光山鉄道管理局・アーカイブス

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SL銀河旅行記その4・遠野駅にてふと思うこと

2014-11-09 16:50:49 | 旅行・探訪・イベントなど
 花巻を出て約1時間40分ほどで遠野へ到着。

 同じ距離を気動車なら1時間弱ですからいかにのんびりした走りであるかお分かり頂けると思います。
 しかもここ遠野ではC58の給水・給炭タイムがあるので1時間15分という長時間の停車となります。

 普通の客でしたらここで一旦改札を出て駅前で食事でもとるか街並みを散策でもするところでしょうし「鉄」さんだったらそのまま跨線橋の上にでも陣取って給炭、給水風景でも心行くまで堪能しているところです。


 実際、給炭風景などはこういう所でもないとなかなか見られないでしょうし。
 それらの設備ですがホームの奥に新設された物を使っているようです。水タンクなどはそこいらのビルの上にでも載っていそうなタイプの様で妙に近代的です。
 あと貯炭スペースの「妙にピカピカのネコ」なんかと併せると子供の頃の「地面も含めて何もかもが薄黒い」蒸機在籍時の機関区のイメージはどっかへ飛んでしまいます(笑)
 給炭というか、私が見たのは主にテンダ上の石炭を均すところが主でしたが、跨線橋の中ほどからこれが眺められるので結構画になります。

 それにしてもこの列車に乗って久しぶりに思い出されたのが「石炭の匂い」でした。
 以前紹介した親類の機関士の関係で子供の頃は時折機関区を覗かせてもらっていましたし、1970年代半ばころまではどこの学校でも「石炭ストーブ」が標準装備でこれまたどこの学校にも校庭の隅に「石炭小屋」というのがあったので石炭という燃料には相当馴染みのある子供時代でした。
 蒸機が廃止され、学校のストーブが石油になって大分経つのですが、あの頃の感覚としては「手間のかかる石炭がなくなって便利になったもんだ」位でしかありませんでした。

 そのせいかそれらがなくなってもそれほど気にする事もなかったのですが、最近になってその石炭が「鉄道博物館の展示品」になっているのを見た時には結構なカルチャーショックを感じました(笑)

 そして今回のSL銀河です。
 これに乗っていて、殊にトンネル通過時に窓の隙間なんかからかすかに石炭の匂いを感じた時そこはかとない懐かしさを感じました。
 C58牽引時に背中に感じる「シリンダーの作動感覚」と併せてまだSLが残っていた時の故郷が強く思い出されました。

 それと、やはりどれだけ観光列車っぽく洗練されていてもこういう「自分で焚いた石炭の力でピストンを回す」という蒸機のアナログな走行感覚は変わっていませんでしたし、かのSLブームの折に何があれだけ人を引き付けたかの一端を感じる思いがします。

さて、給炭風景を覗いた後は遠野の駅前で食事・・・です。


 遠野と言えば柳田國男が「民話のふるさと」を語り、河童と座敷童とオシラサマの巣窟というイメージを個人的にもっていますし、実際これまで何度かこの界隈を覗いた事もあります。
 とはいえ、それらの交通機関はその全てが亡父の運転する自家用車でしたのでSLがどうこう言う以前に「鉄道で遠野へ行ったこと自体が生まれて初めて」でした。
 岩手出身でしかも母方の田舎がここの隣町(とは言っても2,30キロは離れているのですが)なのにこの体たらく。全く鉄道ファンの風上にも置けませんね(恥)




 それにしても駅舎そのものもですが駅周辺の街並みの印象が20年前とまるで変わっていないのには驚きました。
 同じ事は平泉でも感じたのですが周囲が山で隔絶した環境な分「時間の凍結感」はこちらの方がより強く感じます。
 それでも街並みなどは最近レトロ系の観光施設を追加したせいか長野の小布施にごく近い雰囲気でした。



 ただ、土曜日の昼飯時だというのにとにかく人通りがありません。
 そればかりか車の通行もまばらでよく言えば「静かで落ち着いた」悪く言えば「昼間からなにか出そう」な感じが同居している印象でした(悪口ではないので誤解なきように汗)
 駅前の店の並びなどは昭和40年代、事によると20,30年代以前の物も混じっているかもしれません。
 20年もすれば街並みが変わってしまう位の変転(これは盛岡にしろ、私の現住地にしろ見られた事なのですが)を目にしてきた身にすれば街としてのこの変わらなさにはほっとさせられるものがあります。



 そういえばこのブログの写真を見返して思い出したのですが駅から結構な距離を歩いたつもりだったのにその間コンビニとファーストフード店、それと100円ショップを一軒も見ませんでした。

 昼飯ですが駅から少し離れたところの定食屋で「ジンギスカン丼」を。
 岩手や青森の人間にとっては一種のソウルフード(笑)でもあるのにここ数年食べていませんでしたから久しぶりに食べるとこれまた懐かしかったです。


 で、隣の土産物屋で地元銘菓の「ゆべし」と「あけがらす」を買って駅に戻ります。