司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「旧姓の通称使用拡大が賢明なやり方」

2020-11-26 17:06:14 | 民法改正
毎日新聞記事
https://mainichi.jp/articles/20201126/k00/00m/010/011000c

 山谷えり子参議院議員の意見。

「私は選択的夫婦別姓制度の導入には慎重だ。家族のあり方に深く関わり、民法、戸籍法の改正を生じ、子供への影響を心配する国民が多い。国民の意見が分かれている現状では旧姓の通称使用を周知、拡大して、時代に合った見直しをしていったらいいのではないか。」(上掲記事)

 こういう声が現今だに根強いのであろう。私も,どちらかと言えば,慎重論であるが。

 婚姻による改氏に伴う手続の段よりも,離婚による復氏に伴う手続の段の方が,子がいることも多いので,特にたいへんであるのは事実であるが。
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熟慮期間経過後の相続放棄の申述について,相続人の具体的状況を勘案して受理を認めた東京高裁決定

2020-11-26 13:59:06 | 民法改正
 東京高裁令和元年11月25日決定判時2450=2451合併号に,熟慮期間経過後の相続放棄の申述について相続人の具体的状況を勘案して受理を認めた決定が掲載されており,相続人らは,平成31年2月下旬頃に,被相続人の固定資産税に関する市役所からの文書を受領したことによって被相続人の死亡の事実及び自分たちが相続人になったことを知ったが,代表者の1人が相続放棄の手続をすれば足りると誤解して,相続人の1人だけが相続放棄をしたという事案で,東京高裁は,

「抗告人らの本件各申述の時期が遅れたのは、自分たちの相続放棄の手続が既に完了したとの誤解や、被相続人の財産についての情報不足に起因しており、抗告人らの年齢や被相続人との従前の関係からして、やむを得ない面があったというべきであるから、このような特別の事情が認められる本件においては、民法915条1項所定の熟慮期間は、相続放棄は各自が手続を行う必要があることや滞納している固定資産税等の具体的な額についての説明を抗告人らが市役所の職員から受けた令和元年6月上旬頃から進行を開始するものと解するのが相当である。」

「なお、付言するに、相続放棄の申述は、これが受理されても相続放棄の実体要件が具備されていることを確定させるものではない一方、これを却下した場合は、民法938条の要件を欠き、相続放棄したことがおよそ主張できなくなることに鑑みれば、家庭裁判所は、却下すべきことが明らかな場合を除き、相続放棄の申述を受理するのが相当であって、このような観点からしても、上記結論は妥当性を有するものと考えられる。」

と判示している。

 やさしいな。何でもありになりそうであるが。

cf. 小松亀一法律事務所HP
https://www.trkm.co.jp/souzoku/20092501.htm

本橋総合法律事務所HP
http://www.motolaw.gr.jp/hanrei/m-motohashi/%E8%A2%AB%E7%9B%B8%E7%B6%9A%E4%BA%BA%E3%81%AE%E6%AD%BB%E4%BA%A1%E3%81%8B%E3%82%89%E7%B4%84%EF%BC%92%E5%B9%B4%E7%B5%8C%E9%81%8E%E3%81%97%E3%81%9F%E7%9B%B8%E7%B6%9A%E6%94%BE%E6%A3%84%E3%81%AE%E7%94%B3/


 とはいえ,地方税法第343条の規定からは,平成30年度分及び平成31年度分(令和元年度分)の固定資産税については,免れないと思われるが。

cf. 令和元年11月11日付け「相続放棄と固定資産税の納付義務」
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