のようにあふれ出し、手軽に
得ることができるのに、それを読むことすら面倒になる私なのですから、どうしようもないですね。
行き当たりばったりで旅をしていると言うと、なんだか旅の達人みたくかっこいいし聞こえはよくても、
私の場合、結果そうならざるを得ないだけなので、沢木さんレベルとは全然違っていますよねえ。

これまで海外へ出ることが多く、近年北日本、東日本を手始めに日本国内の旅を始められた沢木さんと、
撮影旅行、山旅、しかも車中泊が中心の私とは訪れるフィールドが若干違ってはいて、直接お目に掛る
ことは難しくとも、いつかどこかですれ違いでもしたらさぞ楽しいだろうと、期待してしまうのです。

コメント
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