日本プラム、CFJのいずれについても、異議を述べた債権者が少なからずいるようである。
(1)登記手続
登記手続としては、異議を述べた債権者がいる場合には、「債権者の異議申立書、債権者作成の領収証、担保契約証書又は信託証書、若しくは債権者を害するおそれがないことを代表者が証明した書面等」を添付しなければならない(商業登記法第70条)(拙編著「商業登記全書第4巻『新株予約権,計算』」(中央経済社)249頁)。
ここで、「債権者を害するおそれがないことを代表者が証明した書面」としては、「十分な担保額を有する抵当権設定に係る不動産の登記事項証明書や、異議を述べた債権者の債権額、弁済期、担保の有無、自らの資産状況、営業実績等を具体的に摘示」したものが要求される(松井信憲著「商業登記ハンドブック」(商事法務)227頁)。
したがって、これらの会社が登記申請にこぎつけることは容易でないと思われる。
(2)効力発生日の変更
資本金の額の減少の効力は、株主総会の決議によって定めた効力発生日に生ずるが、債権者保護手続が遅延し、効力発生日までに手続が終了しないことが確実な場合には、株式会社は、いつでも効力発生日を変更することができる(会社法第449条第7項)。効力発生日に関しては、オープンになっていないが、この変更については、公告義務は課せられていない(会社法第790条第2項参照)から、債権者としては進捗状況を確知することはできない。
(3)「知れている債権者」
さて、両社ともに、いわゆるダブル公告であるから、「知れている債権者」に対しての各別の催告は要しないケースである。
仮に催告が必要なケースであるとした場合、過払い債権者に対しては、おそらく「知れている債権者」として催告はなされないと思われるが、これは、資本金の額の減少の無効事由となり得る(江頭憲治郎著「株式会社法(第2版)」(有斐閣)619頁)。
「知れている債権者」とは、債権者が誰であり、その債権がいかなる原因に基づくいかなる内容のものかの大体を会社が知っている債権者(同書623頁)をいうから、過払い債権者もこれに該当すると言ってよいであろう。
そこで、異議を述べた債権者に対して、当該会社が会社法第449条第5項本文所定の手続を適切にとらないときは、債権者としては、資本金の額の減少無効の訴え(会社法第828条第1項第5号、同条第2項第5号)を提起することが考えられるであろう。すると、当該会社としては、弁済を余儀なくされることになる。