取締役会議事録について,同一内容で複数部を作成し,取締役等が各別に署名等をすることは可能か?
取締役会が開催された場合の取締役会議事録については,出席した取締役及び監査役は,これに署名し,又は記名押印しなければならない(会社法第369条第3項)とされており,この解釈としては,一つの議事録に出席者全員が署名等をするものと解されている。
したがって,不可である。
会社法
(取締役会の決議)
第369条 【略】
2 【略】
3 取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
4 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
5 【略】
書面決議の場合は,取締役から各別の同意書等が提出され,これを受けて,一つの取締役会議事録が作成される(会社法第370条,会社法施行規則第101条第4項第1号)。この場合,原則として,取締役会議事録に取締役の署名等は不要であるが,登記の申請書の添付書面とするときは,記名押印や電子署名が必要となることもある。
会社法
(取締役会の決議の省略)
第370条 取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。
それでは,取締役会が一応開催場所を定めて準完全オンラインで開催された場合の取締役会議事録の作成については如何?
流行の兆しがある電磁的記録で取締役会議事録を作成し,取締役全員が電子署名をする方法による場合,取締役全員が電子署名に対応可能であることが当然の前提となる。
これに対応することができない場合,原則どおり書面による取締役会議事録を作成する他に方法はないのかであるが,例えば,オンライン会議と書面決議の併用が考えられる。
取締役会議事録の作成を急がなければならない場合として,決議事項について登記の申請をしなければならない場合が考えられるが,オンライン会議の途中で,決議事項について全員の異議がないようであれば,当該決議事項については書面決議に切り替えて(もちろん当初から準備しておくのであるが。),議長から取締役全員にメールで提案書を送信し,取締役全員から同意する旨の返信があれば,その時点で書面決議が成立,当該決議事項に係る取締役会議事録の作成が可能となり,即刻,当該取締役会議事録と委任状に代表取締役のみが電子署名をし,司法書士にメールで送信すれば,即申請することが可能となる。その後,取締役会は,その他の事項についての審議等を続ければよい。そして,会議終結後,オンライン会議の全般に係る取締役会議事録を作成し,全員のチェックを経て,書面で作成して記名押印をするなり,電磁的記録で作成するなり,多少時間がかかっても適宜執り行えばよい。
取締役会の決議事項のうち,登記申請を要する議案については書面決議を活用することで,この書面決議に関して電磁的記録として作成された取締役会議事録は,代表取締役の電子署名のみでOKなのである。
もちろんこうした柔軟な対応が可能な会社ばかりではないと思うが,一考の余地はあると思われる。
取締役会が開催された場合の取締役会議事録については,出席した取締役及び監査役は,これに署名し,又は記名押印しなければならない(会社法第369条第3項)とされており,この解釈としては,一つの議事録に出席者全員が署名等をするものと解されている。
したがって,不可である。
会社法
(取締役会の決議)
第369条 【略】
2 【略】
3 取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
4 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
5 【略】
書面決議の場合は,取締役から各別の同意書等が提出され,これを受けて,一つの取締役会議事録が作成される(会社法第370条,会社法施行規則第101条第4項第1号)。この場合,原則として,取締役会議事録に取締役の署名等は不要であるが,登記の申請書の添付書面とするときは,記名押印や電子署名が必要となることもある。
会社法
(取締役会の決議の省略)
第370条 取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。
それでは,取締役会が一応開催場所を定めて準完全オンラインで開催された場合の取締役会議事録の作成については如何?
流行の兆しがある電磁的記録で取締役会議事録を作成し,取締役全員が電子署名をする方法による場合,取締役全員が電子署名に対応可能であることが当然の前提となる。
これに対応することができない場合,原則どおり書面による取締役会議事録を作成する他に方法はないのかであるが,例えば,オンライン会議と書面決議の併用が考えられる。
取締役会議事録の作成を急がなければならない場合として,決議事項について登記の申請をしなければならない場合が考えられるが,オンライン会議の途中で,決議事項について全員の異議がないようであれば,当該決議事項については書面決議に切り替えて(もちろん当初から準備しておくのであるが。),議長から取締役全員にメールで提案書を送信し,取締役全員から同意する旨の返信があれば,その時点で書面決議が成立,当該決議事項に係る取締役会議事録の作成が可能となり,即刻,当該取締役会議事録と委任状に代表取締役のみが電子署名をし,司法書士にメールで送信すれば,即申請することが可能となる。その後,取締役会は,その他の事項についての審議等を続ければよい。そして,会議終結後,オンライン会議の全般に係る取締役会議事録を作成し,全員のチェックを経て,書面で作成して記名押印をするなり,電磁的記録で作成するなり,多少時間がかかっても適宜執り行えばよい。
取締役会の決議事項のうち,登記申請を要する議案については書面決議を活用することで,この書面決議に関して電磁的記録として作成された取締役会議事録は,代表取締役の電子署名のみでOKなのである。
もちろんこうした柔軟な対応が可能な会社ばかりではないと思うが,一考の余地はあると思われる。