京都新聞記事
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20180126000029
「訴状によると、日本興産の株式で議決権があるのは1万2千株で、このうちニチコンが8千株、妻が4千株を保有していた。日本興産は昨年10月に臨時株主総会を開き、会社が全株式を強制取得できる「全部取得条項付き種類株式」を定款変更で導入。発行済み株式5千株につき種類株式1株を割り当てることにしたため、妻の保有数は1株未満となったという」(上掲記事)
記事には,「株主総会での決議の無効を求める訴訟」とあるが,会社法上は,一応適法な手続といえる。おそらく,株主総会の決議の取消しの訴えが起こされたということであろう。
会社法第831条第1項第3号の「株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされた」の問題であろう。
本件は,閉鎖会社の事例であり,少数株主とはいえ,総株主が2名で,議決権の個数ベースで3分の1を所有する株主をスクイーズアウトしようというものであるから,取消しが許容され得るのではないだろうか。
cf. 東京地裁平成22年9月6日判決(全部取得条項付種類株式制度を用いて締め出された株主の原告適格と株主総会決議取消請求(インターネットナンバー株主総会決議取消請求事件))
http://www.geocities.jp/judicialization/aomorilaw.ronsou13.html
訴訟の行方が注目される。
会社法
(株主総会等の決議の取消しの訴え)
第831条 次の各号に掲げる場合には、株主等(当該各号の株主総会等が創立総会又は種類創立総会である場合にあっては、株主等、設立時株主、設立時取締役又は設立時監査役)は、株主総会等の決議の日から三箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。当該決議の取消しにより株主(当該決議が創立総会の決議である場合にあっては、設立時株主)又は取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。以下この項において同じ。)、監査役若しくは清算人(当該決議が株主総会又は種類株主総会の決議である場合にあっては第三百四十六条第一項(第四百七十九条第四項において準用する場合を含む。)の規定により取締役、監査役又は清算人としての権利義務を有する者を含み、当該決議が創立総会又は種類創立総会の決議である場合にあっては設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役)又は設立時監査役を含む。)となる者も、同様とする。
一 株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。
二 株主総会等の決議の内容が定款に違反するとき。
三 株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされたとき。
2 【略】