司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「収入印紙」も見直し?

2020-11-07 13:23:49 | いろいろ
MONEY VOICE
https://www.mag2.com/p/money/982991

 河野太郎行政改革担当大臣が,「収入印紙」制度の見直しも検討しているらしい。

 司法書士的には,非常になじみの深いものであるが,オンライン申請で電子納付をする等により,また高額の登録免許税の場合には国庫金納付により領収書を貼付することにより,収入印紙の活用場面もそれほど多くはないのも事実である。

 また,紙文書であれば課税されるが,電磁的記録として作成されている場合には課税されないというのも,合理的ではないであろう。デジタル・ガバメントを推進して行くのであれば,見直しは急務であるといえよう。

 ところで,郵便小為替の制度も見直しをして欲しいものである。電子納付に置き換えるのは,諸々細かい問題はあるにせよ,それほど困難ではなかろう。


 以下は,印紙税の沿革である。

「我が国における印紙税は、明治六年に制定された受取諸証文印紙貼用心得方規則(明治六年太政官布告第五十六号)に起源があり、当時、地租改正に関連する税制の整備の一環として、数多くの税とともに、御指摘のような考え方も踏まえつつ我が国の財政に寄与するために導入されたものであると承知している。
 この受取諸証文印紙貼用心得方規則は翌明治七年に廃止されて証券印税規則(明治七年太政官布告第八十一号)が制定され、明治三十二年にこれが廃止されて、印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)が制定され、昭和四十二年にこの印紙税法を全面的に見直し全部改正を行って現行の印紙税法に至っているが、このような印紙税に関する法の改廃等は、社会経済情勢の変化や財政状況等を踏まえ、その時々の税体系及び税収面で印紙税の果たすべき役割について国会での審議等を経て行われてきているところである。こうした変遷を経て、現行の印紙税法については、御指摘のような商工業と農業の間における税負担の均衡を図るという制度創設時の目的は薄れてきたが、他方で、複雑化する法律関係の中で文書作成により法律関係の安定化を図ることは依然として広く行われており、そうした文書に軽度の負担を求めることについて、なお妥当性は存在すると考えている。また、印紙税は、長い歴史の中で我が国の経済取引の中で定着してきており、我が国の税体系及び税収面で基幹税目を補完する重要な役割を果たしている。」

cf. 第162国会の参議院における「印紙税に関する質問に対する答弁書」
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/162/touh/t162009.htm
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「定款で総会等基準日を定める慣行の「功罪」と今後の実務展望」

2020-11-07 12:57:50 | 会社法(改正商法等)
 旬刊商事法務2020年11月5日号に,太田洋・松永徳宏「定款で総会等基準日を定める慣行の「功罪」と今後の実務展望」が掲載されている。

 コロナ騒動で,定時総会の開催方法や開催時期等をめぐって様々な法的問題点が顕在化したことを受け,「基準日」の問題を掘り下げたものであり,興味深い。

 上記は,上場会社のみを検討対象としたものであるが,非上場会社においても,定款で基準日を定める慣行については,見直しに値する。定番だからと,特に検討もせずに,基準日の定めを設けてはいないだろうか。臨時株主総会の開催に際して,基準日を定めて,その公告をする必要がないレベルの株式会社であれば,定時株主総会に係る基準日についても,定款の定めを置く必要性は乏しい。場合によっては,むしろ余計な存在であるともいえる。


 ちなみに,平成29年税制改正で,確定申告書の提出期限の延長の特例について、次のような見直しがされている(法人税法第75条の2第1項第1号)。すなわち,3月決算の株式会社が,定時株主総会をたとえ9月に開催したとしても,法人税の申告期限との関係では支障が生ずるものではないが,定款の「3か月以内」や「6月」に開催する旨の定めは,削除する必要がある。

「法人が、会計監査人を置いている場合で、かつ、定款等の定めにより各事業年度終了の日の翌日から3月以内に決算についての定時総会が招集されない常況にあると認められる場合には、その定めの内容を勘案して4月を超えない範囲内において税務署長が指定する月数の期間の確定申告書の提出期限の延長を認めることとする。」

cf. 平成29年3月28日付け「平成29年税制改正による「所得税法等の一部を改正する法律」が成立」
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