司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「地域においてオーガナイザーになり得る各法人形態(株式会社、一般社団法人、NPO法人等)」

2021-03-26 14:13:58 | 法人制度
地域の持続可能な発展に向けた政策の在り方研究会 by 経済産業省
https://www.meti.go.jp/shingikai/sme_chiiki/jizoku_kano/index.html

 松元暢子「地域においてオーガナイザーになり得る各法人形態(株式会社、一般社団法人、NPO法人等)」(※第5回資料)が掲載されている。
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民法上の配偶者であっても,その婚姻関係が事実上の離婚状態にある場合には,退職金の受給権者である「配偶者」に当たらない(最高裁判決)

2021-03-26 09:27:00 | 民法改正
最高裁令和3年3月25日第1小法廷判決
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90180

【判示事項】
民法上の配偶者は,その婚姻関係が事実上の離婚状態にある場合には,中小企業退職金共済法14条1項1号にいう配偶者に当たらない

「Cは,平成4年頃,A及び被上告人と別居し,他の女性の下で生活を始め,以後,A及び被上告人と共に生活したことはなかった。Cは,別居後にAと面会したのは数回にすぎず,婚姻費用をほとんど分担しなかった。



 Aは,死亡の前日である平成26年▲月▲日,いわゆる危急時遺言の方式によって,推定相続人であるCを廃除し被上告人に全ての遺産を相続させる旨の遺言をした。そして,東京家庭裁判所は,平成28年10月5日,上記イの事情等を理由として,Cにつき推定相続人の廃除の審判をした。
 このように,AとCの婚姻関係は,Aの死亡当時,実体を失って形骸化し,かつ,その状態が固定化して近い将来解消される見込みがなく,事実上の離婚状態にあった。」

「上記退職金は,共済契約に基づいて支給されるものであるが,その受給権者である遺族の範囲は,社会保障的性格を有する公的給付の場合と同様に,家族関係の実態に即し,現実的な観点から理解すべきであって,上記遺族である配偶者については,死亡した者との関係において,互いに協力して社会通念上夫婦としての共同生活を現実に営んでいた者をいうものと解するのが相当である(最高裁昭和54年(行ツ)第109号同58年4月14日第一小法廷判決・民集37巻3号270頁参照)。」
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私橋の封鎖,権利の濫用?

2021-03-25 21:57:23 | 不動産登記法その他
神戸新聞記事
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202103/0014171674.shtml

 私道ならぬ「私橋」の所有者が,突然の封鎖。危険の責任云々を主張しているらしいが・・・。

 神戸市が買い取るのが穏当な線では?
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悪質「お試し商法」が急増

2021-03-25 14:15:23 | 消費者問題
産経新聞記事
https://www.news-postseven.com/archives/20210325_1646664.html?DETAIL

 特定商取引法の改正法案が今国会に上程されている。

cf. 消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案
https://www.caa.go.jp/law/bills/#204
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寺院や神社は,いつから法人格を有したのか

2021-03-25 10:24:54 | 法人制度
大阪高裁 昭和39年(ネ)222号 判決
https://daihanrei.com/l/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E9%AB%98%E7%AD%89%E8%A3%81%E5%88%A4%E6%89%80%20%E6%98%AD%E5%92%8C%EF%BC%93%EF%BC%99%E5%B9%B4%EF%BC%88%E3%83%8D%EF%BC%89%EF%BC%92%EF%BC%92%EF%BC%92%E5%8F%B7%20%E5%88%A4%E6%B1%BA
※ 日付は不詳。

「寺院明細帳は、明治一二年その制度が制定せられ、同年六月二八日内務省達乙第三一号明細帳製式の件に基き作成せられたものと解せられるところ、寺院明細帳は寺院の存在を公認し、その内容を明瞭ならしめるために、地方長官の職権によつて調整せられる公簿であるからその記載内容は相当信憑力の高いものであると共に、事実寺院としての体をなしていても明細帳に登載がなければ寺院ではなく、また事実廃寺の状態であつても、明細帳からその寺院名を削除しない限り、依然存在を継続するものとして取扱われ寺院の存立と明細帳の記載とは不可分の関係にあるものといえる。そして、昭和一五年四月一日施行の宗教団体法附則第三二条により、寺院明細帳の控訴各寺院についての前記記載が、同条項にいう、同法施行の際現に寺院明細帳に登録された寺院に該当するとして、控訴各寺院が同法により設立を認可せられた寺院と看做されたことは弁論の全趣旨により明らかである。その事実と右の如く寺院明細帳に前記内務省達で記載を要請せられている境内仏堂、境内庵室と異る境内寺院なる概念のもとに、控訴各寺院を記載し、かつこれらが土地等を所有している旨の記載のあることを合せ考えると、控訴各寺院の内には明治一二年当時において、すでに法人格を取得していたものもあつたことが明らか」

「明治初年頃に控訴各寺院が法人格に該当するものを具えていたにしても、それは先きに認定したように、自然発生的のものであつて、特定の日時に法人格を取得したわけではない。」(上掲大阪高裁判決)


 民法施行法第28条は,かつて,「民法中法人ニ関スル規定ハ当分ノ内神社寺院祠宇及ヒ仏堂ニハコレヲ適用セス」と定めていた。しかし,これは,法人格を有しないことを意味するのではなく,法人に関する民法の規定を適用しないという趣旨であると解されていたようである。

 また,渡部蓊「逐条解説 宗教法人法(第4次改訂版)」(ぎょうせい)70頁以下によると,

「民法第28条の趣旨については,次のように考えられる。独立の主体である神社,寺院等は,本来,法人格の主体であり,また,主体たるべきであるが・・・(民法法人)と別個の組織と性格をもつ法人について規定する民法の特別法が予定されていた・・・宗教団体法,宗教法人令,宗教法人法となり,それによって,宗教団体にふさわしい法人格が与えられることになった。ここに,明治初期からの布告,布達,省令,訓令など300余りの断片的規定を整理した総合的な一つの宗教法規が確立し,それまで不安定な状態にあった宗教団体の法人性が明確になった」

 というわけで,不動産登記の登記名義人としても,寺院や神社が明治時代からの所有者として登場するわけである。
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「減資」への批判は正しいか?

2021-03-24 16:21:10 | 会社法(改正商法等)
Newsweek
https://news.yahoo.co.jp/articles/e34dd2a1df95325c9e42cad54a2ffa466246f1d6

「資本金の額」が課税の基準である以上,このような租税回避的な行動がとる会社が現れるのは,世の常である。それを,「節税」とか「租税回避」と非難すること自体が当を得ていないであろう。
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養育費の請求権を子の権利として民法に明記へ

2021-03-23 17:14:53 | 民法改正
朝日新聞記事
https://digital.asahi.com/articles/ASP3Q75QJP3KUTIL067.html

 養育費については,現行法上は,親権者から他方親に対する監護費用の分担請求(民法第766条第1項)であり,子自身が請求する場合は,扶養義務の履行請求(民法第877条第1項)である。

 これを,子の権利として明確化する方向であるようだ。
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「会社法定款事例集(第4版)」

2021-03-23 14:06:31 | 会社法(改正商法等)
拙編著「会社法定款事例集(第4版)」(日本加除出版)
https://www.kajo.co.jp/c/book/07/0704/40306000004

 令和元年改正会社法等に対応した改訂版が刊行されました。
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尼崎市,山口組組員所有建物を買収へ

2021-03-23 00:46:49 | 不動産登記法その他
産経新聞記事
https://www.sankei.com/politics/news/210322/plt2103220007-n1.html

 こっ,これは,究極のマネー・ローンダリングでは? いいのか?
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会社法書籍の改訂版の出版情報

2021-03-23 00:02:42 | 会社法(改正商法等)
神田秀樹「会社法(第23版)」(弘文堂)
https://www.koubundou.co.jp/book/b557373.html
発売予定日 令和3年3月22日

田中亘「会社法(第3版)」(東京大学出版会)
http://www.utp.or.jp/book/b555742.html
発売予定日 令和3年3月25日

江頭憲治郎「株式会社法(第8版)」(有斐閣)
https://honto.jp/netstore/pd-book_30884744.html
発売予定日 令和3年4月22日
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種類株式発行会社の登記実務あれこれ

2021-03-22 15:10:44 | 会社法(改正商法等)
 最近,あちらこちらで小耳に挟んだ話を。

1.種類株式への転換の際の「合意を証する書面」
 種類株式を導入する際に,既存の普通株式を有する株主が所有する株式の一部について,新規に導入する種類株式への転換がされることがある。この際,俗に「株主全員の同意を証する書面」として,転換される株式を有する株主については「合意を証する書面」を,それ以外の株主については「同意を証する書面」を添付すべきものとされている。

 この「合意を証する書面」は,如何?

 一部の商業登記所においては,「合意」の文字に拘泥する余り,株式会社と転換される株式を有する株主との「相互調印形式の書面」を要求しているという話も聞く。

 しかし,株式会社と株主の関係は,契約関係であろうか? 仮に,契約関係であるとすれば,「転換」=変更契約を意味することになることから,相互調印方式を要求することに理もあるであろう。

 しかし,そうではない(契約関係ではない。)。

 また,例えば,種類株式の導入に関する定款変更が,株主提案によって,取締役会等の経営陣の意思によらずに決議されることもあり得るであろう。この場合に,経営陣の意思によらないから,転換することはできないと解されることにはならないであろう。

「合意を証する書面」については,法律上,不要式であり,転換される株主の意思を確認することができるのであれば,いわゆる「差入書形式」の書面であっても,登記実務上認められるべきである。

 大阪法務局管内においては,最近,「差入書形式も可」ということが確認されたようである。


2.種類株式を有する株主を害するおそれと種類株主総会議事録の添付の要否
 いわゆる会社法第323条第2項の「種類株主総会の決議を要しない」旨の定款の定めがない場合において,同条第1項各号のコーポレート・アクションが実行されたとき,株式会社としては,種類株主総会の承認の決議を経るか否かの判断を迫られることになる。

 この場合に,株式会社が当該種類株主総会の決議を要しないと判断して手続を実行したときに,登記申請書の添付書面として種類株主総会議事録の添付を要するのか否かが,稀に問題となるようである。

 本来,種類株主総会議事録の添付を要するのは,「登記すべき事項につき種類株主総会の決議を要するとき」である(商業登記法第46条第2項)。

 株式会社が「おそれがない(=決議を要しない。)」と判断し,これに合理性があるのであれば,添付を要しないということでよいはずである。

 しかし,一部の商業登記所においては,特段の思慮もなく,機械的に種類株主総会議事録の添付を求めているらしいという噂を聞く(「決議を要しない」と判断するのであれば,その旨の上申書等を添付せよという指導をしているらしい。)。

 商業登記法第46条第2項を改めて読み返すべきである。


3.種類株式発行会社において株主総会(いわゆる「通常の株主総会」)の決議を要する場合の株主リスト
 いわゆる株主リストにおいては,議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる株主が所有する株式の数を記載する(商業登記規則第61条第3項)ものとされており,種類株式発行会社においては,「株式の種類及び種類ごとの数を含む」(同条第2項括弧書)ものとされている。

 ん~。

 決議の結果に影響するのは,「議決権の数」であって,「所有する株式の数」ではない。株主総会議事録においても,種類株式発行会社であるからといって,議決権を行使することができる株主が所有する株式の数及びその「株式の種類及び種類ごとの数」について記載することは,通常はしていないはずである。

 いわゆる犯収法においても,実質的支配者の判断は,「議決権」ベースである(犯収法施行規則第11条第2項参照)。

 商業登記規則第61条第2項の場面においては,是非もないにせよ,同条第3項の場面においては,「株式の数」の記載は不要なのではないか(規則が無用の記載を要求しているのではないか。)。

 とまれ,種類株式発行会社において株主総会(いわゆる「通常の株主総会」)の決議を要する場合の株主リストに関して,機械的に「株式の種類及び種類ごとの数」の記載を要求する商業登記所があるようなので,御注意を。

 私は,不要であると考えるが(規則上は,必要であるとしか読めない。)。
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養子縁組あっせん業者が突然廃業

2021-03-22 13:01:55 | 民法改正
讀賣新聞記事
https://news.infoseek.co.jp/article/20210322_yol_oyt1t50020/?tpgnr=poli-soci

 昨年の民法改正(特別養子縁組制度の見直し)により,このような斡旋業者の活躍の舞台も拡がったはずであるが,何があったのであろうか。
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無戸籍と,生活保護等の行政サービスの受給

2021-03-22 11:53:27 | 民法改正
FNNプライムオンライン
https://news.yahoo.co.jp/articles/d9823993a48eee480699bfe9548da6d65aa41580?page=1

「881人。これは法務省が今把握している無戸籍の人の数だ。(2021年2月10日現在・法務省による)」(上掲記事)

 嫡出推定規定の見直しに関しては,法制審議会で審議中である。

cf. 無戸籍でお困りの方へ by 法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00034.html

法制審議会 -民法(親子法制)部会
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi0350004.html
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「仲裁法等の改正に関する中間試案」

2021-03-22 00:11:02 | 民事訴訟等
「仲裁法等の改正に関する中間試案」に関する意見募集
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080239&Mode=0

 意見募集は,令和3年5月7日(金)まで。

cf. 法制審議会-仲裁法制部会
http://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003006.html
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ワタベウェディング,事業再生ADRの利用へ

2021-03-19 18:47:55 | いろいろ
NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20210319/2000042724.html

 ワタベウェディング(京都市)が,本日開催の取締役会で,事業再生ADRの利用を決定したそうだ。

 事業再生ADRの利用件数は,全国で,例年1桁にとどまっている。

cf. 事業再生ADR制度 by 経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/adr.html

東京商工リサーチ
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20200904_03.html
※ 利用件数のデータ

 ワタベウェディングといえば,

cf. 平成22年8月18日付け「登記官の過誤による職権更正と登記事項証明書の記載事項」

※ リンク先の京都新聞記事に飛べなくなっているが,平成13年9月に京都地方法務局の商業登記がコンピュータ化された直後の時期に,なぜか,登記官の過誤により同社の登記簿に減資の登記がされてしまった事件である。
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