日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65813600U0A101C2EE9000/
金融庁が「価値ある事業の継続を支えられるような望ましい融資・再生実務のあり方について、金融機関に事業の継続や発展を支援する適切な動機付けをもたらすような包括担保法制等の可能性を含め検討する」ため、「事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会」を設置したそうである。
「制度改正の方向性を盛り込んだ報告書を年内にもまとめる。法務省の意見を踏まえ、2021年に法制審議会(法相の諮問機関)で民法改正を検討する」(上掲記事)
しかし,「企業の技術や顧客基盤など無形資産を一括で担保にできる制度づくりをめざす」と言えば,聞こえはいいが,現行でも,そのような無形資産を評価し,無担保融資をすることも可能である。それができないのに・・・であるが。
担保であるからには,債務不履行に陥った際の担保権の実行による競売等が予定されるわけであるが,どうやら事業譲渡の対象となる事業のような括りで,「事業」に担保設定をするようなことになりそうである。落とし所としては,そんなところか。
ところで,事務局資料18頁に「 簡便な登記制度・明確なルールに基づく優先関係」の項があり,「論点14 登記優先ルールの採用」「論点15 一元的・警告型の登記の採用」「論点16 登記申請・承認の2段階手続の採用」が取り上げられている。
「論点15」では,「債権・動産等に係るすべての担保権等を一元的に登記できること」,「論点16」では,
登記の申請手続を、申請と承認の2段階に分けること
登記の申請を債権者単独で行うことで時間的・事務的コストを軽減させること
登記の承認を債務者が担い、一定期間内に承認がない限り登記は抹消されるとすることで虚偽登記を防止すること
優先関係の基準は、債権者の申請時点とする(承認されたものに限る)こと
のような驚くべき新展開が挙げられている。
興味深く見守りたい。司法書士界としても,積極的に提言して行くべきであろう。
cf. 事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会
https://www.fsa.go.jp/singi/arikataken/siryo/20201104.html