光山鉄道管理局・アーカイブス

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「読むテツドウモケイ」のはなし・2

2020-02-13 05:58:06 | 思いつくままに・考察
 先日の「読む鉄道模型のはなし」の続きです。
 今回は前回とは違ったベクトルから書いてみようと思います。

 前回紹介した水野良太郎氏の本が出たのは今から40年以上前と言うのは既に書きましたが、実はこの時点でも鉄道模型の専門書はTMS以降の物だけとっても既に30年の歴史を持っていました。
 今だと更に40年分は上乗せされましたから(変なたとえですが)「TMS創刊時に生まれた赤ちゃんが今は後期高齢者目前の年齢」と言うほどの歴史を刻んできたことになります。
 その70年間にはOゲージから16番ゲージ、そしてNゲージへと言う主役交代劇が何度かありましたし、3線交流式から2線直流式へ、ハンドメイドの金属模型からプラ量産模型へ更にはレーザーカッターや3Dプリンタの登場による「同人誌的な少量多品種のマニアック路線キットへと言った変遷もありました。
 ここ30年位の大きな変化はNゲージの普及が引き金となった(と私が勝手に思っている)「工作派とは異質なコレクター派の増加」とネットの普及に伴う「ファンの個人レベルでの情報・意見の発信の発言力の増大」と言うのがあると思います。

 そうした変化、変遷が激しいだけに専門誌や書籍の内容もそれらを反映して時には緩やかに、時には急激に変わってきたと。
 (もちろん量的な面でもこの間にかなりの書籍がリリースされてきてもいますが)
 そうした時代の変化を90年代半ばに「作るコレクターの目線」で俯瞰して見せた「鉄道模型考古学」が登場したのは、そのタイミングと言い一つのターニングポイントとなったと思います。
 それは「作る」とも「集める」とも違う「個々の製品を通して歴史を俯瞰する」と言う視点から鉄道模型を語り得る最初の本の登場とも言えるものでした。
 そしてそれは同時に「読むだけの鉄道模型」がただ読み飛ばすだけに留まらない「テツドウモケイを歴史研究の対象として楽しむ(笑)」と言う第3の方向性を持ちえるようになった瞬間でもあったと思います。

 私自身、趣味の中断時期にこの「考古学」に出会った意味は大きかったと思います。当時は模型に触れても居ない時期だったにも拘らず本書を読む事で「昔の模型を思いだし、思い出と照らし合わせて考察する」と言う楽しみ方に目覚めたのですから。

 実際、モケイ自体に殆ど触っていなかった時期なのにこの本だけはそれこそボロボロになるまで読んだ記憶があります。

 前述の様に鉄道模型の本は既にそれ自体が70年以上の歴史を持つジャンルになりました。
 昔よりも古本屋新刊書の入手が容易になりましたし「鉄道模型本それ自体を集めて楽しむ、研究する」と言う方向性も大いにありだなと言える環境になってきたと思います。
 しかも今はネットでそうした研究成果を発信し、かつそれらを同好の士同士で共有する事も可能ですし感想や考察などもダイレクトに得られますから凄い時代になったと思います。

 ここに来てようやく「読む鉄道模型」の意義のひとつが認識されやすくなってきたと言うのは言えるのではないでしょうか。


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